米倉涼子、『ドクターX』と歩んだ10年に感慨「『私、失敗しないので』と言いたいところですが…」

特集・インタビュー
2021年10月14日

米倉涼子インタビュー

米倉涼子さんが主演する『ドクターX~外科医・大門未知子~』がシリーズ誕生から10年目の節目を迎え、2年ぶりに復活。待望の連ドラ第7弾が、10月14日よりスタートする(テレビ朝日系 毎週木曜 後9・00~9・54 ※初回は後9・00~10・09の拡大版)。今作ではコロナ禍の世相が反映され、100年に一度のパンデミックという状況の中、フリーランスの天才外科医・大門未知子(米倉)が目の前の命を救うために突き進む姿を描く。唯一無二のキャラクターを演じ続ける米倉さんに、新シーズンに挑む心境や10年の歴史を積み重ねてきた作品への思いを語ってもらいました。

 

◆大門未知子というキャラクターを演じて、10年目になりましたね。

未知子って一見天真爛漫で自由に生きているようですけど、実はとっても真面目で誠実なんです。すべての行動が彼女ならではの信念に裏づけられている。そういうブレない人間性は、やっぱりいいなと思いますね。

◆未知子を演じるに当たって意識していることは何でしょうか?

とにかく真っすぐでいることです。細くても大木であることを感じさせるような堂々とした姿が、大門未知子というキャラクターを表現するのに大事なことだと思っています。あと、これは『ドクターX』ならではなのですが、共演者の方々が(劇中で)すぐ面白いことを始めるので、私もつい一緒になって遊びたくなってしまう。それを我慢するのが大変で(笑)。未知子は自分のするべきこと、興味のあることだけに集中するタイプなので、皆さんの楽しいお芝居に引っ張られすぎないように…ということは意識しています。

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◆新シーズンはこれまでとは違ってコロナ禍での撮影となりましたが、どんな思いで臨まれているのでしょうか。

まずは撮影を始められること自体に感謝しています。ただ、顔合わせや本読みも全部なくなってしまったので、事前にイメージをつかみづらくて。モチベーションをいきなり本番当日に持っていかなければならないのは、やはり難しかったです。実際のお芝居においても、例えばこれまでなら相手に触れることで表現できていた感情が、「触られたら嫌かな?」「消毒したくなるかも…」というところまで考えなければいけない。こういう状況じゃなかったら、もっと自由に表現できることがあるのに…という寂しさも正直ありますね。今回、作品にもコロナ禍の昨今の状況が反映されているんです。気を付けなければならないのはコロナだけじゃない、というところまでしっかり描かれているので、そういうひねりの利いた展開にこそ、このドラマの面白さがあるのかなと思います。

◆レギュラーメンバーとの久しぶりの再会はいかがでしたか。

グループLINEとかでずっとつながっていますし、テレビを付ければいろんな作品でお見かけするので、久しぶりだけど久しぶりじゃないような、不思議な感覚がありました。私以外の皆さんは、『ドクターY~外科医・加地秀樹~』の撮影でも一緒だったから現場に慣れていたので、私だけまだ馴染み切っていないような気がして、「早くみんなに追いつかなきゃ!」と、最初はちょっと焦りました(笑)。ただ、撮影が始まるとやっぱりここは“ホーム”というか。あうんの呼吸を感じました。それぞれが補い合って、相乗効果で気持ちを上げていける。今回もそういう空間にしていきたいです。

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◆皆さんとの共演歴も長くなりましたが、特に変化を感じるのはどなたでしょうか?

一番変化があったのは(海老名役の)遠藤憲一さんかな。見た目もそうですけど、何より役どころのイメージが大きくて。海老名先生って最初は全然違うキャラクターでしたからね。それが失敗して飛ばされて、また戻ってきて…と異動も多く経験しながら今のキャラクターになっていって(笑)。本当に面白いですよね。逆に(城之内役の内田)有紀ちゃんは、同い年なのですが、うらやましいくらいずっと変わらない。いつも凜としてブレないところは、まるで未知子のようです。

◆今シーズンでは、新たに野村萬斎さん演じる内科部長兼院長代理の蜂須賀が登場して未知子の前に立ちはだかります。萬斎さんとは初共演だそうですが、印象はいかがですか?

