高橋文哉インタビュー「優の過去や罪に対する責任感を見せていきたい」『最愛』

特集・インタビュー
2021年11月12日

『最愛』高橋文哉インタビュー

吉高由里子主演のTBS金曜ドラマ『最愛』(毎週(金)後10・00~)。ついに11月5日放送の第4話で“情報屋”生田誠の正体が真田梨央(吉高)の弟・朝宮優だと判明。梨央に自らの罪を告白した優は、12日放送の5話のラストで、大輝(松下洸平)に連行されてしまう…。そんな“情報屋”、改め優を演じている高橋文哉さんに、謎が多いキャラクターを演じる上で気をつけてきたことや、気になる優の“これから”についてお話を伺いました。

◆謎が多い役を演じていらっしゃいますが、周囲の反応や反響はいかがですか?

ドラマ以外の現場に行くと、例えば雑誌の取材現場でも「『最愛』めっちゃ面白いですね!」って言ってもらえることがすごく多いんです。インタビューではちょっと先のことも話したりするので、すごく楽しみに1、2話をご覧いただいた方が4話とか5話の取材をしてくださると、優の話をしなきゃいけなくて。インタビューの時に「実は僕、優なんですけど…」ってところから入るという、この作品ならではの特殊なやりとりがありました(笑)。あとは、高校時代の友達から連絡が来たり、親が周りの人からも感想を言われるらしく「あの人も見てるって」と伝えてくれるので、すごくうれしいです。ちなみに現場では、最初の頃は「優」って呼ぶ人と「誠」って呼ぶ人がいて。今は優の撮影が始まってるので「優」って言われるんですけど、呼ばれ方が変わるのも特殊だなって思いました(笑)。

『最愛』高橋文哉インタビュー

◆これまでは名前が明かされず、情報屋の生田誠であり朝宮優であるという役をどのような心境で演じていましたか?

基本的には優を演じている気持ちです。後藤さん(及川光博)と絡むシーンで“情報屋として”と考えていたのは、後藤さんに従い続けることぐらいでした。優が姉ちゃん(梨央)の様子をハッキングして見てるのは、姉ちゃんを守るための行動で。嫌いな食べ物の話が聞こえてきたときに表情が緩むシーンがありましたが、それが少し悪だくみのほほ笑みにも、姉ちゃんらしさを感じて笑っているようにも、どちらにも取れるようにしていました。塚原(あゆ子)監督が「ここは少し笑っていいよ」「素直にやっていいよ」と言ってくれて、それに沿ってお芝居していましたね。

◆第4話のラストでは、やっと梨央さんに会って「姉ちゃん」と呼ぶことができました。

優としても、僕自身、役者・高橋文哉としてもすごくドキドキしました。物語の中で軸になるせりふを言うシーンだったので、そこに対する緊張で。優として、覚悟の中で姉ちゃんと話して、姉ちゃんと会えたうれしさももちろんあるんですけど、罪に対する罪悪感もあって。いろんな感情が混在して、グワーっとこみ上げてくる瞬間でした。

◆中盤まで演じてきて、あらためて朝宮優はどのようなキャラクターだと捉えていますか?

優はとにかく姉ちゃんが大好きで、優の“最愛”は姉なんだと思います。もちろん姉ちゃんの周りにいる大ちゃん(宮崎大輝/松下洸平)や、加瀬さん(井浦新)のこともすごく大切にしていて。「姉ちゃんどうしてますか?」ってせりふ1つを取っても、姉ちゃんに自分の安否を知らせることを生きがいにできる優の気持ちにしても、自分の中でかみ締めて理解しようとしています。人思いで、その中でもすごく姉ちゃん思いで。姉ちゃんとお芝居するときはこういう気持ちだなとか、加瀬さんとお芝居するときはこういう気持ちだなっていうのを一つ一つ大切にしながら僕自身も演じています。

『最愛』高橋文哉インタビュー

◆クランクイン前は、役についてどのように考えていましたか?

