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石橋静河インタビュー「自分をもっと知りたい。そのために日々ちゃんと生きたい」『映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ』

石橋静河インタビュー「自分をもっと知りたい。そのために日々ちゃんと生きたい」『映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ』

最果タヒによる同名タイトルの詩集をもとに映画化した『映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ』が5月13日(土)より新宿ピカデリー・ユーロスペースにて先行公開、5月27日(土)より全国公開される。最果は2008年には当時女性では最年少の21歳で第13回中原中也賞を受賞するなど、“今最も新しい表現者”として注目を集めている。その詩集をもとに、「舟を編む」の石井裕也監督が、主演に石橋静河、池松壮亮を迎え、東京の片隅に生きる若い男女の言葉にならない感情の震えを映像にすくいとり、優しくいとおしい繊細な恋愛映画として作り上げた。映画初出演となった本作でヒロイン・美香を演じた石橋さんに、作品のこと、俳優としてのことなどを聞いた。


自分が感じていると思えたからこそ、周りの人も同じような葛藤があるんだって感じた

石橋静河インタビュー

◆まずは初主演となった本作をご覧になった感想を教えてください。

私は2回観ましたが、1回目に観たときには撮影時の感情や記憶で作品を全く客観的に観られなかったんです。でもその後、ベルリン映画祭で上映されたときにお客さんと一緒に観たんですけど、ちゃんと客観的に観られて、すごい映画だなと初めて冷静に観られました。

◆1回目のご覧になったときは自分の演技が気になってしまったのでしょうか。

私にとって、この作品は本当に大きな経験でした。それはものすごく痛くて苦しく、でもその分喜びもありました。すべてが嵐のような経験だったので、なかなか一歩引いて観られないというか。ですが、ベルリン映画祭でお客さんと一緒に観たときに、皆さんが誠実に作品を観ようとしてくれていて、その反応もダイレクトに伝わってきました。そこで始めて私もお客さんとして一緒に観られました。

◆ベルリン映画祭の観客のダイレクトの反応を感じられたとのことですが、どんな反応でしたか?

皆さん、すごくいい顔をして観てくれていました。上映後の質疑応答でも、特に監督への質問が多くて、作品をちゃんと観ていて、作品の色を理解しようとして観てくれているのが感じられてとてもいい経験でした。

◆以前、石井組での初主演を「今まで生きてきて一番幸せな時間でした」とおっしゃっていましたが、一方で先ほどのつらい経験ともおっしゃっていました。石井組、石井監督の演出で特に印象に残っていることはありますか?

この撮影で、1つの作品を監督、スタッフ、キャストでつくるということ、みんながそこにすべてを注ぎ込むということ、力強さというものを肌で感じました。自分の芝居に関しては悔しい思いしかないんですけど、それをちゃんと次につなげないといけないと思う。美香という人を演じてみて、自分の役を誰よりも私が一番ちゃんと理解して自分を通して伝えられる俳優になりたいと思いました。

石橋静河インタビュー

◆美香は「東京には1000万人も人がいるのに、どうでもいい奇跡だね」と口にするロマンチストっぽい一面がありつつも、母の死、また看護師という仕事柄、死というものに直面した生活を送っています。複雑な心情というか環境で生きている美香ですが、演じてみてどんなキャラクターだと意識していましたか?

美香はいつも揺れているというか、どっちにも振り切れない。美香がぶっきらぼうに慎二(池松壮亮)に対して言う言葉は、全部が本心じゃないんだって感じていました。自分の中に葛藤がある人なんだっていうのがだんだん分かってきて、それが分かれば分かるほど、一番美香という人を好きでいたいし、分かっていたいと思いました。人を試しているというか、ものすごく怖いんだろうなって。でも怖い部分もちゃんと自分で見ようとしている、だから言いすぎてしまったり何も言えなかったり。ある意味、すごく強い人なんだなって思いました。あと、ものすごく死が自分の周りにあって、自分のお母さんもそうだし、日々の生活でもそうだし。死というものに直面しながら、死に対して抗おうとするというか、見つめて生きることをやめないということはすごくかっこいいなと思いました。

◆慎二役の池松さんとの撮影はいかがでしたか?

