大人気サッカー漫画『アオアシ』がTVアニメ化!山下誠一郎が「心技体」で向き合う呼吸の芝居を語る

特集・インタビュー
2022年05月20日

『アオアシ』山下誠一郎インタビュー

現在放送中のTVアニメ『アオアシ』(NHK Eテレ 毎週土曜 午後6時25分〜)に橘総一朗役で出演する山下誠一郎さん。作品を通じて感じたサッカーの魅力、作品の見どころについて語っていただきました。

◆『アオアシ』は子どもから大人までとても多くのファンに愛されているサッカーコミックですが、山下さんは原作を読まれたことはありますか?

オーディションを受ける段階で原作を読みました。シンプルに“面白い”と思いましたね。僕自身、サッカーの経験は、子供のころに友達と公園で遊んだり、学校の授業で触れる程度だったのですが、サッカーに疎くてもこんなに熱くなれるんだと思わせてくれるすてきな作品です。

◆印象に残っているシーンはありますか?

序盤で、主人公のアシトがユースのセレクションを受ける場面があるのですが、先輩の阿久津が放ったせりふが特に印象に残っています。サッカーを続けるためにいくらお金が必要かとか、シビアだけど現実の問題として正しいことを言ってくる。楽しさや熱さだけではない、環境やお金といった現実的な部分まで描いていることが、とても心に刺さりました。

◆そういった問題は、避けては通れないですからね。

芸事に携わると、そういったことは遠からず付きまとってきますし、自分に置き換えた時、他人事には思えなくて。自分のしたいことをするために、どのくらいの犠牲や負担があるのかなど、現実的な問題を踏まえて読むと、とてもリアリティを感じます。アシトは夢のために愛媛から東京へ向かうのですが、役者の仕事を目指して上京した時の自分の心境とシンクロする部分がありましたね。

『アオアシ』山下誠一郎インタビュー

◆山下さんが演じる橘総一朗について、性格面でご自身と共通点を感じる部分があれば教えてください。

僕が演じさせていただいている橘は、とても真面目なキャラクターで、共通点を多く感じていて、生真面目さというか、自分自身も橘に似た迷い方をしてきたという部分で、すんなりと自分の中に入ってきました。僕自身、昔からよく「真面目だね」と言われることが多いんですよ。自分としては、その言葉の中に“そんなに無理しなくてもいいのに…”という哀れみのようなものを感じてしまうこともあって。そうしたニュアンスを深読みしてしまって、“真面目でどうしていけないんだ”とか、“本気でやっているんだから当たり前じゃないか”といった気持ちが出てきて、視野が狭くなってしまう経験もありました。

◆橘も真面目さ故に悩む場面が多いと思います。そんな橘に、山下さんがアドバイスするとしたら?

高校生1年生の彼と比べて年齢的に今の僕は少しだけ大人で、同じように悩む経験を積んだ今、もし彼に会えたら、チームメイトの大友のように、明るく「お前は真面目過ぎるんだよ」と言ってしまうかもしれませんね(笑)。

◆そんな橘の、プレー面での演技でこだわった部分はありますか?

プレー中の息遣いにはこだわりました。実際の競技中には出ないであろう呼吸を、アニメではエンターテイメントとして誇張した芝居をするわけですが、橘を演じるにあたって、その表現は強く意識しています。彼の場合はその真面目さゆえに、心がプレーの幅を狭めたりすることもあって。本来100%の力を出せるところが、心ひとつでプレーに大きな差が出る。心技体、フィジカルとメンタルの関係性というか、サッカーだけではなくさまざまな芸事において、心が占める割合がすごく大きいんだなと感じて。その表現が伝わればうれしいですね。

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