櫻井海音がダークな高校生役演じる喜び語る「誰もが抱える暗い部分をお芝居として表現したかった」『泥濘の食卓』

齊藤京子（日向坂46）が初の単独主演で挑む、新進気鋭の漫画家・伊奈子の『泥濘の食卓』を初ドラマ化した本作。齊藤演じる主人公・深愛はアルバイト先の妻子あるスーパーの店長と禁断の恋に落ちるが、純粋すぎるがゆえにまっすぐなその愛はやがて度を越えていき…。店長だけでなく、その息子や妻にまで近寄り、徐々にこの家族へと寄生。やがて泥濘へと引きずり込んでいく、かつてない“パラサイト不倫”を描く物語だ。

そんな本作で櫻井海音さんが演じるのが、店長・那須川（吉沢悠）のひとり息子で、深愛に思いを寄せる高校生・ハルキ。先週放送の第3話では幼なじみのちふゆ（原菜乃華）との壮絶な過去が明らかになっただけでなく、那須川と深愛のキスを目撃してしまう衝撃の展開が…。

さらに今夜放送の第4話では、那須川の妻・ふみこ（戸田菜穂）の懐にじわじわと入り込んだ深愛が、ついに一家がそろう那須川家を訪れることに。そんな同回を前に、TV LIFE webでは櫻井さんにインタビュー。原作に感じた印象やハルキの役柄について、演じるに当たっての思いなどを聞きました。

◆原作を読んだ際に感じた印象は？

出演が決まり、まず原作を読んだのですが、とても面白く、初めて読んだ時点でファンになってしまいました。特に、演じるハルキに感情移入しながら読み進めていくとどんどん泥濘に沈んでいくような感覚に陥り、これがこの作品の持っているパワーなんだな、と。それをいかに実写で、エンタメとして表現できるかということを考えながら読み込んでいきました。この作品はドラマも同様に展開のめまぐるしさと、キャラクター1人ひとりの個性…という言葉ではもはや片付けられないそれぞれの生きざまが魅力だと思っています。「ヤバい人がたくさん出てくるな…」と感じている方もいるかもしれませんが、いいように捉えると、とても人間味のある作品だと僕は思っていて。ドラマでは誇張した表現になっている部分もあるかもしれませんが、大人になるにつれて表に出せなくなってしまった、誰もが抱えている欲望や衝動が詰まっているので、きっと皆さんにも共感していただける部分があるんじゃないかなと思っています。

◆ご自身が演じるハルキをどのようなキャラクターだと捉えていますか？

周囲のキャラクターが濃いこともあり、当初ハルキは唯一まともなキャラクターだと思っていたんです（笑）。でも、どんどんハルキもハルキだな、と思うような部分が見えてきて。例えば、自分の好きな人が父親の不倫相手だと分かったら好きでい続けることは難しいと思うのですが、それでもなお純粋に思い続け、かと思えば他の女の子とも遊んでみたり…。そういう面だけ見ると現実的なキャラクターではないのですが、心のキャパシティが狭く、すぐに自分を追い詰めてしまったり、悪いほうに思い込んでしまうような部分には人間臭さを感じます。

◆ハルキを演じるに当たり、監督やスタッフの方からはどのような言葉を？

本読みをした時に、先ほどもお話ししたようにハルキは心のキャパシティが狭いので、そういった部分からくる彼の幼さや学生特有の葛藤などを醸しだしてほしいとお話いただいて。それをどう表現していけるのかというのは、今も演じながら模索しているところです。難しさや大変さもありますが、今は全てが楽しくて仕方がないです。

◆どのような部分に楽しさを感じられているのでしょうか。

これまで出演させていただいた作品はキラキラしているものが多く、役柄もどちらかと言うと自然体なキャラクターが多かったのですが、こういうドロドロとした作品であったり、闇を抱えたダークな役にも挑戦したいとずっと考えていました。僕自身、そしてきっと誰もが抱えている暗い部分をお芝居として表現してみたかったので、それをハルキという役を通して実現でき、とてもうれしく思っています。

◆主演を務める齊藤京子さんはどのような方ですか？

まだ深いお話はできていないのですが、この作品を現役アイドルの方がやられるということがまずとても挑戦的ですし、勇気のいる決断だったのではないかな、と原作を読んだ時点から思っていました。役柄に向き合うその姿勢を拝見して、日々敬意を感じています。

◆最後に、今後の見どころと本作のアピールをお願い致します。

ハルキ個人としては、彼を取り巻く状況がことごとく悪化していくので（笑）、ぜひそんな中でもがく彼の姿を見守っていただければと思います。ただ、この作品に限らず、誰かに感情移入をしながらドラマを見続けるというのはなかなか難しいことだと思いますし、特にこの作品においては純粋にエンタメとして面白がっていただくことが一番の楽しみ方ではないかな、と感じていて。それを生み出す一員として、そして可能な限り原作の魅力をお伝えするため、今後も精一杯この作品に挑んでいきたいです。切なくなったり、驚いたり、疑問を感じたり…そういった感情の変化を楽しんでいただけたらと思います。