【#今旬コレクション】窪塚愛流、素顔は意外と天然?「ちょっと抜けているところがある意味チャームポイントかなと」

特集・インタビュー
#今旬コレクション
2024年03月02日

【#今旬コレクション】窪塚愛流

テレビ情報誌「TV LIFE」で、今後さらなる活躍が期待されるネクストブレーク俳優の魅力を紹介する連載「#今旬コレクション」。WEB版では、本誌に収まりきらなかったエピソードをスペシャル動画も交えて紹介します。第76回は現在公開中の映画「愛のゆくえ」に出演する窪塚愛流さんが登場です。

「#旬コレ 7seconds CHALLENGE」窪塚愛流

◆本作への出演が決まった時の感想を教えてください。

素直にうれしかったです。愛の物語ということで、想像を膨らませる要素がたくさんあり、映画でこの世界観がどんなふうに映し出されるのか、楽しみでもありました。でも、脚本はこれまで僕が携わらせていただいた作品の中で一番難しかったです。正直、一度読んだだけでは物語が頭にすっと入らなかったので、撮影に入る前に、監督と読み合わせを何度もさせていただきました。またキャストの方たちと円滑なコミュニケーションがとれるように、監督のアイデアで、愛役の(長澤)樹ちゃんと、愛の母親役の田中麗奈さんと一緒にカレーライスを作ったり、ディスカッションをした上で現場に入らせていただきました。

◆そのような機会はこれまでもありましたか?

カレーを作るまではなかったです。

◆窪塚さんも調理に参加されたんですか?

当時は料理をまったくしなかったので、僕はニンジンやジャガイモの皮を剥いたりしていました。料理に関する知識がないので、カレーはお二人にお任せして。自分はお皿を運んだり、後片付けを率先してやりました。そのおかげで、仲が深まった状態で撮影できたのでよかったです。

◆劇中でも重要なポイントとなっていますし、カレーライスは家庭の味の代表的なところがありますが、窪塚さんにとってもそうだったりしますか?

そうですね。家族の思い出の味といったら、母の手作りカレーが一番に思い浮かびます。あと、唐揚げも好きです!

◆そこから実際に撮影に臨まれてみていかがでしたか?

やっぱり難しかったです。

◆個人的に窪塚さんが演じる宗介が怒りを思い切りぶつけるシーンが印象的でしたが、窪塚さん自身が一番難しかったシーンをあげるとしたら?

僕的には、愛がお風呂に入っている時に、ちょっかいをかけてどこかへ行こうとするけど、結局その場にいるというシーンが難しかったです。そこは14歳ならではの幼さの象徴といいますか。好きな子にちょっかいをかける男の子の心情をどう表現したらいいのか悩みました。個人的には宗介のバックボーン的なものも考えると、ただちょっかいをかけているだけではなく、何か意味があってやっているんじゃないかと思ったんです。でも何回もテイクを重ねていくうちに、あまり考え過ぎず、愛にかまってほしいという気持ちがおもむろに出たんだな、と考えるようになって。宗介と愛は幼なじみですが、ある種ちょっと親のような感じもして、愛は自分よりも精神年齢が高いというのを宗介も気づいていたので、最終的にはちょっとした遊び心が出ちゃったのかなというところに落とし込みました。そのような些細なシーンこそ、宮嶋(風花)監督は丁寧に描く方だと思うので、バックボーンを常に考えながら宗介を演じていました。

【#今旬コレクション】窪塚愛流

◆撮影は北海道を中心に行われたそうですが、初の北海道での撮影はいかがでしたか?

