金子大地が『育休刑事』を通じて感じた“赤ちゃん”の魅力「蓮君によって引き出されている表情も多いんです」

特集・インタビュー
2023年06月06日
『育休刑事』©NHK

育休中の男性刑事が事件に巻き込まれ、“赤ちゃんの育児中”だからこそ気づいたヒントを基にそれらを解決していく『育休刑事』(NHK総合ほか)。主人公・秋月春風役を演じる金子大地さんに、役柄についてや子育てへの思い、撮影時のエピソードなどを聞きました。春風の息子・蓮君をはじめとする赤ちゃんたちへの愛あふれるコメントにも注目です。


◆本作のタイトルを初めて聞いたときの印象は?

最初にタイトルを聞いたときは一体どのようなお話なのか想像ができなかったのですが、まず語感が面白いなと。原作を読むまではもっとコメディに寄った作品なのかなと思っていたのですが、いざ手に取ると想像以上に子育てについてしっかりと描かれており、演じる上でもとてもやりがいを感じています。

◆春風を演じるうえで、子育てについて感じたことは?

率直に、子育てってこんなに大変なんだと驚きました。僕は普段赤ちゃんたちのかわいい姿しか見ていないうえ、撮影中のわずかな時間一緒にいるだけでも神経を使うのに、赤ちゃんと長時間一緒に過ごし、お世話をされている方々は本当にすごいと思います。そして、自分もこうやって育ててもらったのだなと、あらためて考えるきっかけにもなりました。

◆春風役を演じるに当たって、事前に準備したことは?

これまで身近に赤ちゃんがいたことがなく、抱き方をはじめ、本当に1から全てを教えていただいて撮影に臨みました。もともと子供は好きだったのですが、撮影を通してさらにその思いが強くなって。赤ちゃんがいる日の現場といない日の現場だと全然テンションが違いますね(笑)。赤ちゃんがいるとうれしくて、毎回ギリギリまで一緒に遊んでいます。

『育休刑事』©NHK

◆金子さんは春風をどのような人物と捉えていますか?

僕が演じる春風は真面目で冷静で、いつも心の中で何かを考えているようなキャラクターです。周囲に比べると決して個性的ではないので、演じるに当たっては常にフラットでいることを心掛けています。春風はどちらかというと受けの芝居が多いのですが、エンジン全開な姉の涼子(前田敦子)や妻の沙樹(北乃きい)をはじめ、石蕗さん(鶴見辰吾)ら捜査一課の皆さんもキャラクターが濃い方々ばかりなので、それを純粋に受けていれば芝居が成立するという、とてもやりやすい環境です(笑)。涼子たちのテンションに引っ張られそうになりつつ、常に一歩引いて周りを見ていなくてはいけないので、ついふざけたくなってしまう自分を抑えるというのが、ちょっと苦戦しているところでもあります(笑)。

◆本作は育児考証やジェンダー考証が入っていることも話題に上がっています。出演を通じて得た、新たな気づきはありましたか?

第3話でも“ワンオペ育児”が題材になっていましたが、子育てを1人でするのは本当に大変なことだなと。家族だけでなく、もっと周りにいる人たちみんなで赤ちゃんを見ていける環境があるといいなと思いました。ワンオペ育児から深刻な事態につながることも多くあると知り、親も1人の人間であるということをあらためて感じています。

◆赤ちゃんと共にお芝居をする大変さは?

大変なことは全くなく、むしろ助けられてばかりです。そのかわいらしさで現場が明るくなりますし、実は僕自身、赤ちゃんによって引き出されている表情も多くて。意図していなかった行動に素で驚いたり、愛らしさに思わずほほ笑んでしまったり…。なので、(春風の)息子の蓮君をはじめ、赤ちゃんたちとのシーンはいい意味で演技をしている感覚があまりないかもしれません。撮影が長く続いて疲労が溜まってきたときも、そんな大人たちのことをいい意味で何もわかっていない、純粋な赤ちゃんの表情を見ていると「よし、頑張ろう!」と、元気をもらえるんです。

◆赤ちゃんとの触れ合いを通して驚いたことは?

