「自分を認めてあげれば大変なことも乗り越えられる気がする」伊藤美来が4thアルバムでポジティブな気持ちを歌う理由

音楽
2023年02月14日

声優・アーティストの伊藤美来さんが4枚目となるアルバム『This One’s for You』を2023年2月15日(水)にリリース。「ギフト」がテーマの本アルバムにはポジティブな気持ちになれる楽曲が集まっているという。今回は伊藤さんに2022年の活動を振り返ってもらいつつ、アルバムのこと、また今後の音楽・声優活動についてもお話を聞きしました。

伊藤美来

◆2022年は伊藤さんにとって、どんな1年でしたか?

アーティスト活動の面では「青100色」のリリースやライブツアーに加えて、アコースティックライブをしたり、多くのフェスに出演させていただいたりと、いろいろな挑戦をした1年だった気がします。役者の面でも朗読劇に出演したり、自分が今まで経験してこなかった役を演じたりする機会がたくさんあって。挑戦することが多かったゆえにつまずくことも多々ありましたが、自分を「頑張れ、頑張れ!」と鼓舞しながら何とか歩みを止めずに進めました。成長できた1年になった気がしています。

◆『仮面ライダーリバイス』ではラブコフの声だけでなく、本人役でもご出演されていましたね。

アニメのアフレコとはいろいろと違って、多くの学びがありました。本人役として出演した際は、全然違う世界過ぎて驚きっぱなしで。カメラの撮り方ひとつでも、MV撮影などするときとまるで違うんです。すごく緊張しました。

◆そういった活動を経て、2023年にアルバム『This One’s for You』がリリースされます。テーマは「ギフト」。こちらはどのようにして決まりましたか?

伊藤美来の音楽チームみんなで「テーマ決め打ち合わせ」をやったのですが、最初は変な案しか出てこなくて(笑)。なかなかまとまらずどうしようかと悩んでいたのですが、それならいっそのこと考え方を変えてみようと思ったんです。今回はどんな曲を届けたいかではなく、「私がお客さんだったらどういうテーマのアルバムがあればうれしいのか」と考えてみることにしました。

◆なるほど。

そうやって今の私に必要だと思ったことが「自己肯定感」。自分のやっていることを認めてもらえるような曲があればうれしいなと思ったんです。2022年はつまずくことが多かったと先ほど言いましたが、そういう大変なときに「それもこれも成長するための神様のギフト」だと思えれば、日々生きやすくなる気がするんです。自分を認めてあげれば大変なことも乗り越えられるようになるんじゃないかと思い、「ギフト」というテーマに至りました。

◆こういうアプローチの仕方は、これまでリリースされた3枚のアルバムとは異なる?

はい。これまでは音楽性を追求したアルバムが多かった気がします。例えば1stアルバム『水彩 〜aquaveil〜』は、伊藤美来の音楽性を模索するためにいろいろな楽曲を歌いました。続く2ndアルバム『PopSkip』では方向性が徐々に固まり始めたので「私の音楽はこうですよ」と提示して、3rdアルバム『Rhythmic Flavor』はその方向性を踏まえてちょっと新しいことに挑戦してみたんです。対して今回は、もちろん音楽的な挑戦もしていますが、いつも以上にテーマをギュッと詰め込んでいるんですよ。自分をなかなか認められない方々に歌の「ギフト」をプレゼントできれば、という気持ちでいます。

伊藤美来

◆そんなアルバムに収録される新曲を中心にお話を聞かせてください。まずは「laid back」。

「のんびり」というタイトル通り、ゆったりテンポの楽曲です。「自分の歩幅でいい」という思いがこもった曲で、歌詞には「自分のなかにある距離感やスピード感で生きていいんだよ」という言葉が散りばめられています。

◆心地よいスピード感や距離感って、人それぞれですもんね。

そうなんです。あなたも私も急がなくていいし、距離が近くたって遠くたっていい。誰かに合わせるんじゃなくて、自分の歩幅で生きていけばいいというメッセージを込めた曲になっています。レコーディングでは語りかけるように歌うことを意識しました。イントロが私のブレスから始まるので、耳を澄まして聞いてもらえたらと思っています。

◆レコーディングは緊張しましたか?

曲の雰囲気をつかめれば早かったですね。この曲はリラックスした状態で柔らかい声質が出るよう、座ったままレコーディングしたんです。立って歌っているときとの違いが伝わればいいな。

◆この曲がアルバムの1曲目ですが、曲順は最初から決まっていたんでしょうか?

決まっていました。既存曲をどこに入れるのかも最初から考えていましたし、方向性や曲順を決めてから新曲の制作もスタートしたので、まとまりのあるアルバムに仕上がっていると思います。

伊藤美来
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