安田顕が語る『PICU』の魅力と“植野元”を演じる上で大事にしていること「つらいシーンも温かさで包んでくれる作品」

特集・インタビュー
2022年10月29日
『PICU 小児集中治療室』
『PICU 小児集中治療室』©フジテレビ

吉沢亮さん主演の月9ドラマ『PICU 小児集中治療室』(フジテレビ系 毎週月曜 午後9時〜9時54分)で、PICU科長の植野元を演じる安田顕さんにインタビュー。主演の吉沢さんの印象や、今後の見どころ、役で大事にしていることなどを聞きました。

「PICU」とはPediatric Intensive Care Unitの略称で小児専門の集中治療室のこと。いわば“子供のためのICU”だ。本作は、広大な北海道で、“しこちゃん先生”こと新米小児科医の志子田武四郎(吉沢亮)が、PICU科長・植野元(安田顕)ら先輩医師と共に、どんな子供でも受け入れられるPICUを作るため、そして、1秒でも早く搬送できる医療用ジェット機の運用を実現するために奔走する姿を描く。

◆本作で安田さんが演じられている植野元は、実際にPICUをけん引された植田育也先生がモデルとなっています。植田先生のSNSでも、「安田さんがすごく熱心にいろいろ質問してくださる」などのコメントがありましたが、植田先生とお話をして役に反映されたところはありますか?

動作や動きなどは質問をさせていただいて、観察もさせていただいたのですが、実際に撮影の際にどれだけ生かせているかというと、あまりそんなこともなくて。植田育也先生は、私が演じている植野元と同じようにPICUを立ち上げてこられた方ですが、PICUを広げるためには、やはり若手を育成していかなければならないと。そのあたりを質問したときに、とにかくまずは感謝をしていて、「ありがとう」という言葉を忘れないように若手と接しているとおっしゃっていました。

ほかにも、植田先生を見ていると、グッと目を見開くしぐさをされていることがよくあったんです。そのしぐさについて尋ねてみると、自分では気づいていないようでしたが、「安田さんに質問されたときに、的確に端的に意図をくみ取った上で、どう答えたらいいか考えて、それを話そうとしているときにそういう目になっているかもしれません」というお話をしてくださいました。表情や声質、姿勢などは、なかなか模写ができないのですが、いろいろと質問をすることによって、医療に取り組む姿勢やものの考え方などを自分なりにくみ取らせていただいて。それをドラマに反映しています。

◆吉沢亮さん演じる志子田に対して、静かに諭すような植野の人柄も話題になっています。植野元を演じる上で大事にされていることはありますか?

最初に台本を読んで、金城綾香プロデューサーと平野眞監督と3人でお話をさせていただいたときに、優しさの中に厳しさを持った人を表現してほしいと言われました。穏やかな部分というのはもちろんありますが、感情的にものを言う人ではないだろうなと。植田先生にお会いして気づいたことですが、PICUには重篤な子供もたくさんいて、一つのミスが良くない方向に転ぶ可能性もあって。そんな状況の中で、とにかく冷静でいようと心掛けていますとおっしゃっていました。経験があるから大丈夫だと、冷静に、的確に、伝わるように、と。

NHKの『プロフェッショナル 仕事の流儀』で植田先生を特集している回を拝見したり、「ドクターズマガジン」という雑誌の記事を読んだりしていると、植田先生がおっしゃっていたことをあらためて感じることができたので、植田育也先生をモデルにした植野元を自分なりに解釈して取り組んでいます。穏やかに、若手と接するときもディベートという形ではなくディスカッションであろうと。そういった人柄がせりふの中からも感じ取れたので、そういうアプローチで話し方や態度を演じようと思っています。

『PICU 小児集中治療室』
『PICU 小児集中治療室』©フジテレビ

◆最初に台本を読んだときと、植田先生とお話されてからとでは印象が変化した部分はありますか?

より「そうだな」と思えました。台本を読んでいたときから、激高というか、熱血という形を取らない方がいいだろうというお話はさせてもらっていましたが、実際に植田先生の映像や記事を見たり、お会いしたりしたときに、「やっぱりそうだな」と。もちろんモデルとして書かれていたのでそうなのですが、台本に書かれていた自分の印象がより大きくなりました。

患児が運ばれていくところも実際に見させていただきましたが、植田先生にかかわらず、PICUの先生たちは、それぞれがやるべきことを冷静に淡々と的確に、すごいスピードでやっていく。そこには動揺などの感情はもちろんない状況ですが、とんでもない緊張感はあって。アラートが鳴り響く中で、それぞれがそれぞれの土俵で役目を果たしていくさまは、本当にすごいなと思いました。小児集中治療室の皆さんは、こういったことを仕事として向き合ってらっしゃるんだなと。もちろん参考にもなりましたが、それよりも、マインドやモチベーションが自分の中でより大きくなりました。

◆本作で共演されている吉沢亮さんの印象はいかがですか?

ナチュラルであり、ニュートラルであるという印象です。吉沢さんご自身と志子田武四郎を演じているときとのオンオフが、カチッと入っていくというよりも、スッと役に解け込んでいくというか…。そういう部分も含めてニュートラルな雰囲気で。周りに合わせて自分が感じたものでレバーを変える。それが自然にできてしまう俳優さんですね。

◆これまでに何度か共演もされていますが、その印象は最初からでしょうか?

