『ファイトソング』武田梓P&岩崎愛奈Pインタビュー「最後まで大きく心が動くようなドラマにできれば」

特集・インタビュー
2022年03月14日

『ファイトソング』

◆主人公の“恋”について、どのように描こうと思われましたか?

武田:恋愛をしなくても生きているような女の子が自ら積極的に恋愛をしていくというところが狙いです。いわゆる“結婚しなきゃ”、“三十手前だから恋をしなきゃ”みたいな、恋をしないとじゃなくって、恋をしなくても人生を歩んでいける子があえて恋をしてみたいと思って恋をするっていうところがいいなと思っています。だからこそ恋愛以外の部分もしっかり描かないとそれは伝わらないですし、恋愛以外にもその向き合ってる壁みたいなものがあるからこそ、別にしなくても生きていける恋を主軸に置くことで、その恋がすごく輝いて見えるんじゃないかなと思っています。

◆花枝が育った施設の“家族”についてはどのように?

武田:岡田さんと打ち合わせしていくにつれて、主人公が養護施設で育ったという背景を入れたらどうかみたいな話になったんです。そこで、血のつながっている家族ではなくて、一緒に生きていく存在としての家族みたいなところをひとつ焦点に描けたらなと思いました。それこそ直美(稲森いずみ)さんや慎吾たちは、一緒に生きていく人という表現が正しい気がするんですけど、そういう存在を恋愛を通してだけじゃなくて、しっかりと描きたいなとは思うようになりました。

岩崎:家族を描きたいというより、武田が言ったように、大きな意味での愛情というか、それぞれを想い合う気持ち、恋だけじゃなく家族としての愛だったり、仲間としての愛だったり、兄弟のように育ってきた人たちの愛だったり、人物たちの間に流れているその愛情みたいなものをちょっとずつ形は違うけれど、大きな意味での愛みたいなものを描いていけたらいいなっていうのは思ってました。

『ファイトソング』

◆花枝と芦田の初々しい胸キュンシーンのこだわりを教えてください。

岩崎:2人とも恋愛初心者ということを大事にしているので、ピュアな部分は大事にしてます。不器用だけれど、初めて知った恋、“この人を好きだな”っていう気持ちに2人とも初めて遭遇するんです。今まで経験したことがなかった相手をとてもいとおしく思う気持ちとか、それによって心が動く様子をとにかく純粋に描きたいなっていうのを意識しています。普通だったら「キスしていいですか?」と聞いたりしないのかなとは思うんですけども、聞いてしまうかわいさとか、聞いた後にちょっと照れちゃう感じとか、そういった純粋な部分をとても大事にしています。

◆キャストの方にお話を聞いていると、菊池さんから次々とアドリブが飛び出してくるとのことですが、実際の現場の様子を教えてください。

武田:ハウスクリーニングをしているモンタージュシーンが菊池さんのクランクインだったんですが、その時から既に監督から「ここちょっとアドリブで歌いながら掃除してほしい」という指示が入ったんです。そういう歌いながら掃除するというシーンがそこから何シーンか続いて、そこでしっかりと慎吾っていうキャラクターが出来上がったなっていう感じがします。台本には歌いながらとは書いていなくて、ご機嫌で掃除するくらいの描かれ方だったんですけど、慎吾のキャラクターが確立されたので、6話の台本には「キャバクラの歌を慎吾が歌う」と書かれていて、菊池さんがその場で歌を作っていました。

◆慎吾のオレンジヘアやオレンジの服が好きな理由は、花枝がオレンジが好きだからじゃないかという憶測が視聴者の中であるようですが、実際はどうなんでしょうか?

岩崎:なんで、オレンジの髪にしたのか、さりげなく9話で明かされました。慎吾の長年の愛情や思いを感じられる理由があるんです。

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