【M-1ファイナリストカウントダウン(7)】真空ジェシカ/昨年の初決勝進出からの変化で「僕たちのアイデンティティーが今、失われようとしている」

特集・インタビュー
2022年12月15日
真空ジェシカ(左からガク、川北茂澄)©M-1グランプリ事務局

漫才日本一を決める「M-1グランプリ」が今年も開催される。昨年は“2人合わせて93歳”のコンビ・錦鯉が優勝という驚きをもたらし、その後のテレビ出演も激増。この1年で大きく躍進し、日本中に大きな笑いと希望を振りまいた。また、昨年のファイナリストからはランジャタイやモグライダーなど、何組もの芸人が飛躍を遂げた。

今年のファイナリスト9組はいわゆる“常連組”がおらず、決勝初進出が5組、2度目の決勝進出が4組のフレッシュな顔ぶれ。TV LIFE webでは毎日1組ずつファイナリストのインタビューをお届けしていく。

7組目は、昨年に続いての決勝となる真空ジェシカ。初決勝進出だった昨年、発表会見で手製の小道具を頭からぶら下げるなどトリッキーなボケを連発し、所属事務所(プロダクション人力舎)の社長から「そんなことでは来る仕事も来なくなる!」と怒られたというが、心配ご無用。今年に入ってテレビ出演も急増。独特のキャラが受け入れられつつあり、活動の幅を着実に広げている。


◆決勝進出、おめでとうございます。まずは今のお気持ちを聞かせてください。

川北:2年連続の決勝進出は“史上初”だと聞いたので、まずはすごいことだぞ、という気持ちです。

ガク:史上初ではないからね。すごいことに違いはないけど、すでに2年連続の人はたくさんいるから。笑い飯さんとか、もっと連続だから。

川北:笑い飯さんとか言われちゃうとさ……。

ガク:今年で言ったら、ロングコートダディさんも2年連続だし。

川北:それを言い出すとキリがないけどさ。でも「すごいことだ!」という気持ちです。

ガク:決勝に行くつもりではあったんですが、2年連続で行けると思っていなかったので、まさかという気持ちです。あとは、ずっと一緒にやってきたキュウさん、ダイヤモンドさんとかも一緒に出られるので楽しみですね。

◆今年の準決勝までを振り返ってみると、いかがでしたか?

川北:昨年決勝戦に残った「もも」が3回戦で落ちたりとか……。昨年とは違うんだぞというのを見せつけられた予選でした。

ガク:準々決勝でも、昨年いっしょに決勝に行った人たちが落ちてしまって。昨年行ったからといって、通るわけじゃないんだというのがすごくあったよね。

川北:そう、そんな中での2年連続での決勝進出はやっぱりすごいことですね。

ガク:いつまで言ってるんだよ(笑)。今年は初めてのシードで2回戦からの出場だったんですが、エントリーフィーの支払いのことを失念していて、2回戦会場の受付で持ち合わせがなくて払えなかったんです。でも去年決勝に行っていたおかげで「払った実績がある」と受付の方に認めてもらえて、あとからマネージャーさんに支払ってもらい事なきを得ました。昨年、決勝に行ってなかったら2回戦で落ちてましたね。

川北:場合によっては「失念により敗退」していたからね。よかったよ、ほんとに。

真空ジェシカ(左からガク、川北茂澄)©M-1グランプリ事務局

◆ほかのM-1ファイナリストの中で意識しているコンビはいますか?

川北:やっぱりオズワルドですね。

ガク:(食い気味に)あ! 今はファイナリストの話をしているからさ。

川北:(食い気味に)え!? オズワルド落ちたの? (真顔に戻って)去年もそうでしたが、今年も一緒にライブに出ていた先輩が多いので、この人たちに負けるならしょうがないなという感じもあるんですよね、実は。

ガク:確かに。後輩でいうとヨネダ2000くらいかもね。でもヨネダも気づいたら賞レースに勝ち残る常連みたいになっちゃってるし……。

川北:もう先輩みたいなもんだよね。

◆敗者復活で勝ち上がってきたら脅威になると感じるコンビは?

川北:やっぱりオズワルドですね。

ガク:そうそう。ようやく質問と回答が噛み合ったよ。

川北:まさか落ちていたとは……。

ガク:オズワルドのこと好きすぎじゃない?(笑)

川北:でも、オズワルドに限らず敗者復活から上がってきたら、笑神籤でいい出番順になる可能性もあるし、わからないですね。

◆優勝すると賞金1000万円です。どう使いますか?

ガク:まだ実感がわかないです……。

川北:まだ優勝したワケじゃないもんな。

ガク:優勝して実際に1000万円を手に持ってみないと分からないです。

川北:僕はかわいそうなオズワルドにあげたいですね(笑)。

ガク:関係性があるからこそそんなこと言えるけど、敗者復活からまくられる可能性だって十二分にあるからね?

真空ジェシカ(左からガク、川北茂澄)©M-1グランプリ事務局

◆優勝後にM-1チャンピオンとして冠番組を持てるとしたら、どんな番組にしたいですか?

ガク:動物番組がいいですね。誰が見ても面白いですし、いろんな動物と触れ合ったり、時に戦ったりしたいです。

川北:戦うのは違うんじゃない? でも動物番組はいいね。動物と「ぷよぷよ」やるってことでしょ?

ガク:やんねーよ! 動物たちが不利すぎるだろ。

川北:たしかに。動物はナシにしよう。

ガク:「ぷよぷよ」をナシにしろよ。

川北:だったらオレらがロケに行ったVTRを動物たちが観るっていうのは?

ガク:あ! それ良いかも!

◆お2人の強み、「ファイナリストの中で自分たちが一番○○だ!」と言えるものは何でしょうか?

川北:昨年の決勝では「一番痩せている」というのが持ち味だったんですが、今年は相方が太り始めてしまって……。ちょっと僕たちだけの持ち味がなくなってしまったぞ、と。

ガク:そう、僕たちのアイデンティティーが今、失われようとしています。

川北:ほかに何かあるかなあ?

ガク:うーん……ファイナリストの中で「一番声がこもっている」ことかな。こんなにも声がこもっているのに、あんなに大きな会場でお客さんを笑わせたことは、強みと思っても良いんじゃないかと思います。

◆最後に決勝へ向けた意気込みを!

ガク:(大きく息を吸って)ずぇってぇ優勝。

川北:まーちゃんごめんね……ママタルトが(決勝まで)上がってきたら他の言葉にしようと思っていたんですが、ママタルトが上がれなかったので「まーちゃんごめんね」はまだ僕のものです(笑)。
※「まーちゃんごめんね」=ママタルトのボケである大鶴肥満の持ちネタ。「まーごめ」「Mごめ」とも言う。川北は昨年も意気込みを「まーごめ」と答えている。

●text/松田優子

真空ジェシカ(左からガク、川北茂澄)©M-1グランプリ事務局

番組情報

『M-1グランプリ2022』
ABC・テレビ朝日系列全国ネット ※生放送
2022年12月18日(日)午後6時34分 〜10時10分

『M-1グランプリ2022 敗者復活戦』
ABC・テレビ朝日系列全国ネット
2022年12月18日(日)午後2時55分〜5時25分 ※一部地域を除く

『M-1グランプリ2022 アナザーストーリー』
ABC・テレビ朝日系列全国ネット
2022年12月26日(月)午後11時15分〜深夜0時15分

番組公式HP:https://www.m-1gp.com/

©M-1グランプリ事務局