山崎まさよしインタビュー「アルバムを通して聴くから分かるような、仕掛けに気づいてほくそ笑んでももらえたらなと」

特集・インタビュー
2021年09月22日

デビュー25周年イヤーの集大成として、9月22日(水)にオリジナルアルバム「STEREO 3」をリリースした山崎まさよしさん。作詞・作曲を含む全ての作業を一人で行う“プライベート・アルバム”として位置づけられている「STEREO」シリーズの第3弾となる本作への思いや趣味のDIYについてもお伺いしました。

◆1996年リリースの「STEREO」、1997年の「STEREO 2」から期間が空いて、今作を「STEREO 3」とした理由から教えてください。

それはもう、苦肉の作ですよ。アルバムタイトルが決まらなかったのもありますが、セルフプロデュース作品ということで「STEREO 3」が一番しっくりきたんですよね。他にもタイトル候補はいくつかあったのですが、コロナ禍の影響下で制作したことで、非常にプライベート感のある作品に仕上がったことが大きかったと思います。外部のミュージシャンをはじめ、人とあまり会えなかったですからね。

◆会わずにやりとりができるとは言え、やはり、そこは大事にしたい部分なのでしょうか。

そうですね。どうせやるなら、一緒にスタジオに入って何かしたほうがいいだろうなと。フルアルバムの制作においては、人を交えて作る場合もあれば、ほぼ全部を一人でやる場合もあるので、どちらでも作ることはできるんです。スタジオ仕事なんて、ほぼほぼリモートみたいなものではあるけれど、一人でやることや他者と会わないことで生じる障害みたいなものも絶対にあると僕は思っていて。一人でやることにも、人間って自然とストレスを抱えている気がするんですよね。でもこういう状況ならば仕方がない。それならいっそ開き直って、プライベートでアルバムを作って、聴いてくださる方を元気づけるのもいいんじゃないかなと。結果としてそれが形になってみると、「STEREO 3」というタイトルでよかったなと思えました。

◆全体の完成形を見据えてというよりは、一曲一曲作っていって、今の形になったのでしょうか。

曲出しをしていって、スタッフを交えて収録する曲を決めていきました。当初は、9曲ぐらいでもいいんじゃないかと言っていたのですが、いろいろ欲が出てきて、10曲になりましたね。

◆25周年という、アニバーサリー感は意識されましたか?

どちらかと言うと2年前に出したアルバム「Quarter Note」のほうが、僕にとってのアニバーサリー感はありましたね。アニバーサリーツアーも行いましたが、途中でできなくなってしまって、今作の制作にシフトチェンジをした部分もあったので。

◆むしろ、今の状況下だからこそ、といった意味合いのほうが強い。

そこはもう、避けては通れないテーマです。ミュージシャンがというより、自分自身がどういうアプローチをするのかというのは、曲作りに着手してみないと分からないんですよね。僕は昔から「こうだよ、ああだよ」という歌は歌いたくなくて。曲作りが進んでいく中で「これが今の僕が感じたことや思ったことなんだなぁ」と知ることが多いです。今回は何となく雨にまつわる内容が多い気がしていて。“晴れる”とか“太陽”といったワードを用いて明るくいきたいところだけれど、なかなかそうもいかないことが多いですしね。

◆人と会うことが制限される今「温かい手」で“ひとりぼっちじゃない”と歌っているのが、とても染みます。

「温かい手」は、中外製薬さんとのタイアップで、アニメーションの絵コンテを参考にして書いたんです。リモートでも自分ができることは何かとあらためて考え直して作った曲でもあります。こんな状況下ですが、僕自身がやっていることは、昔からそれほど変わっていなくて。曲を作って、アルバム作って、ライブをやって、っていう一定の流れがあるんですよね。長くやっていると、よくターニングポイントは!? と聞かれたりもしますが、自分でもよく分からないんです(笑)。

◆実際に現在音楽を取り巻く状況は変わってきています。アナログレコードがCDになり、今は動画やサブスクで、曲単位でピックアップされて聴かれることが主流になってきている状況ですが。

