藤子・F・不二雄のSF10作品を実写ドラマ化『藤子・F・不二雄 SF短編ドラマ』出演は遠藤憲一、加藤茶、堀田真由ら

ドラマ
2022年12月09日
『藤子・F・不二雄 SF短編ドラマ』「流血鬼」

2023年春放送の『藤子・F・不二雄 SF短編ドラマ』(BSプレミアムほか)に、金子大地、堀田真由、加藤清史郎、塚地武雅、水上恒司、加藤茶、井上順、又吉直樹、鈴木杏、遠藤憲一の出演が決定し、コメントが到着した。

「ドラえもん」「オバケのQ太郎(共著)」「パーマン」「キテレツ大百科」など、児童漫画の名作の数々を送り出してきた国民的漫画家、藤子・F・不二雄には、もう一つのライフワークがあった。「ドラえもん」の連載が始まる前年の1969年、大人向けコミック誌にSF「ミノタウロスの皿」を発表。その衝撃的な内容が評判となり、その後は生涯にわたり、刺激的でシュールな味わいのあるSF短編を多く執筆していたという。

作品数は110以上に上り、未知のウイルスによる未曽有の災厄、核戦争の脅威、食糧危機と超高齢化、神の領域まで浸食する生命科学技術など、まるで21世紀の世界を予見していたかのような物語が描かれている。そして藤子・F・不二雄生誕90周年の年に、満を持して10作品の実写ドラマ化が決定。

コロナ禍を彷彿とさせるウイルスのはびこる世界を描いた「流血鬼」(前後編)には、金子大地、堀田真由、加藤清史郎が出演。締め切りに追われる漫画家がタイムスリップする「昨日のおれは今日の敵」には塚地武雅、人の心の声が聞こえる不思議な実を手にした青年の物語「テレパ椎」には水上恒司。

食糧危機に陥った未来の老人の悲哀を描いた「定年退食」には加藤茶、井上順。悪魔との魂の取引をコミカルに描く「メフィスト惨歌」には又吉直樹、鈴木杏、遠藤憲一の出演が決まり、若手からベテランまで実力派俳優が集結した。

発表にあたり、遠藤は「このようなぶっ飛んだナンセンスな物語が40年以上前に書かれたとは驚きです。最初は原作ほどテンションを上げないでいこうと思っていたのですが、結果的に、はちきれた演技になりました。ナンセンスの中に人間の生命への深いメッセージがあるのが、藤子さんらしさですね」と。

加藤茶は「僕は真面目な役でドラマに主演するのはこれが初めてなので、この作品では、僕の真面目な部分、あまり普段見せていない部分を見てほしいな、と思います。売れない時代にジャズ喫茶で出会って以来の友人・(井上)順ちゃんと共演できて、幸せでした」と語っている。出演者10名によるコメント全文は以下掲載。

金子大地 コメント
『藤子・F・不二雄 SF短編ドラマ』金子大地

今回お話をいただいて初めて原作を読みました。今の世界にすごくリンクしていて不気味でヒリヒリするのですが、とても面白くて一瞬で読んでしまいました。僕が演じた少年はオカルトや吸血鬼伝説を信じていて、周りの人たちに「何言ってんだよ」と言われるのですが、それがだんだん現実になっていきます。自分自身ももしかしたら都市伝説が現実になることもあるのではないかと思う時があるので、少年の気持ちは想像しやすい部分が多々ありました。原作を読まれた方にはものすごく再現度の高いドラマになっていると思いますので楽しんでいただけたらうれしいです。

堀田真由 コメント
『藤子・F・不二雄 SF短編ドラマ』堀田真由

少女Aを演じさせていただきました。衣装合わせの段階から原作に忠実に藤子・F・不二雄さんの世界観あふれるキャラクターを作り上げていくことがとても楽しくて仕方ありませんでした。ある人から見れば正しいことも違う人にとっては悪である。物の見方、それぞれの価値観を今現在を生きる私たちに問われた作品だと思います。私自身これまでにお見せしたことのない姿にも挑戦しているのでぜひ、放送を楽しみにしていてくださると幸いです。

加藤清史郎 コメント
『藤子・F・不二雄 SF短編ドラマ』加藤清史郎

子供の頃から読んだり、観たり、ミュージアムに行ったりして触れてきた藤子・F・不二雄先生の作品に携われることが、何よりうれしかったです。『流血鬼』は、SFチックなお話ではありますが、40年以上前に描かれたものにも関わらず、それはよく考えてみれば、我々が生きる現代の生活にも起こりうると思える、あくまで“すこし・ふしぎ”な作品です。正義と不義は表裏一体。吸血鬼と流血鬼によるサバイバルを、どうぞお楽しみください。

