ホリ インタビュー「興味のある社長さんは連絡ください。僕が直接、説明しに行きます!」『ホリプロコムものまね軍団オフィスDEライブ』

特集・インタビュー
2023年09月01日
ホリ

現在、チバテレで放送中の『ホリプロコムものまね軍団オフィスDEライブ』(毎週月曜 午後10時15分~10時30分)。ホリさん率いるものまね軍団が中小企業に出向いて出前ライブをするとともに、企業紹介リポートをするという番組だ。そんな本番組が異色なのは、ホリさん自身が企画・総合演出・番組デザイン・エグゼクティブプロデューサー・ステージ音響、そして営業まで手掛けていること。ものまねタレントとして活躍中のホリさんが、なぜそこまでの労力を注いでいるのか。番組に懸ける思いを聞きました。


◆ホリさんはどの段階から番組作りに携わっているんですか?

本当に最初の立ち上げからですね。どういう番組を作りたいか、チバテレさんに説明するための資料を作り、2020年の秋にチバテレさんにお話して。OKをもらえてから打ち合わせをし、翌年の5月にスタートさせたという感じです。

◆エンドロールを見ると、企画や総合演出、ステージ音響といった制作面だけでなく、「営業」としてもホリさんの名前が並んでいますが。

営業もやっています(笑)。最初は、知り合いの社長さんに持ち掛けたり、番組ロゴを作ってくれたデザイン会社の社長が大学時代の友達だったので、そこにお願いしたりみたいなことから始めて。あとはチバテレさんがやっているビジネスセミナーで、200人ぐらいを前に説明したり、付き合いのある会社を紹介してもらったりという感じです。だいたい8割ぐらいは自分で契約をまとめていますね。いわゆるYouTubeの案件取りみたいなことを、自分でやっているという(笑)。

◆番組の営業まで自分でやられているんですね!

タレントをやる前に会社員をやっていて、営業マンを経験しているからできているんだと思います。勤め先も広告代理店だったから、動き方は当時と似たところもあるんですよ。ただ、タレントとして電話番号や連絡先をばらまくわけにもいかないみたいな、制約もありますけど。もうちょっと本気を出せば、もっと契約が取れる自信もありますよ。あのまま営業マンを続けていたら、そこそこ営業成績よかったんじゃないかな(笑)。

ホリ

◆ここまで深く番組作りに関われることはなかなかない分、やりがいや面白さもあるのでは?

そうですね。もともと大学生の頃、バラエティ番組が作りたかったんです。広告関係の会社に勤めたのも、CMを作れたらいいなと考えたからで。それをなぜ今になって始めたかというと、まぁコロナがあったりして、僕自身タレントとしていつまで食っていけるか分からないなと思ったんです。だったらもう1パターン、もともとやりたかったことをやれるようにしておくのもいいんじゃないかなと。本当にやることが多すぎてものすごく労力をかけているんですけど、やっていることはまさに昔やりたかったことですし、苦ではないですね。

◆オフィスの中でものまねライブをしようという発想はどこから?

昔の音楽番組って、“えっ、こんなところで?”みたいな場所で歌っていたじゃないですか。サラリーマンがいる駅前とか、ラジオのブース内とか。子供の頃、ああいうのを見ていて面白いなと思ったんです。音響や照明がちゃんと整った環境じゃないとできないというのは、それはそれでプロとして立派だけど、個人的にはどこでもやれる人のほうがカッコよく見えて。それで、ウーバーイーツじゃないけど、注文してくれればライブをお届けしますよと。もちろん、会社の宣伝にもなるし、クライアントに合わせてネタを組まなきゃいけないから、僕らも新ネタを作るいい機会になりますし。

◆毎回出るホリさんが一番大変だと思いますが、どのようにネタの構成を?

僕はもう、もともとあるものをアレンジすればいいだけなので。訪れた先の会社のことを枕詞にして始めれば、形になりますからね。「歯医者さんといえば敗者復活ですね」とか、クライアントさんの社名の頭文字を使って“あいうえお作文”みたいにやるとか。あまりその会社のことに寄せ過ぎても、見ている人が分からなくなっちゃうので。

ホリ

◆後輩の芸人さんはホリさんほど慣れていないと思いますが、彼らの育成も兼ねている感じでしょうか?

そこまで大きな話じゃないですけど、人前でネタを披露する機会を作ってあげたいと思ったんです。それがこの企画を立ち上げた一因でもあるんですけど、コロナの影響で営業の仕事が激減したんですよ。普通、ものまね番組で優勝したりすると営業がいっぱい入ってくるはずなのに、逆に軒並みなくなったんです。僕はまだいいけど、『科捜研の女』とかのものまねをやっているメルヘン須長が『R-1グランプリ』のファイナリストになったのに全然営業が入らなかったり、ユニットを組んでやっているモリタク!&河口こうへいなんかもそんな感じだったりして。

◆きっかけは、後輩芸人たちに人前でネタを披露する機会を作ってあげたいというところだった。

みんな少しずつ結果も出してきているから、こういう場が何かの役に立ったらいいなと。だから、社長さんによく言うんですよ。「この後、こいつら売れますから、応援してください」って。社員に対しての福利厚生の一環になるし、もしオフィスに来た芸人がその後で売れたら、“うちの社長は見る目がある”となって、株も上がるじゃないですか。

◆ここまでやってきた中でホリさん自身、ものまねへの取り組み方も変わってきたところはありますか?