ずっと寒かったです。今までで一番過酷なロケ現場でした。普通の道路も北海道だと凍るんだなと思いましたし、だからこそ、自分の芝居をする場所の環境や地面の滑り具合などを確認してから本番に臨みました。

◆映像で見ると、全面に広がる雪景色がより本作の世界観を際立たせていますが、積雪の中での撮影は想像以上にハードだったのではないでしょうか。

そうですね。足跡が付いてしまわないように、本番じゃないといけないところもあったのですが、思った以上に雪が深くて。本番の時にそのまま靴が脱げてしまったり、坂道で勢い余ってゴロゴロ転がって雪に突っ込んでしまったりしたこともありました(笑)。あと、どこを見ても雪に覆われた白の世界だったので、光に当たるとすごく眩しいんですよ。だから(映像の中の)愛を見て、樹ちゃんと二人で“これは大変だね”という話をしていました(笑)。きちんと歩ける道がない雪山の中をみんなで歩いて行ったのですが、スタッフの皆さんがとても温かくて。すごく団結力がある現場だったので、そのおかげで過酷なロケも乗り越えることができました。

◆過酷だからこそ、一層団結力も強まるという。

はい。寒すぎて、自然とみんなで寄り添いたくなって、温かいお茶を回し合ったりして。すごくいいチームワークだなと思いました。本当に一人ひとりのキャストの方やスタッフの方たちに助けられた現場でした。

◆ちなみに撮影の合間に北海道の名物を食べたり、観光をしたりする時間はあったんですか?

撮影が朝から晩まであったので、名物を食べに行ったり、観光をする時間はなかったですね。でも、あんこがおいしくて。毎朝あんぱんと牛乳を飲むというのを自分の中で決めて、それが撮影中の僕のルーティンになっていました。正直、北海道に来るまではあんこが苦手だったんです。でも、北海道のコンビニに売っているあんぱんを買ってみたら、めちゃくちゃおいしくて。そこからハマって、コンビニに行くたびにあんぱんやあんまんを買うようになりました。まさにあんこ漬けの日々でしたね(笑)。

◆完成した作品を見てどのように感じましたか?

雪景色が絶え間なくシーンに入っているということもあって、良い意味で現実味がない、ちょっと不思議な世界観の作品だなと思いました。そんな中で2人だけの愛を探す物語というのは、脚本で読んでいるよりも、スクリーンを通して完成版を見たほうがよりリアルに感じられました。宮嶋監督の作り上げた作品の魅力、独特な映画の世界観に引き込まれるあの感覚がたまらなかったですし、そこでまた映画の面白さも感じられた気がします。ぜひその感覚を皆さんにも味わっていただきたいです。

◆では、ここからは窪塚さんのパーソナルな質問を。普段友達や周囲の人からどんな人だと言われることが多いですか?

ちょうど昨日、同じ質問を友達にしたんです。“いきなり僕のイメージって何?” って。そしたら“アホ”って言われました(笑)。でも、アホといっても、勉強ができないとかではなく、ちょっと抜けているところがあるという意味だったみたいで。天然の延長線上っていうんですかね。自分ではよく分からないんですけど。地元の友達や長い付き合いの人たちからはよく天然だねと言われます。

◆ご自身では自覚はありますか?

例えば友達と話をしている時に、僕だけとらえ方が違って話がかみ合わなかったりすることも多くて(笑)。こういうのを天然と言うのかな? とも思いました。でもちょっと抜けているところが、ある意味自分のチャームポイントなのかなとも思うようになりました。

【#今旬コレクション】窪塚愛流

◆本作以外にも同年代の役者さんとの共演も多いかと思いますが、プライベートでも交流のある俳優さんはいらっしゃいますか?

岩瀬洋志君です。先輩も含め、連絡を取っている方はいるんですけど、岩瀬君とはプライベートでもよく会うし、仲良くさせていただいています。彼も僕と同じで、モデルと俳優のお仕事をしていて気が合うんです。普段は面白いのですが、ちょっと落ち込んだり、迷っているときに道を照らしてくれるような、頼りになる存在でもあって、以前僕が落ち込んでいるときに「俺、この言葉好きなんだよね」って聖書の一節をラインに書いて送ってくれました。「助けをちゃんと求めなさい」とか、「自分の気持ちに素直になればちゃんと返ってくる」といった内容でしたが、めちゃくちゃうれしかったです。そうやって常に僕を勇気づけて、前向きな気持ちにさせてくれる太陽のような存在です。

◆そもそも弱音を吐くのは苦手なほう?

