佐藤千亜妃インタビュー「“声にならない声”のような形にしづらいものをすくい上げることができたら」

特集・インタビュー
2021年09月22日

◆なるほど。周りの人たちは恋の状況が分かりやすいんじゃないですか?

めったに人を好きにならないから多分反動でそうなると思うんですけど、友達とかにはすごく分かりやすいと思います。でも、好きな相手には一切出さないので、分からないみたいです(苦笑)。小学校の時も10年ぐらいずっと好きな人がいたんですけど…あっストーカーみたいですよね(笑)。

◆いやいや、10年間も一途に思い続けられるってすごいことですよ。

中学の時に席が隣になってすごくうれしかったんですが、それを出すのが恥ずかしくて、話しかけられるたびに、「ウザッ」とか「○○に聞けばいいじゃん」とか、めちゃくちゃ冷たくしていて。今思うとバカなの? すごくもったいないことしてる! って思うんですけど(笑)。

◆あまのじゃくなんですね。

そうなんです、いまだにあまのじゃくなのは変わりません(笑)。でも、高校に入った時に私の友達の彼と好きな人が親友で、友達の仲介で付き合うことになったんです。

◆おぉ~成就したんですね! 

あとで「あの時俺のこと嫌いだったでしょ?」って聞かれたので「いや、好きだったよ」って返したら、「絶対嫌われてると思ってた、毎日冷たかったもん」って言われたりして…。あ、話が逸れてしまってすみません(笑)。

◆いえいえ。ちなみに彼のことを綴った楽曲はないんですか?

今作にはないですけど、めちゃくちゃありますよ。引きずるタイプなので、まだ曲を作る引き出しの中にたくさんいますし(笑)。でも、引きずるとはいってもさすがに戻りたいとは思わなくて。高校の時甘酸っぱい恋愛したなっていういい思い出としてとらえて、“無理に忘れる必要なくない?”“せっかく好きになった人なんだから、一生(人間として)好きなままでも問題なくない?”って考えるようにしたら気持ちがすっと楽になったんです。いつの間にか執着しなくなってたんですよね。むしろそれぐらい好きになれた人がいるってすごいすてきなことだと思うし、創作活動で何もない時でも記憶でずっと擦れるネタがあるっていうのはありがたいなって、自分に都合よくとらえています(笑)。

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7