佐藤千亜妃インタビュー「“声にならない声”のような形にしづらいものをすくい上げることができたら」

特集・インタビュー
2021年09月22日

◆この曲に限らず、全ての楽曲に共通して言えるのが、一言“尊いな”と。

(ポツリと)尊い…うれしいです(照笑)。

◆1曲1曲かみ締めたくなるといいますか、名曲ってこういうものを言うのかなと思ったのですが。

名曲、作りたいです。

◆名曲として成立するには、楽曲はもちろん“声”も重要な要素となるかと思います。今年3月にデジタルシングルで「声」をリリースされ、本作は「KOE」と表記が違いますが、それぞれのタイトルに異なる意味があるのでしょうか?

配信で先に漢字表記の「声」を出してしまったので、差別化というのもちょっとだけあります。でも先ほどもお話したように“声にならない声”というのが今作の裏テーマとしてある中で、聴こえる声にしても気持ちにしてもそれらは形がないものじゃないですか? “形ないもの”というのが自分の中で今回の大事なキーワードとなっているので、漢字で“声”だとあまりに日本人にとってなじみ過ぎているし、発せられるほうの声に結びついてしまうような気がしたので、そこを曖昧にしておきたかったんです。普通英語表記だと“VOICE”なのに、なんで“KOE”なんだろう? って余白を持たせたり、どこの言葉なんだろう? って考える余地が欲しくて、アルファベット表記で“KOE”にしたんです。

◆本作では全作詞作曲を務められています。ストレートでありながら独創的なフレーズも多いですが、特に思い入れの強い曲をあげるとしたら?

8曲目の「棺」というちょっとドープめな曲があるんですけど、これはコロナ禍になる前に書いていた曲で。死生観とか愛のカタチみたいなものをより濃く表現することができていたと思いますし、個人的に一番好きなサウンドになりましたね。歌詞も究極の愛の表現といいますか。何のてらいもなくすっと出てきました。

◆この曲のみならず、さまざまな愛のカタチが描かれていますよね。

今回は失恋の割合がちょっと多めですが(笑)。

◆確かに。ハッピーな恋愛はあまり歌詞には向かない感じですか?

ハッピーだったらみんなに言いふらすので歌詞にはしないかもしれないです(笑)。

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