僕も、アナログレコードへのダイレクトカッティング(テープへの録音を挟まず、そのままダイレクトにレコードに記録すること)というのを何回かやったことがあるのですが、アナログレコードの場合、レンジ(再生可能な最小音と最大音との幅)の広い曲を1曲目、2曲目に持ってくるんです。最初のほう、つまりレコードの外側に名曲を持ってくる率が高く、内側に入っていくに従って、レンジの狭いもの、ちょっとロック調の曲になって終わっていくパターンが多い。でも、CDになったら、そういう基準で作る必要がなくなったわけです。最後に楽器数の多い、レンジの広い曲が来ても、音質的にはまったく問題がない。さらに、今はアルバムではなくバラで聴かれるようになってきているのでそのあたりは気にしなくても良くなったんです。ただ、アルバムとして作っている以上、流れで聴いてもらえないことは残念ではあります。どれも甲乙つけがたいものですよと、一曲入魂の精神でやるしかない。それでも、一つの作品として流れで聴いていただきたいし、通して聴くから分かるような、仕掛けに気づいてほくそ笑んでももらえたらなと。僕一人ではなく、チームで作っている作品でもあるので。僕の制作意図がどうのというよりは、単にこれを聴いて救われてくれたらいいなという思いはあります。

◆限定盤には、山崎さん本人をデフォルメしたプラモデルが付くそうですが、こちらの企画についてはいかがですか?

メーカーのスタッフさんから“フィギュアを作りませんか?”と言われて。実は昔、「ドミノ」というアルバムで一度作っているんですが、当時も提案された時は、「そんなんいらんやろ」って言ったんです(笑)。ビートルズだったり、PUFFY2人そろっていたりするんだったら欲しいけど、個人のシンガー・ソングライターのフィギュアなんて、いらんやろ!? と。でも反対したのに押し切られて。しかもそれが思いのほか売れたらしくて(笑)。でもまぁ、フィギュアはもういいから、プラモデルはどう? って言ったら、こんな感じになりました。

◆ギターやハット以外に、工具も持たせることができるのがかわいいです。DIYにも、かなりハマっているそうですね。

もともとは家族に求められたところから始まったんです。ここに棚が欲しいとか、壁掛けがあったらいいなとか。あとは、ギタースタンドに置いていたギターが震災の時に倒れてしまったので、全部壁に立てかけるようにしようとか、そういう流れもあったかな。興味を持って、本屋さんで図面を見ていたら、これは自分でもできるんじゃないか!? と思い始めて。多分、性に合っていたんでしょうね。音楽制作で煮詰まった時にクラフトをやると、無心になれるのもいい。そうやってやり始めたころに、ちょうど家の近所にホームセンターができたりして、環境が整ってきたんですよ。他にも、刃物屋さんに行った時に、なんか知らないうちにノミを買っていて、ノミが23個になったら、もうちょっと欲しくなってしまったり(笑)。

◆ご自身でもYouTubeチャンネル「craftpapa」を持たれていますが、普段どんな動画をご覧になっていますか?

本職の職人さんの宮大工のテクニックみたいなのを見るのが大好きです。外国は日本以上にすごくダイナミックなんですよ。でっかい丸太を真っ二つにしていたりとか、一枚板でドアを作ったりとか、そういうのも見てしまいますね。あと、キャンプグッズの動画を見ていたら、レンガを積み上げてロケットストーブを作る動画にたどり着いて、それもめちゃくちゃ見ていましたね。実際にベルギーレンガをホームセンターで買って、それを積み上げてただ火を燃やすということもやりました(笑)。

◆ちなみにそちら側での現在の野望は!? ログハウス建てたい、とか。

そこなんですよ。ログハウスは人手が足りないので難しいですが、今興味があるのが、サウナ。薪ストーブを入れて、岩を積んで…。

◆サウナが好きなんですね。

いや、そこまで好きじゃないです(笑)。そんな毎日、サウナに入りたいわけじゃないし。でも、こんなの作っちゃった! っていうのがやりたいだけ。サウナを作ったらどういうリアクションをされるのかな、というのも気になります(笑)。

PROFILE

山崎まさよし
●やまざき・まさよし…19711223日生まれ。滋賀県出身。A型。1995年に「月明かりに照らされて」でデビュー。現在全国ツアー「YAMAZAKI MASAYOSHI “ONE KNIGHT STAND TOUR 2021”」を開催中。

リリース情報

メモリアルアルバム
STEREO 3
2021年9月22日(水)リリース

 

●photo/干川 修 text/根岸聖子 hair&make/島 徹郎 styling/宮崎まどか 衣装協力/BLUE BLUE JAPANOKURAREELLHOLLYWOOD RANCH MARKET

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