5、6年前から何度かご一緒していますが、最初からそうでした。彼が培ってきた努力の中で、もともと持っていたものが、いろいろな経験をされてより精度を増して、スキルがアップしている感じもします。初めて会ったときは朝ドラも大河もなく、映画「東京リベンジャーズ」も「キングダム」もなかったわけですから。今並べた作品の名前がすぐに出てきて、皆さんが全部把握されているものを、初めて出会ってから数年の間に経験されてきているというのはすごいことだと思います。根底は変わりはせずとも、どんどんスキルがアップされている気がします。

『PICU 小児集中治療室』
『PICU 小児集中治療室』©フジテレビ

◆撮影のことで吉沢さんと話し合いなどはされましたか?

話し合いはあまりしないですね。吉沢さんはすごく受けが素晴らしくて。幼なじみの役である高杉真宙さん、生田絵梨花さん、菅野莉央さんと接するときは友達の雰囲気になりますし、武四郎の母親を演じている大竹しのぶさんといるときは親子としての武四郎の空気感になりますし、医療現場・PICUに来たときには、医師としての武四郎になります。その状況への対応能力がすごく高い方だと思います。
すごく印象的だったのが、「自分が感じたことを大事にしたい」と吉沢さんがおっしゃっていたことです。彼が現場に入って、そこでキャストやスタッフの方とお話されたことをすごく大事にされているんだなと思いました。

◆他の共演者の方とお話されたりは?

ドラマでは、運ばれてきて、ベッドで寝ていて、呼吸器がついていて…という元気のない演技をしている子供たちですが、撮影以外のときはすごく元気で。元気な子供たちとお話をするときはホッとします。

◆撮影の中で印象的だったことはありますか?

撮影現場の雰囲気はすごくやわらかい印象です。座長の吉沢さんが周りに全く気を遣わせない方なので、無理せず入っていける感じですね。撮影シーンで特に印象に残っているのは手術のシーンです。スタッフさん・キャストの皆さん含め、全員が真剣に取り組んでいらっしゃって。急患が運ばれてきたときの小児外科やPICUの立ち回りの監修を植田先生と浮山越史先生がやってくださっているのですが、実際の現場がある中、本当に忙しい中で対応してくださっています。きちんと医療ドラマに関わってくださっていて。時間がない中ですごくきめ細やかに教えてくださいました。そういったところが特に印象に残っていますね。

◆安田さんは北海道のご出身ですが、今回北海道を舞台にした作品に出演されるということへの心境はいかがでしょうか?

やっぱりうれしいです。自分が生まれ育った故郷ですし。でも故郷とは言っても北海道は広いですから。九州の2倍あるそうです。

◆ドラマの映像を見て懐かしいと感じたところはありますか?

月に一度、北海道の番組で北海道には行っているのですが、そのときには感じないような感情になりました。仕事で車窓を見ていても何も感じないのですが(笑)、プライベートのときに車窓を見ると、全然違う感覚になります。

ドラマを拝見しているときに、第三者として北海道を見ることができるのですが、やっぱり絵になるな~と思いますね。実際に北海道でのロケもありましたが、「20年くらい前はここでラジオをやっていたな」「あそこでバイトしていたな」「ここでレポーターやっていたな」と思いながら、「今はここでドラマのロケをやってるんだ」と不思議な気持ちになりました。同じ自分なのに遠いというか。

『PICU 小児集中治療室』
『PICU 小児集中治療室』©フジテレビ

◆撮影の中で苦労したなと思うことはありますか?

全部苦労したと言えば苦労しましたし、全部楽しいと言えば楽しいという(笑)。ただ、積み重なっていくのはあります。ドラマなのでフィクションではあるのですが、「心臓マッサージをしてください」「アラートが鳴って0という数字が出ます」「それを見てください」という作業で、「私も同じ経験をしました。その子のことを思い出しました」というお話を植田先生から聞いて。そういうものが積み重なっていくのはきついです。でもそれが大切なことでもあると思います。「助かった、良かったね」というときもある中で、「生きる力を与えてあげられなくてごめんね」というときもあるかもしれない。それが、医療の現場で働く方たちが積み重ねてきたものなんだなと思いました。

◆今後の見どころは?

志子田先生と植野の関係性も見どころですし、それぞれの登場人物が抱えているものであったり、運ばれてくる子供たちであったり…。毎週毎週突き付けられるものもあると思いますが、それを温かさで包んでくれる作品だと思っています。植野だけではなく、それぞれに心に届くせりふが出てくると思います。さまざまなシチュエーションがあって、つらいシーンもあると思いますが、共に走っていく、共に乗り越えていくという温かさがあるはずなので、ぜひご覧いただけるとうれしいです。

◆特に印象に残っている回はありますか?

特に好きなのは4話(10月31日放送)です。すごく心を打たれました。視聴者の皆さんが、乗り越えようとする力を感じ取ってくださったら、本当にこの作品に携われて光栄だなと思います。

PROFILE

安田顕
●やすだ・けん…1973年12月8日生まれ。北海道出身。A型。

番組情報

『PICU 小児集中治療室』
フジテレビ系
毎週月曜 午後9時~9時54分

公式HP:https://www.fujitv.co.jp/PICU/
公式Twitter:@PICU_cx
公式Instagram:@picu_cx

最新放送回 無料配信中
TVer:https://tver.jp/series/sr4pyp6ja3
FOD:https://fod.fujitv.co.jp/title/904x

この記事の写真

©フジテレビ