誠と優を大きく分けて考えるわけじゃなくて、優がどういう思いで情報屋になって、情報屋をやる上で何が根本にあって…っていうことを考えました。誠と優の線引きを大きくしないようにしようと思ってたので。でも、現場で優のまま演じたら“姉ちゃんを見られてうれしい”みたいな感情が出そうなので、実際その加減は監督とお話しながら演じました。事前に準備したことといえば、僕自身パソコンをまったくいじれないので(笑)、キーボードを打つ時のテンション感だけはちょっと勉強しました。

◆実際に演じていく中で、役について新たに気づいたことはありますか?

優として現場にいるようになって、今は優が自分の過去に対してどう思っているのかを真正面から考えて毎日演じています。1シーンだけ回想シーンがあるんですけど、優の中学、高校生時代とか、描かれてない部分の過去がどのくらいつらかったのかは台本を読まないと分からなかったですし。その前後にどういうことがあって…っていうのを監督ともお話しながら、大事に演じています。そこは視聴者の方も知らなかった部分になるので、優の過去や罪に対する責任感を見せていきたいなと思っています。

◆15年前のパートでは唯一、高橋さんだけがご自身で役を演じていませんでした。皆さんの演じている姿を見ていかがでしたか?

もちろん1話の台本も読んでいたんですけど、ほとんど視聴者の方と同じまっさらな気持ちでオンエアを見ました。皆さんの現代と過去のお芝居にも違いがあって、本当に15年たったように錯覚させられて作品の中に吸い込まれていくような感覚がありました。シーンが現代に移ったときのインパクトがありましたね。吉高さんが出てこられた時の“梨央が成長した”説得力というか、間の15年間を描いていなくともすごく分かったというか。僕自身は15年前を演じていないので、1話の優君だったり、姉ちゃん、大ちゃんを見て、たくさんヒントを頂いて15年前の感情を作り上げました。1話を見た時は“情報屋”として1、2日撮影したくらいだったので、これから自分が演じていく上での優らしさというか。姉ちゃんに対する思いを1、2話で見られたので、その部分は大人になっても変わらずに演じようと。あと、過去のインパクトが残っている記憶がフラッシュバックするシーンがあるので、そこのシーンは特に何回も見ましたね。

『最愛』高橋文哉インタビュー

◆4話では、渡辺康介(朝井大智)も渡辺昭(酒向芳)も殺したと優は言っていましたが、そんな優をどう思いますか?

優の罪悪感は、毎日演じながらもずっと忘れちゃいけないことだと思っています。ここまで“2人を殺めてしまっている”というせりふがたくさんありましたが、その時にただ「あの人を殺してしまった」と言うのではなく、ちゃんと自分の中の罪悪感と、葛藤を持ちながら言葉にするように意識していました。いろんな感情が混在している子なので、その思いを大切にしたいです。

『最愛』高橋文哉インタビュー

◆吉高さん、井浦さん、松下さんと共演した感想は?
吉高さんとは、最初の頃は現場でお会いしてごあいさつしたりはしていたんですけど、一緒にお芝居させていただくまでに少し期間がありました。吉高さんと初めてお芝居させていただいた時、“姉ちゃん”として常にあり続けてくださって。優としてそこに居やすいようにしてくれました。でも現場でカメラが回っていないときは、すごく楽しそうに和気あいあいとされていて。僕も毎日のように現場に行くようになって、その雰囲気のおかげで変な緊張をせずに現場に居られています。
井浦さんは、最初の段取りの時点からされるお芝居で、優としてもホッとしたりグッとくるものがあります。あとはやっぱり、加瀬さんの正義感にすごく救われているなと感じますね。
松下さんとは4話で追われるシーンの撮影をしたとき、カットがかかった後に「優、逃げんなよ!」って言って和ませてくれました。僕も「すいませんでした!(笑)」って返したり。今後ご一緒する撮影が多くなってくるので、撮影を楽しみにしながら、プライベートのお話とかもできたらすごくうれしく思います。

◆塚原監督や新井順子プロデューサーとはどのようなお話をしていますか?