塚地武雅 コメント
『藤子・F・不二雄 SF短編ドラマ』塚地武雅

漫画原作であり、何より敬愛する藤子・F・不二雄先生の作品なので、まず見た目から似せたい! というところから始まりました。ご存知の方には似てる! と評判。ところがせりふ覚えが大変! ほとんど1人しゃべりの27ページ。(締め切りに追われているのに寝てしまう)主人公と同じく途中で諦めて寝てしまう夜もあり…。笑。なので役作りはバッチリ! 撮影時は台本、漫画を照らし合わせてと2倍の労力。コマや吹き出しに合わせるところ、でも現代に設定を変えているのと感情の言葉として変えた方がいいところ。そんなバランスも考えながら演じました。大変だった分、達成感も一入。忘れられない作品になりました。

水上恒司 コメント
『藤子・F・不二雄 SF短編ドラマ』水上恒司

ここ数ヶ月間、今回の作品とは全く関係なく、藤子・F・不二雄さんの異色短編集と出会い、その世界観と作品の密度の濃さに魅了されていました。そこに今回のお話を頂き、不思議なご縁を感じると共に無駄なことはないなと思うばかりです。さて、今回の鳥留梨男は私自身、初めて原作に忠実に芝居を重ねて参りました。こんなにも原作のスケールが大きくなると緊張感がすさまじかったです。時が経っても風化せず常に時代に問いかける力を持つ藤子・F・不二雄さんの『テレパ椎』楽しんでご覧ください。きっと、あなたもテレパ椎を持っているはず。

加藤茶 コメント
『藤子・F・不二雄 SF短編ドラマ』加藤茶

この原作はまるで現代版「楢山節考」ですね。50年前にこの未来を見通していたってすごいな、と思いました。今回は、原作マンガに寄せてハゲヅラかぶったほうがいいかな、とも思ったけど、やめました(笑)。 実は僕は真面目な役でドラマに主演するのはこれが初めてなので、この作品では、僕の真面目な部分、あまり普段見せていない部分を見てほしいな、と思います。売れない時代にジャズ喫茶で出会って以来の友人・(井上)順ちゃんと共演できて、幸せでした。二人で演じるのはおそらく「かくし芸」以来。またいろいろ共演したいです。

井上順 コメント
『藤子・F・不二雄 SF短編ドラマ』井上順

撮影はとにかく楽しかったです。高齢社会とは言え何時お迎えが来るかも知れないこの時期に、大好きなカトちゃんが醸し出す温かさや安堵感の中に一緒に過ごした時間は、人生の貴重なオマケのようでした。藤子・F・不二雄先生が50年前に描いた未来はブラックですが、「人とのつながりを失っちゃいけない」というのがメッセージだと思います。演じた役・吹山も、いいオツマミとなれば幸いです。どこでもドアとかタケコプターとかいろいろ夢を与えてくれた藤子先生だけど、現場では、アンキパンが一番欲しかったなぁ(笑)。

又吉直樹 コメント
『藤子・F・不二雄 SF短編ドラマ』又吉直樹

この作品はメフィストのキャラが圧倒的に面白いですね。悪魔は人を苦しめる怖い存在っていう決まりを藤子さんが大胆に捉え直しをしているところはやっぱり斬新だなと思います。主人公は、淡々としていて、無感情で、人間っぽくない人物ですが、僕はそういう人物こそ実は結構人間的だと思います。何を考えているかわからないようなイレギュラーな動きをする人っていますよね。そんな意外な人間と意外な悪魔が、意外な物語を作っていくところをぜひご覧いただきたいと思います。

鈴木杏 コメント
『藤子・F・不二雄 SF短編ドラマ』鈴木杏

又吉さんとご一緒できるという幸運に恵まれてとてもうれしかったです。佇まいから醸し出されるものが原作の漫画が持つムードそのままで、とてもすてきでした。撮影が1日だけだったので、もっと観察していたかったです(笑)。遠藤憲一さんと又吉さんの掛け合いも、拝見するのがとても楽しみです。また、シリーズの他の回を観るのも、楽しみにしています。

遠藤憲一 コメント
『藤子・F・不二雄 SF短編ドラマ』遠藤憲一

このようなぶっ飛んだナンセンスな物語が40年以上前に書かれたとは驚きです。最初は原作ほどテンションを上げないでいこうと思っていたのですが、結果的に、はちきれた演技になりました。一言一句、せりふを繰り返し覚えつつも、一度壊さないとこの役は面白くないと思って、アドリブなのか台本なのか分からないような域に到達するようにしたつもりです。ナンセンスの中に人間の生命への深いメッセージがあるのが、藤子さんらしさですね。僕が悪魔に相談するとしたら、子供の頃の肉体の自由さを取り戻したいかな(笑)。

番組情報

『藤子・F・不二雄 SF短編ドラマ』(各回15分、全12回予定)
BSプレミアム/BS4K
2023年春放送

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