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ノンフィクション作家も大絶賛!フィリピンのリアルを描いた映画『ローサは密告された』トークイベント

128546_01_R 7月29日(土)公開の映画『ローサは密告された』のトークイベントが行われ、作家・石井光太が登壇した。

 主人公・ローサを演じたジャクリン・ホセが、第69回カンヌ国際映画祭において、フィリピン初の主演女優賞を獲得した本作。監督は、45 歳のデビュー作『マニラ・デイドリーム』で 2005年ロカルノ映画祭ヴィデオ・コンペ部門金豹賞を受賞し、「第3黄金期」と呼ばれるフィリピン映画界を牽引しているブリランテ・メンドーサが務める。ちょっとした生活向上のために麻薬密売に手を出した家族、徐々に加速する警察の横暴など、ロドリゴ・ドゥテルテ大統領政権下のフィリピンの現状を浮き彫りにする話題作だ。

イベントに登場した石井は、国内外を舞台にしたノンフィクションを中心に、児童書、小説など幅広く執筆してきた。さらには、フィリピンの現状をよく把握しており、本作について「まさにスラムのリアル。何より人の生きる力に圧倒された。何十年と変わらぬ貧困の姿。ここ数年のアジア映画でNO1」と絶賛。また、「スラムに住む彼らの、ひいては人間の生き方をリアルながらもドラマチックに描いた作品だと思います。この地域に住む人々は白黒はっきりする生き方をできません。生きるために麻薬を売ったり、売春したり、人を騙したり。彼らは生きるために悪いことをしていますが、人間の尊厳をギリギリ保っているのです。それは日本にも通じるところがあると思います。この『ローサは密告された』は、 そのグレーの世界を政府が白黒をはっきりさせようとしたときに、その世界のバランスは崩壊してしまう、というお話です」と、世界情勢を交えて語った。

実際にスラム街の取材経験がある石井は、「貧困と麻薬は結びつきが強いけれど、海外には日本にない“麻薬の恐ろしさ”が存在します。それは、麻薬の資金は、反政府組織だとか、テロリストに繋がっていくのです。だから、貧乏なジャンキーが一人増えた、というだけの話ではありません。そのため政府は貧困層の中毒者にも容赦無く、制裁を加えようとするわけです」と、フィリピンの麻薬撲滅戦争の根強い問題を挙げた。

また、実際のスラムで怖い経験はあったか、という問いには、「この状態は気をつけろ、と自分で決めているものがあります。ひとつは、相手が正気な状態かどうか。中毒者であれば突然、『バン!』と撃たれて『ドス』と刺される可能性がありますからね。もうひとつには、取材する人の周りに人がいるかどうか。知り合いがいると、かっこつけて危ないことをしようとする人がいます。だから集団でいる人たちへの取材は極力避けます。でも気をつけても、トビラ開けたらぶっ壊れている人間が 10 人ぐらいいる部屋に入ってしまったときには『オーマイガー!』ってなりましたね(笑)」と、スラム街の危険性を。

イベントの最後には、「物語に登場する食べ物の味はいかがものなんでしょう?」という問いに、石井は「マズいに決まってるでしょう!(笑)血の塊を固めたもの、ご覧になっていた皆さまも、食べたいとは思わないでしょう?」と、会場を沸かせ、イベントは幕を閉じた。

【作品情報】
『ローサは密告された』
7月 29 日(土)より、シアター・イメージフォーラムほか全国順次ロードショー
■ 監督:ブリランテ・メンドーサ
■出演:ジャクリン・ホセ、フリオ・ディアス
2016/フィリピン/110 分
■配給:ビターズ・エンド
<公式HP>
www.bitters.co.jp/rosa

<STORY>
ローサはマニラのスラム街の片隅でサリサリストアを夫ネストールと共に経営している。かつての日本の下町のように、密接して暮らす人々のつながりは深い。ネストールはいつもだらだらしてばかりだが気は悪くない。店を切り盛りするのはローサ。ローサには4人の子供がおり、彼らは家計のため、本業に加えて少量の麻薬を扱っていた。ある日、密告からローサ夫婦は逮捕される。さらなる売人の密告、高額な保釈金……警察の要求はまるで恐喝まがいだ。この国で法は誰のことも守ってくれない。ローサたち家族は、したたかに自分たちのやり方で腐敗した警察に立ち向かう。

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