加隈亜衣×梅田修一朗×武虎×大河元気「“もふる”という言葉の概念をアップデートしました」『異世界でもふもふなでなでするためにがんばってます。』座談会

特集・インタビュー
2024年01月05日
左から)梅田修一朗、加隈亜衣、大河元気、武虎
左から)梅田修一朗、加隈亜衣、大河元気、武虎

2024年1月からスタートするTVアニメ『異世界でもふもふなでなでするためにがんばってます。』。タイトルの通り、主人公のネマは、白虎にもドラゴンにも触りたい放題のもふりたい放題。累計発行部数200万部を突破している、癒し系チルアニメについて、ネフェルティマ・オスフェ役の加隈亜衣さん、ラルフ役の梅田修一朗さん、ラース役の武虎さん、ヴィルヘルト役の大河元気さんにインタビュー! オーディションやアフレコ時のエピソードから、それぞれの演じるキャラクターへの想いや作品の魅力についても語ってもらいました。

◆作品の第一印象をお聞かせください。

加隈:オーディションのお話をいただいたときに作品を知ったんですけど、優しそうなタイトルだなと思いました。でも“がんばってます。”って何だろうと思っていたら、序盤から転生前の現世で過労死で亡くなってしまうくらいがんばっている主人公がいて、そういう性格だということにも驚きましたし、どんな会社だよ! とも思いました。

◆転生モノは、序盤でそういうシーンがありますよね。

加隈:でもそのがんばる性格は、引き続き転生先でも発揮されていたりします。あと、新たな目標ができてからの第二の人生が何ともかわいらしいんです。もふもふなでなですることって私も好きだけど、ここまで懸けたことはないので彼女の人間性に興味を持ちましたし、出てくる子出てくる子がかわいかったり、イケメンだったり、優しそうな世界だなっていうのが第一印象でした。

武虎:僕も毎日寝る前に動物の動画を見ていますもん。

大河:あれ? 皆さん、もふもふなでなでしていないんですか?

梅田:それはもしかして??

大河:ごめんなさい。僕、猫を飼っているもので……。

加隈:勝ち組がいるー!!

大河:寒い時期になってくると、布団に入ってきたりするんですよね。

◆完全にマウント取っているじゃないですか(笑)。

大河:今回の取材は、このスタンスで行こうかなって思ってます(笑)。

大河元気
大河元気

◆しかも梅田さんとのコンビが出来上がっていましたよね(笑)。では次に梅田さんはいかがでしたか?

梅田:タイトルがキャッチーで、どういう話なんだろう? って引きつける力が強いなと思いました。それで実際に見てみると、凄惨な終わり方をした主人公が異世界転生をする作品で。今はいろんな転生モノがありますけど、動物を愛でる、癒やされることをメインに、それを一番の目標にした主人公が活躍するアニメってなかったと思うので、すごく新鮮でした。
(※異世界転生をする際、特別な力を授けると言われたときに「もふもふ……もふもふ! したい!! この疲れた心を癒してくれるのは、かわいい動物のもふもふしかないの……!」と主人公がお願いをして、ネマとして転生をすることになる)

◆だいたい異世界転生すると強くなって、戦ったりしますからね。

梅田:そうですよね。僕も自分のスキルが身についたり、その世界にない能力があって珍しがられたりするイメージがありました。もちろんこの作品でも、動物からだけでなく、聖獣からも愛される能力を彼女は持っていて、それらの生き物に助けられながらがんばっていくところが魅力ではあるんですけど、面白いなって思いました。

大河:僕もタイトルから興味を持ちました。異世界モノでも“もふもふなでなで”とあれば癒し系のアニメなのかな? と思ったんですけど、オーディション台本を見ると、後半になるにつれて物騒なせりふも出てくるんですよね。だからどこかで過酷な運命をたどっていくのだろうなと思ったとき、きっとすごく主人公を応援したくなるアニメなんだなと思いました。
実際、アフレコが始まって台本をいただいても印象は変わらなかったですね。ただ動物に癒やしてもらうだけでなく、この世界に必死に向き合っている主人公に勇気づけられたというか。そういう意味で“もふもふなでなでするためにがんばってます。”っていうタイトルが本当にしっくりくる作品だなっていう印象でした。“がんばってます。”って流しがちなんですけどね。

武虎:“がんばってます。”って結構大事だよね。

大河:略称は“もふなで”ですけど、“もふなで、がんば”くらいまで必要かもしれない(笑)。

武虎:僕もタイトルを見た瞬間、ズルい! もふもふなでなでするなんて一番幸せな瞬間じゃない! って思ってキービジュアルを見たら、本当にかわいくて。しかもラースの目がくりっくりで! これを俺が演じるのか! って思いました(笑)。ただ、癒やし全開なんだけど、おっしゃる通り、この“がんばってます。”がちゃんとドラマになっているんですよね。実際読み進めていくと面白いドラマがあったので、これは楽しそうだなって思いました。

