吉高由里子インタビュー「梨央という人間がそこにいたんじゃないかな」『最愛』

特集・インタビュー
2021年12月16日

『最愛』吉高由里子さんインタビュー

◆これまでインタビューした方たちから「吉高さんが現場を明るくしてくれている」というエピソードが必ずと言っていいほど出てきていたのですが、現場で意識されていたことはありますか?

私的には盛り上げようというか、常に“自分が一番楽しんでやるぞ”という気持ちで臨んでいます。作品を楽しんだ分だけ自分の中に深く刻まれるし、いっぱい取り入れたいと思う作品でもありました。それに今回、キャストの方たちがみんな良い人で。それは、スタッフさんたちも口をそろえて言ってますね。

◆素で楽しんでいたからこそ、皆さんからそのようなエピソードが出たんですね。

そうだと思います。私自身、悲しいシーンで悲しさに浸るというやり方をしてこなかったからかもしれないですね。カットがかかったら切り替えようと自分でも思っていますし。スタッフさん同士も仲が良くて、現場の和気あいあいとした感じが全体的に居心地の良い環境を作ってくれたんだと思います。

◆新井プロデューサーや及川光博さんが、吉高さんの本番とカットの切り替えがすごいとおっしゃっていました。

ミッチー(及川)こそ、切り替えがすごいんですよ。後藤さんとしてスンってしていたり、怪我をしているのにカットがかかると、急にスイッチが入ってキレキレなポーズをしたり。私から言わせてもらえば「ミッチー、あなたもですよ」って(笑)。確かに、私は瞬発力タイプだと思うんです。 “よーい、スタート”の勢いで役に入るので、カットがかかったらそのスイッチを外せるっていうのが、できるようになっていて。無意識なうちに、自分の中に落とし込んだルールなのかもしれないですね。

◆本編には苦しくなるようなところもありますが、気持ちの面で辛くなることは?

フィクションという部分に救われています。これが実際にあったお話だったら、もっと苦しくなっていると思います。ただ、『最愛』は愛のカタチのお話で、台本もすごく愛情を持って作られているので、悲しいシーンはその愛情を感じたからこそ悲しくなると思うんです。なので、「この部分はどうやったら響くかな」と、その悲しみをどう広げようかと考えたり。すごく勉強になりましたね。

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