川口春奈インタビュー「突き刺さる言葉やせりふが散りばめられた作品」 映画「にがくてあまい」に主演

特集・インタビュー
2016年09月08日

「食と愛」をテーマにした同名マンガを実写化した「にがくてあまい」がいよいよ9月10日(土)から公開! 主演の川口春奈さんが演じるのは野菜嫌いのOL・マキ。川口さんが、マキを通して見たものとは?

「にがくてあまい」

――川口さんが演じるマキは、野菜嫌いで仕事に生きるキャリアウーマン。共感する部分やご自身と似ている部分はありますか?

マキは外でしっかり働いている分、家に帰ってくると部屋が荒れていたり、ずぼらな女子っていうイメージ。男っぽいっていうのかな? 感情がはっきりしていて表情をコロコロ変える、少年のような部分もあったりして。強がってる分打たれ弱かったり、思い切りが良かったり、サバサバしていたり…ちょっとネチネチもしてますね(笑)。そういう自分の思いに素直なところは、面白いなって思うし、素敵だと思う。私自身との共通点はあまりないけど、好き嫌いがはっきりしている“潔さ”みたいなところは似ているというか、共感できる部分ではあります。ちなみに私はお野菜大好きです(笑)。

「にがくてあまい」

――マキが自分の作った料理をおいしそうに食べる姿を見て、ベジタリアンでゲイの男子校教師・渚(林遣都)は心を動かされます。演じている川口さんの食べっぷりが本当にかわいくて、渚が心をつかまれるのも分かる気がしました。

ありがとうございます。でも“おいしそうに食べる”っていうことに関しては何も作ってない、素のままの表情なんです。この映画で出てくる料理は本当においしいかったので、私はただただ、おいしく食べていただけで…。「ゴーヤの冷製茶碗蒸し」など珍しい料理も出てくるんですが、それはすべてスタッフの皆さんが試行錯誤して出来上がったレシピ。いろんな人の思いや手間ひまがかかっているので、余計においしく感じたんだと思います。いつもアツアツの出来立てを用意してくださっていたので、すっごくおいしくいただいていました。

――マキは渚との同居生活を通し、野菜嫌いを克服し、離れて暮らしていた家族とも向き合ってきます。劇中、心に残ったせりふはありますか?

やっぱり、“一物全体(いちぶつぜんたい)”っていうせりふでしょうか。食べ物は出来るだけ丸ごと食するほうがいいって言う意味の言葉で、映画のキーにもなっている言葉なんですが、人にも置き換えられる言葉だなと思うので。「自然体でいてもいいんだよ」って言ってもらえた気持ちになるし、いろんなメッセージがその言葉にあるなと。サラッと言ったけど、実はすごく深い言葉だなって思います。

「にがくてあまい」

――マキと渚の関係は、お互いに影響し合って、いい方に進んでいく“男女の友情”に似た関係。川口さんご自身は、そういう関係についてどう思いますか?

すごくいい関係性だなって思います。恋愛ではないけど、友情を超えてるとも思うし、家族と言えばそれに近いものもあると思うし。だから男女間には恋愛だけじゃなく、友情関係っていうのも絶対にあると思いますね。私にも少なからずいます。幼なじみとか、高校の同級生だとか、いろんなタイプの子がいて面白いし、いろんな発見もある。すごくいい関係性を築けてるなっていう子は多くはないですけど、いますね。だからこの2人の関係性も理解できます。

――仕事で疲れて帰ってきたとき、「おかえり」って言ってくれる人がいるって、いいですよね。

いいですよね~。しかもご飯も作ってくれてますからね。それはもう最高ですよね。それでも、一人でイライラしてたり、一人になりたいときとかにもその人がいるって言うデメリットもあると思うし、どっちがいいんだろうな~って、個人的には思ったりもしますが(笑)。私はわがままなので、いて欲しいときはいて欲しいし、一人にして欲しいときは一人にして欲しいって思っちゃうほうで。でも家で待ってて話を聞いてくれたり、ご飯作って待っててくれるって言うのはすばらしいと思います。

「にがくてあまい」

――初共演の林遣都さんの印象はいかがですか?

すごく面白い人だなって思います。あまり多くは語らないんですが、話すとちゃんと理解してくれる人だし、親身になって話を聞いてくれる安心感がありました。男っぽいんだけど、気遣いの部分は女性っぽいなというか。いろんなところに目が行き届くし、すごく律儀で努力家な方なんですよ。一ヶ月弱一緒にいて、2人でのシーンが多かったんですが、芝居中は「この人になら預けられるな」って思いながら演じられました。お互いに本当にマキちゃんと渚になれたというか、すごく相性よく、言葉を発さなくても分かり合えた感じがありました。

――そんな息ぴったりな2人が送る今作。見てくれる方にメッセージをお願いします!

この作品は大人の方が見て突き刺さる言葉やせりふが散りばめられた作品になっていると思います。家族の話でもあるので、見てくださる方それぞれが自分の置かれた状況をいろんな登場人物に重ねながら見てもらえると、勇気や元気をもらえるはず。働く大人の方たちに是非見て欲しいです。

 

PROFILE

川口春奈…かわぐち・はるな
1995年、長崎県生まれ。2007年、雑誌「ニコラ」専属モデルとしてデビュー。近年の映画出演作に『好きっていいなよ。』(2014/日向朝子監督)、『幕末高校生(2014/李闘士男監督)、『クリーピー 偽りの隣人』(2016/黒沢清監督)など。映画公開待機作に2017年2月公開『一週間フレンズ。』(村上正典監督)など。

 

映画情報

「にがくてあまい」
9月10日(土)よりTOHOシネマズ新宿他全国ロードショー

【あらすじ】
容姿端麗で野菜嫌いなキャリアウーマン・江田マキ(川口春奈)は、ある日イケメンの男子校美術教師・片山渚(林遣都)と出会い一方的に恋に落ちる。新しい出会いと同居相手を探していたマキは、渚の家にころがり込むことに。しかし、渚はなんとゲイのベジタリアンだった!それでも、渚の作る野菜たっぷりの料理に癒されていくマキ。
マキが野菜嫌いの原因となった父親・豊(中野英雄)との確執。
家族との過去を乗り越えられず苦しんでいる渚。
それぞれが抱える問題を解決していくうちに、お互いが“大切な人“に変わっていく…。

原作:小林ユミヲ「にがくてあまい」(マッグガーデン)
監督:草野翔吾
脚本監修:上田誠(ヨーロッパ企画)
脚本:大歳倫弘(ヨーロッパ企画)
出演:川口春奈、林遣都、淵上泰史、桜田ひより、真剣佑、SU、中野英雄、石野真子 ほか
配給:エレファントハウス
2016/日本映画/96分
公式サイト:http://nigakuteamai.com

(c)2016映画「にがくてあまい」製作委員会