それこそ昨年は自分が考える前に友達に相談をしていたので、相談すればするほど考えがぶれてしまって。逆にいいほうにいかなくなってしまったので、相談するのをやめました。

◆解決するためにどうしたらいいか、自分で考え行動するようになった、と。

はい。そのほうが自分が成長できることに気づいたんです。そして、それが俳優の考え方や役作りにつながりました。

◆まさに昨年は、窪塚さんにとって痛みを伴いながらも、成長を感じられた一年だったんですね。

当たり前のことですが、あらためて自分が置かせていただいている環境や接する人たちの存在を尊重し、一つひとつ感謝できるようになりました。

◆理想の俳優(人物)像、将来のビジョンはありますか?

俳優としては、どんな役を演じてもその人物のバックボーンが感じられ、その作品の中でしっかりと生きているんだなと感じさせられる芝居ができるようになりたいです。まだ自分らしい芝居というものを確立させられていないので、これからもさまざまな作品を通して経験を積んでいきたいです。一人の男性としては、唯一無二で、毎日冒険してきたんだな、いろいろな人生を経て来たんだなということをちょっとした言動で感じ取れる深みや厚みのある男性になるのが目標です。僕自身、20歳になり、大人の仲間入りを果たしたのですが、これからも童心や遊び心を忘れず、人生を楽しんでいけたら良いなと思います。

◆そういう意味では、お父様も理想像ですか?

父に憧れるものはありますが、父のようになりたいとは一切思っていません。もちろん自分をここまで育ててくれた父親であり、憧れの種を僕にくれた大きな存在ですが、その種をもらって、これから花を咲かせるのは自分ですし、周りにも水や太陽のような存在の方々がたくさんいます。僕は僕なりの人生をつき進んでいこうという精神で生きています。

◆まさに先ほど言われた、唯一無二の存在ですね。

とはいえ、自分よりも長けている人が周りには多くて。ようやくみんなに追いついたかな? という感じなので、人一倍頑張らないといけないですし、まだまだこの先も険しい道のりなのは覚悟しています。その覚悟じゃないですけど、10代のときにはめちゃくちゃ物欲があったのですが、最近は自分の夢がかなうまでは欲しいものも買わないように、自分を節制するようになりました。「愛のゆくえ」を撮影しているころから、いろいろな人に見ていただける機会も増えて、より自分に対して責任を持って行動できるようになりました。今後も唯一無二の存在を目指して、一つひとつのお仕事に対して前向きに丁寧に取り組んでいきたいと思います。

PROFILE

●くぼづか・あいる…2003年10月3日生まれ。神奈川県出身。O型。最近の出演作にドラマ『最高の教師 1年後、私は生徒に■された』、『あたりのキッチン!』など。初めて主演を務めた映画「ハピネス」が5月17日(金)に公開。

作品情報

「愛のゆくえ」
現在公開中

監督・脚本:宮嶋風花
出演:長澤樹、窪塚愛流、林田麻里、兵頭功海 ほか

<あらすじ>
幼なじみの愛(長澤)と宗介(窪塚)は、愛情表現が不得手な宗介の母親と、世話焼きな愛の母親と北海道で懸命に生きていた。しかし、けんかで家を飛び出した宗介を探しに行った愛の母親が亡くなってしまう。愛は父親に連れられ東京へ引越し、孤独を抱えた二人は離れ離れになる。

●photo/大石隼土 text/星野彩乃 styling/上野健太郎(KEN OFFICE) hair&make/中山八恵 衣装協力/NEEDLES、aie、RED WING