たった2~3か月でもすごく成長するということ。歯が生えてきたり、おしゃべりができるようになったり…。うれしかったのは、ずっと蓮君に「パパだよ」と吹き込んでいたら、「パパ」と呼んでくれたこと。「パパパパパ…」みたいな感じでちょっとあいまいではあったのですが、僕は「パパ」と呼んでくれたと思っています(笑)。

『育休刑事』©NHK

◆もしいつか自分がパパになったら、どういうパパになりそう?

もうデレデレだと思います(笑)。他人の赤ちゃんでも家に連れて帰りたいぐらいかわいいので、それが自分の子供となったらどうなるか…。とりあえず、たぶん毎日早く家に帰りたいと言うようになると思います(笑)。

◆金子さんご自身の最近の癒しは?

スマートフォンに蓮君の写真がいっぱい入っているのですが、それを見ながらニヤニヤしています(笑)。実は蓮君とのシーンはもう撮り終えてしまったのですが、僕のことなんてすぐに忘れてしまうんだろうなと思ったら寂しくて…。最後の日は熱いハグを交わしてお別れしてきました。いつか蓮君役の子たちが大きくなったときに共演できたら最高ですね。

◆金子さんが感じる本作の魅力や面白さは?

まず、ここまで赤ちゃんが写っているドラマはなかなかないと思います。人形などは極力使わず、できるだけ赤ちゃんと一緒にやるということにこだわっているのですが、結果として赤ちゃんのさまざまな表情を切り取れているのがすごくいいなって。ときに重い展開もあったり、タイムリーな事件が描かれることもあるのですが、決して暗すぎず、気を楽にして見ていただけると思います。キャストの皆さんも個性豊かですし、僕自身、自信を持って面白いと言える作品です。

◆最後に、今後の見どころとアピールをお願いします。

この作品を通じて「子育てってこんなに楽しいんだ」と感じていただけたらうれしいですし、いま子育てをしている方々にとって励みになる部分があればいいなと思います。子育てをするうえでタメになる要素もありますし、途中から見ても楽しめる作品なので、まだ見たことがないという方はぜひこれから見ていただいて、毎週ほっこりしてほしいです。春風も蓮君もまだまだ成長していきますし、クライマックスに向けて事件の規模もよりダイナミックになっていきます。終盤ではアクションにも挑んでいるので、そういった部分もぜひ楽しみにしていてください。

『育休刑事』©NHK

ANOTHER TALK

Q.蓮君以外で本作の推しキャラを選ぶなら?

前田さん演じる姉ちゃん(涼子)です。物語を明るくしてくれていますし、いいスパイスになっていますよね。とてもパワフルですし、前田さんがもともとお持ちのチャーミングさが活きているなって。いつも現場でも気を遣ってくださって、僕の支えにもなっています。春風は涼子に対して絶対にこんなことは言わないと思いますが、金子大地としては“涼子推し”です(笑)。

Q.長い休みがあったら何をしたい?

地元の北海道に帰りたいですね。お気に入りスポットはと言われると難しいのですが、とにかくあの静かで広い環境が好きで。地元でのんびりすることが僕にとってのリフレッシュ法の1つです。普段はサウナに行ったり、友達と会ったり、散歩をしたりして息抜きをしています。

『育休刑事』©NHK

PROFILE

金子大地
●かねこ・だいち…1996年9月26日生まれ。北海道出身。A型。ムラタ役で出演したNetflixシリーズ『サンクチュアリ -聖域-』が現在配信中。連続ドラマW-30『ああ、ラブホテル ~秘密~』(WOWOW/6月23日放送回)への出演を控える。

●text/片岡聡恵

番組情報

ドラマ10『育休刑事』
NHK総合/BS4K
毎週火曜 午後10時~