僕自身は変わってはいないですけど、時代の変化みたいなものは感じますね。コンプライアンスやモラルみたいなことが声高に叫ばれるようになったことでやりにくいネタ…例えば政治関係のネタって、結構嫌がられたりするんです。チバテレさんは大丈夫なんですけど(笑)。でも、法律の専門家の方に聞いたら、政治は法律的には一番問題ないと。どこかの政党を支持する感じで言っちゃうと問題になることもあるけど、権力の風刺的に言っているだけなので。まぁ外でやるときは、どこかの政党の熱烈な支持者がいたら怖いから、「皆さんがよくご存じの“岸田さん”のまねをします」みたいな逃げ方をするんですけど(笑)。

◆なるほど(笑)。

ただ、政治家さんって、ものまねの原点だとも思うんですね。要は学校で、生徒が先生のまねをするみたいなもので。そう考えると、目上の人のまねをやったほうが面白がられるのかなと思って。年下の人や芸歴が下の人でも、例えば三四郎の小宮(浩信)君にしても露出や知名度で言ったら僕より全然あるんで。そういう人を目上に置いて、まねするみたいなイメージでやっていますね。

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◆ホリさん自身のことで言えば、木村拓哉さんのものまねがターニングポイントになったのでは?

ありがたいですけど、これも世の中の変化があってこそのものまねだった気がするんですよね。本人というより、周りが変に気を遣って、やっちゃいけないみたいな空気感があったと思うんです。それが何となく(自分がやったときは)受け入れられるムードができていて、うまくハマッたというか。もしかしたらご気分を害されている方もいるかもしれませんけどね。だって僕、本人が言っていないこともやっていますから(笑)。

◆ホリさんは、本人が言いそうな言葉の作り方がうまいですよね。

8割のうそに2割の本当を混ぜる、詐欺みたいなやり方で(笑)。えなり(かずき)さんは『渡る世間は鬼ばかり』で「そんなこと言ったってしょうがないじゃないか」なんて言ったことないし、木村拓哉さんの「ちょ、待てよ」も、『ラブジェネレーション』でちょっとあったかなぐらいなんですよ。「すげえいいじゃん!」っていうワードもよく使うんですけど、あれは勝手に作ったやつですし(笑)。あと、のどの奥で舌を鳴らすしぐさもよくやるじゃないですか。あれもご本人はされたことがないですね。でもなぜか不思議と、ミラクルひかるちゃんと一緒にやっていたら、彼女が工藤静香さんのものまねをするときも舌を鳴らすようになって。余計におかしなことになっていたりするんですよ(笑)。

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◆ちなみにもしホリさんたちに来てほしい場合は、どこに依頼すればいいですか?

事務所宛てでもいいし、チバテレさんに言っていただいても大丈夫です。口コミ的な感じで話がまとまることもよくあるんですよ。同級生がたまたま飲んでいた居酒屋さんのオーナーとものまねの話になって、紹介してもらったこともあって。それはすぐ電話してプレゼンして、ただ今、返事待ちですね。あとはガチガチのファンの方のお勤め先からお話を頂いて、決定を頂いたこともありました。連絡をくれたら、僕がちゃんと出向いて説明しますんで安心してください。

◆今後、どういう場所でライブをやりたいですか?

やっぱり、“なんでこんなところで?”ってところは面白い画になりますよね。田んぼの真ん中や動物園、許されるならお墓とか。でも普通に商店街の中やビルの屋上にビールケースを並べてとかも味があるし、こじんまりしたところはそういう場所なりの面白さが生まれるので。いつも仕事しているオフィスの中とか、モデルルームとか。お店だったら、ラーメン屋さんのカウンターも面白いんじゃないですか。

◆どこでやっても、その場所ならではの面白さが生まれそうですね。

あとはちょっと社会貢献じゃないですけど、おじいちゃんおばあちゃんを楽しませてあげたいなという思いはあります。自分の親が80歳ぐらいになって思うのは、娯楽が少ないんですよ。自由にいろんなところへ出かけられるわけでもないし、好きな食べ物もそんなに食べられなくなるし。そうなると結局、テレビが一番の娯楽なんですよね。でも見たいのは昔の歌やドラマだったりするから、だったら自分たちがやってあげたいなと思って。それこそ、介護施設みたいなところにぜひ呼んでいただけたらなと思っています。

PROFILE

ホリ

ホリ
●ほり…1977年2月11日生まれ。千葉県出身。B型。現在、『マツコ会議』(日本テレビ系)のナレーションを担当。

番組情報

『ホリプロコムものまね軍団オフィスDEライブ』
チバテレ
毎週月曜 午後10時15分~10時30分

●photo/石上彰 text/小山智久