◆お名前的にも、ラースを演じるべくしてという感じがしますが。

武虎:はい! なので今日のTシャツも虎にしてみました(笑)。これまでも虎の役って何度か演じたことがあるんですけど、やはり虎なので強いイメージがあるんですよね。でも今回は癒やしに全振りしたところから始まる虎で、しかも若干ネマに対しては保護者のような感じもあるので、新しい虎の開拓になりました。

加隈亜衣
加隈亜衣

◆それでは、オーディションから実際演じてみての感想をお願いします。

加隈:オーディションはテープのみでした。その際にコミカライズの該当箇所を照らし合わせた資料もあったんです。私も最初は癒し系のかわいいお話だと思っていたんですけど、あれ?? もしかして癒しかわいいだけじゃない? って感じるシーンもありました。中身は大人でもネマは幼い子なので、こんなかわいい子受からないだろうな〜と思っていて。思い出受験、くらいの気持ちもあったので、受かったときはうれしい反面、どうすればこのかわいさをお届けできるのか…大変だ! とも思いました。
実際(3歳児の)せりふとモノローグ、そして中と外に向けてせりふを言うので、どうやって変えればいいのか。さらにアニメだと動きもあるから、どうしよう、チェックがいっぱいだぁってなりました。

◆演じ分けが、ものすごくありますよね。

武虎:ある種、野沢雅子さんくらいの演じ分けがありましたよね。

加隈:でも監督はじめ、すごく優しい方が多かったので、そこは安心してできる環境ではありました。

◆その切り替えは、流れのままやっていたのですか?

加隈:録るときは、基本せりふが被っていなければ一緒に録っていました。それに分散収録で時間もタイトではあったので、できるところは流れでできたほうがいいんだろうなと思って、相談も特にせずに、できる限り流れでやる感じでした。

大河:あれは一緒に録っていた僕らでしか見られないものだと思うんですけど、本当にびっくりしますよ。今、違う人じゃない? っていうくらいのことが起きていたので、ひとり劇場でした。

梅田:小さい子の舌が回らない感じから、モノローグになった途端、30歳手前の主人公がパキッと話すので、僕も見ながら感動していました。

加隈:最初、ひらがながいっぱいだったときが一番大変で。もう何て書いてあるのか呪文に思えちゃって……。それを書き換えてから、正しく間違える、言えていない感じにするのが難しかったです。

大河:本当に台本通りでしたからね。

加隈:でも、映像でも「モノローグです」とか「動きです」とか「せりふです」って分けてくださっていたので、それもありがとうございます! って思いながらやっていました。台本も、前世の主人公の名前がみどりだったので、モノローグは緑色のマーカーを引いて、ネマは青、動きは星を付けていたのかな。抜き録りは△にしたり、結構書き込んでいました。

「視聴者が共感できる、もふもふのギリギリを攻めてますよね」

左から)梅田修一朗、加隈亜衣、大河元気、武虎
左から)梅田修一朗、加隈亜衣、大河元気、武虎

◆続いて、ラルフ役の梅田さんはいかがでしたか?

梅田:ラルフはヴィルと一緒にいることが多いんですけど、ネマを大事に思っている男の子のひとりで、ネマのお兄ちゃんです。テープオーディションの思い出としては、僕なりのラルフを演じるだけでした。ラルフのせりふも、ネマに対する優しいせりふだけではなく、みんなの前で指揮を執るみたいな真剣なせりふもあったので、しっかりした部分と優しい部分のどちらも持ち合わせている男の子なんだなって思いながら、声を入れていたと思います。
そこから役に決まって、もう一度原作を読ませていただいたときに、ネマに対する愛情の部分ではなく、いろんなことを学んでこれから成長をしていく、等身大の男の子らしいしっかりとした部分もあったんですよね。ただ時折、ネマのことになると、父同様スイッチが入って暴走してしまう部分があったりもするんですけど……。なのでその等身大の部分は大事にしながら演じていました。

加隈:あと、幼少期も変わらずに、梅田さんが声を担当されているのが注目ポイントかなって、勝手に思っています。

梅田:個性の強い家族なんですけど、温かい空気がある家庭なので、その一員として温かさを伝えられていたらいいなって思いました。

◆それにしても、お父さん(デールラント/CV.古谷徹)のネマ愛は相当ヤバかったですよね(笑)。

梅田:(強くうなずいて)もう第1話は本当にヤバかったです。

加隈:しかも、一緒に録らせていただけたんですよ。

梅田:お父さんは最上級のネマ愛を持つキャラクターなんですけど、愛が行き過ぎるあまりに決断が行き過ぎるんですね。その雰囲気がすごくにじみ出ていて、ものすごいな! って思いました。