本当に池松さんには助けられていました。池松さんが隣にいて、作品と向き合っている姿を観て、ここに私は何とか応えたいと思っていました。常に私の中では演じることはトライアンドエラーだったので、とりあえずやってみて監督から違うと言われ、やってみて違うと言われの繰り返しで、それしか方法がなかったんです、そのときは。ただただ監督にぶつかっていくしかなくて。でも池松さんが隣にいて、絶対的な信頼があったので、すごく安心していました。一方で、ある意味負けたくないというか、池松さんをどこかで驚かせたいなって思っていました。一番、特別な存在でしたね。

◆美香が出演しているシーン以外で言うと、田中哲司さん演じる岩下と慎二が居酒屋で酒を飲んでいるシーンが特に印象深かったんですが、美香以外のシーンで印象的なシーンはありますか?

私も池松さんと田中さんの居酒屋のシーンが一番好きかもしれません。あのシーンは現場で観ていたんですけど、すごいものを観てしまったっていう感じがして。あのシーンいいですよね、本当に好きです。もう2人のキャラクターの人間性しか見えないというか。役者さんも素晴らしい方ばかりなのでどのシーンも印象に残っていますね。

◆本作は東京の姿もまた印象的でした。群衆の中で暮らす不安というか孤独というか。

初めて作品として観られたときにすごく救われた部分があったんです。私は以前留学していたんですけど、日本に帰ってきたときに特に東京の息苦しさ、すごく窮屈だなという感覚があったんです。でもそのあと、自分でそんな感覚を仕舞い込んでいたと思うんですね。それをこの作品を観たときに再確認したというか。そういえば私はこういうふうに感じていて、それは自分の中で気づかない間に溜まっていたもので。でも自分が感じていると思えたからこそ、周りの人も同じような葛藤があるんだっていうのを感じられ、それが自分の中ではすごく大きな感覚でした。

石橋静河インタビュー

◆2017年は本作のほかに、『PARKS パークス』(瀬田なつき監督・4月22日公開)『うつくしいひと サバ?』(行定勲監督)が公開予定です。石橋さんとしての今後の目標や女優像はありますか?

『映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ』に関するすべてが大きな出来事だったんです。芝居はちゃんと伝わる芝居をしていかなくてはいけないなって思うし、技術や経験をもっともっと増やしていかないといけないとも思うし、一方で自分の感覚に素直でありたいし、自分をもっと知りたいです。自分の感情を受け入れて、日々をちゃんと生きたいなと思います。…難しいですけど(笑)。

◆それでは最後に『映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ』のPRをお願いします。

多分いろんな人が自分の中であまり触れたくないなと思う感情に触れる作品になっていると思います。自分の感情に素直に観ていただけたらいいなと思います。ぜひご覧ください。

 

■PROFILE

石橋静河インタビュー石橋静河
●いしばし・しずか…1994年生まれ。東京都出身。4歳からクラシックバレエをはじめ、09年より米・ボストン、カナダ・カルガリーにダンス留学後13年に帰国し、コンテンポラリーダンサーとして活動を始める。15年より舞台や映画へ役者として活動の場を広げ、16年にはNODAMAP舞台「逆鱗」にも出演。17年には「映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ」のほかに、「PARKS パークス」「うつくしいひと サバ?」が公開。

 

■作品情報

映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ

5月13日(土)より新宿ピカデリー・ユーロスペースにて先行公開
5月27日(土)より全国公開

原作:最果タヒ
監督・脚本:石井裕也
出演:石橋静河、池松壮亮、佐藤玲、三浦貴大、ポール・マグサリン、市川実日子、松田龍平、田中哲司

©2017「夜空はいつでも最高密度の青色だ」製作委員会

 
●photo/金井堯子

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