ジャニーズWEST『イキスギさんについてった』総合演出・田村裕之が語る7人の“寄り添う力”「人の心をつかむ能力に長けている」

特集・インタビュー
2023年01月10日

◆番組のコンセプトである“イキスギさん”に着目した理由を教えてください。

実は“イキスギさん”に着目したのが出発点ではないんです。ジャニーズWESTの企画を考えるところがスタートでした。ジャニーズWESTと何を掛け算すれば番組として面白くなるかを考えました。というのも、『爆笑!ターンテーブル』でMCを務めてくれた桐山さんはもちろん、神山(智洋)さん、濵田さん、小瀧(望)さんにプレーヤーとして、重岡(大毅)さんにゲストで出演していただいていたので、打ち合わせやネタ合わせを一緒にするにつれて、一方的な親近感を勝手に覚えまして、僕も関西出身なので…いつか一緒に仕事ができればと思っていました。そんな想いもあって出した企画書が通ったんです。

ジャニーズWESTはタレントとしてのポテンシャルがメンバー7人とも高く、より展開が読めないロケ、一般の方と絡むと必ず面白くなるだろうなと思っていました。彼らの“近所のお兄ちゃん感”と“近所にいそうなイキスギさん”との掛け合わせはマッチするだろうなと。これまでマニアと呼ばれる一般の方は今までのテレビでも紹介されてきましたが、1つの店に行き過ぎている方にアイドルが密着する、というコンセプトは私が知る限りなかったように思うので、ジャニーズWESTとイキスギさんの掛け合いは、この番組の見どころの一つではないかと思います。

◆どんな化学反応を期待されていましたか?

この番組が始まるときにジャニーズWESTの皆さんに企画説明の際に伝えたのは、「唯一この番組でこだわってほしいのは、イキスギさんと仲良くなってください」という部分でした。きっと仲良くなったら、おかしなことが起きたときに気兼ねなくツッコんだりできるなと思いました。

全員に、一般の方との距離感の近さ、すぐ心を開かせる聞く力、受け入れて共感、寄り添ってあげる力がある。かつ、すぐ仲良くなるので、違うことには違うと言えたり、「なんでやねん」とツッコんだり「これはさすがにイキスギていて理解できないっす」とか言えたりする。これって出会って1日の人にロケとはいえ言えるのって実はすごい事だと思います。
あと、たまにナレーションとかでこちら側がボケたり、ジャニーズWESTにツッコんだりするナレーションをつけたりするのですが、確実にそのナレーションやテロップに対して反応してツッコんでくれる。

例えば、藤井Dのロケでイキスギさんのお子さんが泣き出しちゃったところのテロップに「藤井帰れ~」みたいなのをつけたら、「そんなん言うてへんわ!」とか、ラーマン マソさんの振り返りが異常に長いと「マソ長いな!」とか、ナレーションで「バリカタの絆」と言うと「うまいこと言うな!」とか反応してくれたり、ジャニーズWESTがVTRに確実にツッコんでくれるという信頼のもと机に向かってナレーションを書いています。VTRを見てもらうまでかなり不安なのですが、確実に笑いにしてくれてありがたいです。

◆メンバーそれぞれがカメラを持ち取材ディレクターを務めていますが、一人一人のロケやディレクションの特徴や良さを教えてください。

中間(淳太)Dは『誰にでもツッコむ系ディレクター』。イキスギさんにもガンガンツッコんでいくんですよ。中間DがVTRの担当のとき、メンバーのやいのやいのも多くて、博学でしっかりしている印象なのに、メンバーからのイジリが多く愛されているなと思います。マネージャーさんがユニフォームの水色シャツを新幹線に忘れたときも笑いに変えられていて対応力がすごいです。

濵田Dは『ピュア&感動系ディレクター』。#26のサーカスBARの回では、イキスギさんが店に通う理由を聞いて、不純な動機を考えていた濵田Dはすぐに「自分が恥ずかしい」と言える、その人柄ですよね。イキスギさんによく放置されるくらい隙があり、放置されているのに放っておけないという逆転現象があったり。若手スタッフの名前まで覚えてくれていて、名前で呼んでくれたり、#4の『姿・形もキリンになるのが夢のイキスギさん』の時もキリングッズを2つプレゼントしたりと、圧倒的な他人への優しさを感じます。