加隈:古谷さんがスタジオにいらっしゃるだけで、空気が引き締まるような感じがして。コロナ禍では特になかなか味わってこれなかった空気感でもあったんです。それはスタッフさんも感じていらっしゃったようで、特別な緊張感のある第1話でした。

梅田:その緊張感がありつつ、ネマへの優しい部分もあって、そのギャップがすごかったので、めちゃめちゃ聞き応えがある第1話だと思います。

梅田修一朗
梅田修一朗

◆大河さんの演じるヴィルは、とてもかっこいいキャラクターですね。

大河:オーディションからずっと同じことを感じていたんですけど、やっぱりこの作品はネマを中心に動くんですよね。裏ではそれなりに地位のあるキャラクターなのでいろんな動きをするんですけど、出てくるときは基本的にネマを中心に動く子なんです。なのでそこを徹底してやらなければいけないなっていうのは、オーディションのときからずっと思っていました。あとは王族っぽさ全開で行こうって思いましたね。細かいニュアンスとかよりも、聞いた人に「あっ、王族!」って思ってもらえればいいのかなって。なので収録も最後まで考えていたのが、まずはネマありきでやろうということでした。

◆最初はだいぶネマに嫌がられていましたが。

加隈:そうですね。距離感が、俺のペースだぜ! みたいな感じがあって……。

大河:ゴ、ゴホン(咳をしつつ)。

梅田:だってネマのせりふでも、ひらがなで「きちくおうじ」ってあって、すごいこと言うなって。

大河:そこはもう、「ありがとう」って思っていました。

梅田:僕は収録で隣に座っていたんですけど、ロイヤルオーラがすごくて、ずっとロイヤルな感じだったんです。

加隈:2人は、もともとどこかで共演してたの?

梅田:いや、これが初めてです。

加隈:そうだったの! めっちゃ仲が良かったんですよ。やり取りがコントみたいでした。

梅田:加隈さんはじめ、分散収録ではありつつ温かい空気を作ってくださっていたんですけど、役を通しての距離感なのかもしれないんですけど、大河さんとは以前からお会いしていたかのような気持ちがあって。

大河:すごく楽しく、仲良く話させていただいていました。それで緊張感が緩んだのか、彼はずっとお腹が鳴ってたんですよ(笑)。

梅田:お腹が鳴っていましたね。加隈さんが持ってきてくださった差し入れも、僕が最初に食べていました(笑)。

大河:「これ、食べな食べな」って言われてね。

武虎:餌付けされてるじゃん(笑)。

武虎
武虎

◆最後がラースですね。

武虎:僕は、実はオーディションがなくて。連絡をいただいたときに、「あ! 虎役だ!」っていうことで原作を拝見したら、めちゃくちゃかわいい虎で。さっきも言いましたが、強い虎を振られることが多いので、かわいいネマがおびえずに、一発で受け入れて打ち解けて、もふられるところまでの距離感を出さなければなって思いました。
オーディションがあれば、なんとなく確認ができたんですけど、何もないところからいきなりの現場だったので、すごく緊張していたのを覚えています。虎っぽさを出すときも、音圧を出しすぎてもよくないし、息遣いもネマが怖がらないような感じで、でもこいつは普通の虎じゃないぞ、みたいなところのせめぎあいみたいなところがあったので、距離感は意識しました。

◆そんなラースの優しさは感じられましたか?

加隈:感じました!(笑)。今話されていたところまでは気づけていなかったんですけど、ネマが普通にかわいい! って思いながら近づけたのは、その自然なお芝居があったからなんだなって今思いました。

武虎:ネマの中に20代後半の大人の強さと、3歳の楽しいことしか見えてない繊細さがあるところからのスタートなので、ここの入口として、その世界観をしっかりと作らなければっていう使命感があったんです。そこからは物語の展開によって見守るようになったり、一緒に戦うようになったり変わっていくんですけど、入りは大事だなって。

加隈:第1話の大事なもふもふの部分を担っていくので、プレッシャーは確かにありますよね。

◆もう虎の鳴き声がすごすぎて驚いたのですが、その中でも繊細な違いがあるというのもしっかり聞いてみたいと思います。では、序盤での見どころについてもお聞きしてよろしいでしょうか?