まだ現場で接する機会が少ないのですが(取材時)、とても穏やかですてきな方です。 この間、“人間の体はジグザグにできている”というお話をしてくださって、能や狂言に通じる人間の体の構造についてのことらしいのですが、興味深かったです。今回ご一緒させていただいている間に、私が持っていないものを一つでも学びたいです。

◆最後に、『ドクターX』という作品と歩んできたこの10年をどう感じていらっしゃいますか?

「私、失敗しないので」…と未知子のように言いたいところですが、振り返ってみると平坦な道のりではありませんでした。このドラマを終わりにしようと考えていた時期もあったんです。私は新しいことをどんどんやっていきたいタイプなので。でも、“このドラマだけはまだ続けたい!”という気持ちも強かったんです。共演者の方々と会えなくなる寂しさもありました。だから、そのシーズンがクランクアップしたときは複雑で、いろいろな感情があふれて、号泣してしまいました。この作品だからこそ、そこまでの気持ちになったのかと思います。10年という年月を重ねる上で、何も言わなくても一緒の方向に進める、信頼できる仲間ができたのはとても大事なことだったとあらためて感じています。『ドクターX』を少しでも良いものにしたい、『ドクターX』はこうありたいという思いが一つの大きな塊になって、みんなで作り上げてきたのがこの作品です。そうやって共に歩いてきた道、作ってきた軌跡を、今回の新シーズンでさらに1センチでも伸ばせると思うと、やっぱりうれしいですね。

PROFILE

米倉涼子インタビュー

米倉涼子
●よねくら・りょうこ…1975年8月1日生まれ。神奈川県出身。B型。近年の出演作は、『リーガルV~元弁護士・小鳥遊翔子~』、『家政婦は見た!』、ミュージカル「CHICAGO」などがある。主演を務めるNetflixのドラマ『新聞記者』が近日配信予定。公式Instagram(ryoko_yonekura_0801)、公式ファンクラブ「よねさんち」(yonesanchi.com)が開設中。

番組情報

『ドクターX~外科医・大門未知子~』
2021年10月14日(木)スタート
テレビ朝日系 毎週木曜 後9・00~9・54
●初回は後9・00~10・09の拡大版!

(STAFF&CAST)
脚本:中園ミホほか
演出:田村直己、山田勇人
出演:米倉涼子、野村萬斎、内田有紀、勝村政信、今田美桜、小籔千豊、杉田かおる、岸部一徳、要潤、遠藤憲一、西田敏行 ほか

(STORY)
ニュージーランドにやって来たフリーランスの天才外科医・大門未知子(米倉涼子)は、執刀医を務める同国副首相のオペが始まる数時間前、AEDも設置されていないのどかな牧場へ。慌てて迎えに来た副首相オペの第一助手・一木蛍(岡田将生)の前で、不意に感電して瀕死の状態に陥った羊飼いの命を救う。
その後、未知子は副首相のオペも成功させ、日本へ帰国。参議院議員・一橋由華(冨永愛)が主催する「次世代のSDGsパーティー」に招かれる。実は由華、主治医の勧めで、胆石症のオペを未知子に頼もうとしていたのだ。その主治医とは…ほかでもない一木だった! 由華は医師とは思えないほど派手な未知子を見て不安を抱くが、ニュージーランドで未知子の見事なオペを目撃していた一木は、その腕前を完全保証。一方、由華のCT画像を見た未知子は、ある一点に目が止まり…!?
その矢先、パーティー会場内で由華が急性胆のう炎を発症して倒れた! 未知子は一木と共に、由華に付き添い、搬送先の「東帝大学病院」へ。一刻を争うと判断し、緊急オペを断行しようとする未知子。そこへ、100年に1度のパンデミックによって院内で発言力を増し、院長代理として内科主導の組織改革を推し進める内科部長・蜂須賀隆太郎(野村萬斎)が出現! 未知子が何者か知らない蜂須賀は、その腕前に懐疑心を抱きながらも、由華の意向を汲んでオペを許可するのだが…。
やがて、とんでもない事実が判明する。なんと由華が主催したパーティーでクラスターが発生してしまったのだーー!

 

photo/映美 text/海老原誠二 hair&make/佐藤郁江 styling/栗田泰臣