桐山Dはイキスギさんがトリッキーな事を言ってきたときの切り返しが非常に速いです。そして、イキスギさんがうまく話せていないときに、かみ砕いて視聴者に伝える能力にも長けている。スタジオでのメンバーへのツッコミ力もあって、ロケも安定安心。この番組一発目の定食酒場食堂は桐山Dでしたし、全てはそこから始まっています。「奇抜な洋服店はやとちり」の少しコワモテなイキスギさんを見て「東京リベンジャーズから出てきたみたい」というような、強力な一撃も打てる、『超万能型ディレクター』です。

重岡Dは『ギャップ萌え系ディレクター』。いい意味で人の心に土足で入り込める、距離感の縮め方が抜群のインファイターです。もしかして出会ったイキスギさんからすると、一番緊張するのが重岡Dなのかもしれないけど、実は人懐っこくて、そのギャップにみんなすぐやられているように感じます。VTRに対してのコメントにしても、#25の放送が①焼きそば②片手袋というVTR2本立てだったのですが、2本目の片手袋VTRを見終わった直後のスタジオで「これも焼きそばっちゃ焼きそばですよね」というひと言だったり、芸人さん顔負けのボケもできる。#17の掛川花鳥園でフクロウを見て「急にコメント振られて何にも思い浮かんでへん時の濵ちゃん(濵田)みたいな顔」みたいな例えもうまいですよね。

藤井Dは『正統派天然系ディレクター』。先ほども言いましたが、テレビ番組のディレクターとしてもやっていけるくらいの取材力&何に対してもフラットな目線の持ち主。#1の総長たちの口ケンカを撮っているカメラの画角に対して「スタッフさんもビビってる」のひと言や千里川えっちゃんの人生を聞いて「小説読んだ気分なったわ」のオシャレなひと言も言える。5億%クイズなどでスタジオを盛り上げてくれたり、番組で紹介したものを他番組やメディアで一番紹介してくれていて、実は一番ハシャイでいるとうわさのDです。

神山Dは人の『心をこじ開けられるパワー系ディレクター』。イキスギさんに心を開いてもらうのが異常に早い&うまい。神山Dだからこそ引き出せるエピソードも多いです。糖衣華さんとの人形劇は、普通鬼スベりしそうな案件だと思うのですが、神山D自身が愛嬌にあふれ、あれを真剣に出来る人だからこそ笑えましたし。もちろんメンバーからのツッコミを信頼してあんな恐ろしい事ができたんだと思いますが(笑)。ナルシストな事をVTRで言うときも、メンバーのツッコミありきで語ってますしね(笑)。それでいて、VTRを見ている時、違和感に対する反応速度が実はめちゃくちゃ早い。#20のチャ王の回、中間Dが麺をすすっているのを見て「じゅるる」のひと言など言葉のチョイスも良いんですよね。

小瀧Dは『ワードセンス系ディレクター』。スタジオでもロケでも活躍できるワードセンス&手数が多いハードパンチャー。そんな小瀧Dだからこそ、#29で放送した、あのコメント合成企画ができた。(小瀧Dが別仕事で欠席だったため、スタジオコメントやVTR中のコメントを全て別の回のものを合成して放送した)#10の怪談売買所の回の霊媒師秋山さんを見て、唇が特徴的だったことから「淳太の親戚やん」って言ったコメントなど数を挙げればきりがない。小瀧ドローンなどの武器を勝手に生み出してくれてありがたいです。

◆今回ロケに行かれたのが濵田さん、桐山さん、藤井さんの3人だったのも、そういった理由からなんですね。

今回のイキスギさんとマッチするだろうなという3人ですね。3人ともそれぞれの好物(濵田Dラーメン好き、桐山Dうどん好き、藤井Dカレー好き)のロケという事もありましたし。なので、ジャニーズWESTのメンバーの誰に行ってもらおうからではなく、どんなイキスギさんなのかを先に考えますね。そこからマッチするのは誰だろうと考えていく感じです。

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