山崎育三郎×松本穂香インタビュー「凸凹はひとつの才能でもあると思うんです」『リエゾン-こどものこころ診療所-』

特集・インタビュー
2023年01月20日
左から)松本穂香、山崎育三郎

主演・山崎育三郎×ヒロイン・松本穂香が、感動作の名手として名高い脚本家・吉田紀子とタッグと組んでおくる本作。累計120万部を突破し、「モーニング」(講談社)で現在も連載中の同名漫画が原作となっている。

多くの人が生きづらさを感じる現代で、不得意なことがあったり、時に周りを困らせてしまったりする特性を持つ“発達障害=凸凹(でこぼこ)”を抱えていたら―。本作は、郊外の児童精神科クリニックを舞台に、自らも凸凹を抱える院長・佐山卓(山崎)と研修医・遠野志保(松本)のコンビが、さまざまな生きづらさを抱える子どもとその家族に真っすぐ向き合い、寄り添っていく姿を描く感動の医療ヒューマンドラマだ。

難役に挑む山崎さんと松本さんが演じる当たって大切にしていることや現場で行っていること、本作に感じる魅力や伝えたいメッセージとは。さらに、インタビュー終盤ではお2人の“推し芸人”トークも展開します。


◆お2人は2021年公開の映画「ミュジコフィリア」でも共演していますが、本作での共演を経て、あらためて感じるお互いの印象はいかがですか?

山崎:穂香ちゃんは役に対してとても誠実で、受け止め方が繊細な方。確かに“志保”としてそこにいてくれるので、僕も引き出されるものがありますし、絶対的な安心感があります。そして、基本的に全くせりふを間違えないんですよ。今回は医療用語もたくさん出てくるので難しい部分もあるのですが、そういうところもいつもほぼ一発で決めますし、本当に尊敬する役者さんです。

松本:いやいや…。ありがとうございます。育三郎さんは、いつも「なんでこんなに優しいのだろう!」と思います。とにかく周囲に気を遣いながら、現場を引っ張っていっていただいている印象です。

山崎:そうでしょう?(笑)。前と印象は変わっていますか?

松本:そうですね(笑)。前とは役柄も全く違いますし、いい意味で変わった部分はあるかもしれないです。いつも現場の空気が穏やかなのは育三郎さんのおかげだと思います。

◆原作は漫画ファンの間で話題を呼んでいる大ヒット作です。脚本とあわせて、原作を読んだ際にどのようなことを感じられましたか?

山崎:脚本はもちろん、原作も読ませていただいたのですが、僕自身も日々子育てをしている中で、共感できる部分がたくさん描かれていて涙があふれました。いわゆる医療モノのように、病気を完璧に治療したり、何かをズバッと決断する、というような物語ではないかもしれません。でも、読み終わった後にとても温かい気持ちになって、「こんな作品がやりたかった!」と心から思える本に巡り合えたな、と感じました。

松本:私もまず原作を読ませていただいたのですが、そこで感じた温かい部分が脚本にも詰まっているなと思ったんです。誰か1人だけにフィーチャーするのではなく、全ての人に寄り添うような、繊細で優しい脚本だなと。「この作品に携わらせていただけてよかった」と思えるようなお話を毎回いただけるので、日々奮起しながら臨んでいます。

山崎育三郎

◆それぞれ佐山と志保を演じる上で、お2人が大切にしたことは?

山崎:現場に発達障害の当事者の方が来てくださっているのですが、「こういう状況の時はこういう感情になることが多いです」ということを教えていただいたり、ちょっとした動作でも気になったことは細かく確認しながら進めています。ひとつひとつに嘘がないよう、より丁寧に描いていけたらと。

松本:私は原作を繰り返し読ませていただいているのですが、志保は凸凹ゆえの手足の動きなどが絵でも描かれているので、立ち姿などは原作からも取り入れています。やはり、原作の世界観は大切にしていきたいです。

◆今回、お2人は発達障害をもつ役を演じるに当たり、事前に準備されたこと、取り組まれていることなどはありますか?

松本:いろいろな本などを読んで勉強しながら、私も現場でその当事者の方にその都度質問させていただいています。あと、脚本の吉田(紀子)さんが志保のプロフィールを書いてくださったんです! 「字が汚くてノートが読めない」みたいなことだったり、彼女の生い立ちを細かいところまで書いてくださっていて、それも参考にさせてもらっています。

山崎:僕も、佐山の分厚いプロフィールをいただいたので、それを取り入れながらやっているのですが、こういうものをいただけたのは初めてですね。あと、当事者の方が「僕はそういう動きはしません」「そういう状況で目線は合わせられないと思います」というようなご指摘もすぐに言ってくださって。

◆当事者の方がそばにいて声をかけて下さるというのは、お芝居をされるに当たってとても大きなことのように思います。

山崎:そうですね。佐山が体操をするシーンがあるんですけど、「山崎さん、カッコよく動きすぎです」といったお言葉もありました(笑)。ちょっと前までミュージカル(「エリザベート」)をやっていたので、つい気合が入ってしまって…(笑)。「もっと力を抜いて」など、そういう体の使い方も教えていただいています。

◆ドラマには子どもたちもたくさん登場するかと思いますが、現場の雰囲気はいかがですか?