加隈:ネマは人間以外のものであれば、意外と何でももふれるのではないかって思いました。毛がもっちりみっちりしているものに対してだけ使う言葉だと思っていたんですけど、かわいいもの=もふる、なでるのジャンルに該当するんだなって、新たな発見をさせていただきましたし、自分の認識をアップデートしました。あとは、“好き”って気持ちを届けることが大事なんだなとか。
それとオスフェ家は家族が特徴的で、お姉さん(カーナディア)もキャラが濃いですし、お父さん(デールラント)は娘大好きで愛情が強いんですけど、実はお母さん(セルリア)が裏で全部操っているんじゃないかっていうくらいのしっかり者だったので、オスフェ家の人間模様は見どころかなって思います。

武虎:一番は何でももふれるところですよね。虎に始まり、ドラゴンにいき、こんなところまでいけるんだ! ってなったので。もふる能力があるのは分かるけど、ネマって意外と幅が広いんだねってなると思います。

◆だからこそ、大変なことに巻き込まれるところもあると思いますが…。

加隈:そうなんです。だから先生の発想力がすごいんですよね。お話として、ここにつながっていくんだ! ってなるんです。それにキャラのデザインも、これだったら確かに受け入れられるかなってなるんですよ。虫も出てくるんですけど、このデザインだとかわいいなってなるというか(笑)。

武虎:デザインは確かにそうだね。視聴者が共感できる、もふもふのギリギリを攻めてますよね。

大河:でも、ネマにかかったらどうなるか分からないくらい、何でもいけちゃうんですよね。そのくらい全ての動物・生き物が愛おしいんだなって考えると、それはそれで面白いかもしれない。

◆今日はたくさんのお話をありがとうございます。では最後に、皆さんがもふもふしたいものをひとつずつ聞いていいですか?

大河:そうなると全会一致になるでしょうね。

加隈:え? 何?

大河:じゃあ僕ら3人でいきましょうか。せーの。

梅田・大河・武虎:ネマ!

●photo&text/塚越淳一

PROFILE

加隈亜衣
加隈亜衣

加隈亜衣
●かくま・あい…9月9日生まれ。福岡県出身。O型。主な出演作に、『ひろがるスカイ!プリキュア』(キュアプリズム/虹ヶ丘ましろ役)、『無職転生 ~異世界行ったら本気だす~』(エリス役)、『青のオーケストラ』(秋音律子)などがある。

梅田修一朗
梅田修一朗

梅田修一朗
●うめだ・しゅういちろう…10月11日生まれ。千葉県出身。AB型。主な出演作に、『BEYBLADE X』(風見バード役)、『ワンルーム、日当たり普通、天使つき』(徳光森太郎役)、『ゾン100〜ゾンビになるまでにしたい100のこと〜』(天道輝役)などがある。

武虎
武虎

武虎
●たけとら…1月31日生まれ。兵庫県出身。O型。主な出演作に、『ONE PIECE』(ギャッツ役)、『ジョジョの奇妙な冒険』(ダイアー役)、『TYTANIA-タイタニア-』(ザーリッシュ・タイタニア役)などがある。

大河元気
大河元気

大河元気
●おおかわ・げんき…8月26日生まれ。愛知県出身。B型。主な出演作に、『ぶっちぎり?!』(灯荒仁役)、『遊戯王 ZEXAL II』(ミザエル役)、『文豪とアルケミスト〜審判ノ歯車』(ネコ役)などがある。

番組情報

『異世界でもふもふなでなでするためにがんばってます。』
TOKYO MX:2024年1月7日(日)放送開始(毎週日曜 午後10時〜)
BS11:2024年1月7日(日)放送開始(毎週日曜 午後11時30分〜)
読売テレビ:2024年1月8日(月)放送開始(毎週月曜 深夜1時59分~)
ほか
ABEMA:地上波先行・見放題独占配信

【キャスト】
ネマ:加隈亜衣
ラルフ:梅田修一朗
デールラント:古谷徹
ラース:武虎
ヴィル:大河元気
神様:三木眞一郎
ソル:乃村健次
森鬼:前野智昭

【スタッフ】
原作:向日葵・高上優里子(双葉社:モンスターコミックス)
キャラクター原案:雀葵蘭
監督:北村淳一
シリーズ構成:赤尾でこ
キャラクターデザイン:宮崎麻美
サブキャラクターデザイン:豊田暁子/井嶋けい子
プロップデザイン:中山奈々
色彩設計:戸澤有紀
美術監督:鈴木俊輔
撮影監督:木村俊也
編集:新見元希
音響監督:今泉雄一
音楽:宝野聡史/葛西竜之介
オープニング主題歌:「Cotton Days」Sizuk
エンディング主題歌:「ふわふわpartyつられてhappy」harmoe
アニメーション制作:EMTスクエアード

公式HP:https://mohunadeanime.com

©向日葵・高上優里子/双葉社・もふなで製作委員会