4話のラストで姉ちゃんと初めて会うシーンは、優がここまでどんな気持ちで歩んできて、どんな気持ちで今この場にいて、姉ちゃんと話して…っていう優の気持ちを練らせてもらいました。いろんな感情がある中で、何を大切にすべきかとか。姉ちゃんに初めて「自首する」って言うシーンも、塚原さんと毎カット、せりふごとにお話しながら演じました。ここは姉ちゃんに何を伝えたくて、何を隠したくてっていうのを優の中ではっきりさせた方がお芝居としてもシーンとしても役としても成り立つので。現場では基本的に塚原さんとお話しすることが多いんですけど、新井さんが「よかったよ!」って言ってくださると、次のシーンも頑張ろうとより思いますし、もっと優として大切に丁寧に全力で演じていきたいなと思えるので、お2人の言葉にすごく救われています。

『最愛』高橋文哉インタビュー

◆ドラマ全体を通して、特に印象的だったシーンはありますか?

難しいですね…! でもやっぱり、1話の最後の現代のシーンで、吉高さん演じる梨央が車から出てきて初めて現代の梨央が現れたときは、「うわぁっ!」って声が出てしまいました。数分前まで高校生と大学生だった梨央と大輝からガラッと変わって、急に大人の貫禄というか雰囲気、強さみたいなものが一瞬にして伝わってきて。あそこの初見の衝撃は強かったですね。心がグッと上に上がってくるような感覚で、すごく感情を揺るがされました。

◆クライマックスに向けて楽しみなポイントと、視聴者の方へのメッセージをお願いします。

優のこれからがすごく楽しみです。ちょうど今、5話で優が捕まってしまって、“これからどうなるの?”ってところですし。優がこれから物語の中にどのように登場して、登場人物の人たちと関わって、どんな姿が見られるのかは、僕自身もすごく楽しみにしています。ここから、優が犯した罪がどんな方向に転がっていくのか。優がどんな気持ちで連行されて、姉ちゃんに対してどんな気持ちでいるのかによって、優自身の新たな表情、人間性が出てくると思うので。その気持ちの移り変わりを、優としてどういうふうに演じていけるのか…難しいですね、言っちゃいけないことも多いんで(笑)。でも、僕もまだ結末は分からないので、6、7話…とスピードアップしていく物語の先を楽しみにしていただければ幸いです。

PROFILE

『最愛』高橋文哉インタビュー
高橋文哉
●たかはし・ふみや…2001年3月12日生まれ。埼玉県出身。B型。最近の主な出演作は『着飾る恋には理由があって』『うきわ-友達以上、不倫未満-』、映画「かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~ファイナル」など。映画「牛首村」(公開日未定)が控える。

番組情報

金曜ドラマ『最愛』
TBS系
毎週金曜 後10・00~10・54

『最愛』高橋文哉インタビュー

<第5話(11月12日放送)あらすじ>
ついに再会を果たした梨央(吉高由里子)と弟の優(高橋文哉)。優は9年間自分がどのような人生を歩んできたかを語り、携帯電話の記録動画から自らの罪を打ち明ける。
一方、イヤホン男の住居を割り出した警察は、誠と真田ウェルネスとの関わりや、誠と優が同一人物であることを突き止めていた。さらに、大輝(松下洸平)は15年前に大麻事件を起こした元陸上部員の長嶋(金井成大)の元を訪ね、事件当夜に関してある重要な証言を得る。
そんな中、真田グループの情報をかぎ回るしおり(田中みな実)について調査する加瀬(井浦新)は、後藤(及川光博)との接点を突き止める。
そして、9年ぶりに優と語り合った梨央は、ある大胆な行動に出る。

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