山崎:本当に、子どもたちがいると現場の空気がすごく明るくなるんです。本番が始まる直前まではみんな自由に動いているのですが(笑)、本番が始まると一瞬で変わって、泣くシーンなども完璧なんですよ。あの集中力には毎回驚かされますし、子どもには嘘がないので心が動かされます。

松本:本当にそうで、直前までにぎやかにしていても、本番に入るとすごく繊細なお芝居をするんです。キャラクターとしてその子の中に渦巻いている感情が見えますし、誰にも何も言われていないのに自然と動いていたり、役にスッと入れるところがすごいなと。逆に勉強させてもらうことも多いです。

松本穂香

◆ドラマでは、佐山の趣味としてチェロを弾くシーンも登場するとお聞きしました。

山崎:はい。佐山も凸凹ですが、そのひとつの症状として、“毎日同じことをやらないと精神的に落ち着かない”というのがあるんです。今回、そのルーティンが“チェロを弾く”ということで、先生にレッスンしていただいて演奏も披露しています。一見スパイス的に見えるかもしれないのですが、佐山にとってはこれも症状ゆえなんですよね。

◆お2人は、ご自身の生活におけるルーティンはありますか?

山崎:うーん…。僕はルーティンを決めないようにしているのもあって、“コーヒーを飲む”ことぐらいです。昔は舞台やミュージカルの際にルーティンを決めてやっていたのですが、それができなかった日は緊張してしまったり、うまくいかなかった経験もあって、今はルーティンを作らないようにしています。

松本:私も特に無いのですが、強いてあげるなら“お風呂にゆっくり浸かること”ですね。そこで台本を読んだり、歌を歌ったりして、ストレス発散も兼ねてリラックスしています。

◆お2人がこのドラマを届けるに当たって、視聴者の方に伝えたいメッセージを教えて下さい。

山崎:このドラマの中には発達障害を指す“凸凹”という表現が出てきますが、僕個人の考えとしては、誰もが何かしらの凸凹を持っていると思うんです。“発達障害”というと言葉のインパクトがちょっと強いので、大きなものとして受け止めがちですが、そもそもがみんな違う人間ですよね。今は、その人にしかないものに価値が見出される時代ですし、僕も凸凹はひとつの才能でもあると思うんです。それをみんなで受け止められる社会になればいいなと思いますし、このドラマを通じて、僕らのそういった思いを感じていただけたら幸せです。

松本:育三郎さんがおっしゃったように、世の中にはいろんな人がいて、自分とは違う人たちのことをどう捉えるか、私たちの見方で変わることもたくさんあると思うんです。発達障害にはまだまだ知られていない部分もたくさんあると思うので、このドラマをきっかけに何かを知って、理解したいと感じていただけたらうれしいなと思います。

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左から)松本穂香、山崎育三郎

Q.佐山と志保は発達障害をもつ子どもたちやその家族にそっと寄り添い、そのこころを診療しますが、お2人のこころを癒してくれる存在やアイテムは?

山崎:やはり自分の子どもですね。寝顔を見るだけで1日の疲れが吹き飛びます。

松本:私は母親と、あとは飼っているワンコです。もう、本当に癒されるんですよ!

山崎:あと、僕はピアノかな。家にピアノがあって、ほぼ毎日弾いているのですが、音楽が流れている時間は自分だけの世界に浸れるといいますか、日々のいろんなことから解放される気がして…。メロディが心を浄化してくれて、穏やかな気持ちになれるんです。

松本:私はお笑いが好きなので、YouTubeとかで芸人さんのコントを見たりもします。

山崎:それ、僕も一緒。大好き!

松本:本当ですか!?(笑)。私、もうずっとジャルジャルさんが好きなんです。あと、最近だとシソンヌさんやジェラードンさん。山崎さんは?

山崎:僕はクロちゃん。あれだけ自分を解放して生きるって、なかなかできることじゃないですよね。『水曜日のダウンタウン』の恋愛企画もすごかったですし、クロちゃんを見ると元気が出ます(笑)。

PROFILE

山崎育三郎
●やまざき・いくさぶろう…1986年1月18日生まれ。東京都出身。A型。毎週日曜に放送中の『おしゃれクリップ』(日本テレビ系)でMCを務める。出演映画「イチケイのカラス」が全国公開中 、2023年3月21日(火・祝)に東京ガーデンシアターにてライブイベント「THIS IS IKU 2023」の開催を控える。

松本穂香
●まつもと・ほのか…1997年2月5日生まれ。大阪府出身。O型。毎週土曜に放送中の『アートフルワールド~たぶん、すばらしき芸術の世界~』(BSフジ)でナレーションを務める。玉城ティナとW主演を務める映画「恋のいばら」が全国公開中、2月4日(土)放送のドラマ『大河ドラマが生まれた日』(NHK総合)に出演する。近作は映画「“それ”がいる森」「今夜、世界からこの恋が消えても」「ミュジコフィリア」など。

●photo/徳永徹 text/片岡聡恵 hair&make:花村枝美(MARVEE) stylist:山本隆司(山崎/style³)、浅田晶子(松本/東京衣裳)

番組情報

『リエゾン-こどものこころ診療所-』
テレビ朝日系
2023年1月20日(金)スタート
毎週金曜 午後11時15分〜深夜0時15分 ※一部地域では放送時間が異なります。

番組公式HP:https://www.tv-asahi.co.jp/liaison/

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<応募方法>
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当選者の方には、TV LIFE公式TwitterアカウントよりDMでお知らせいたします。
TV LIFE公式Twitter(@tv_life):https://twitter.com/tv_life

<応募締切>
2023年1月27日(金)午後11時59分

※応募規約(https://www.tvlife.jp/present_rules)をご確認いただき、ご同意の上、ご応募ください。