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「幸福のアリバイ~Picture~」インタビュー(1)山崎樹範「どこかでたまには人生の主役になってもいいんです」

「幸福のアリバイ~Picture~」インタビュー(1)山崎樹範「どこかでたまには人生の主役になってもいいんです」

監督・陣内孝則が9年ぶりにメガホンを取った「幸福のアリバイ~Picture~」が11月18日(金)より全国公開する。陣内監督の長編映画3作目となる本作は、人生の節目をテーマにした、笑って泣ける感動のヒューマンコメディ。「葬式」「見合い」「成人」「誕生」「結婚」の5つのエピソードが人生をいとおしく感じ、笑顔にさせる。「見合い」「結婚」で主人公のカップルを演じた山崎樹範さんに、本作の魅力から世を代表した男性の気持ち、さらには陣内監督との約束まで多岐にわたりお話を聞いた。

正直言うと“演じていない”っていうのが正解なんです(笑)

山崎樹範インタビュー

◆完成された本作をご覧になっていかがでしたか?

素直に面白くていい映画でしたね。5つのエピソードから成っていて、最初の「葬式」でぐっときて涙したんですけど、とにかく笑えるし。そうなると感情がどっちにも揺さぶられて、その後はもうがばがばですよ。でも次が自分の出演した「見合い」なんですよ…それで急にしゅっとなって(笑)。それは自分の芝居が気になって素直に映画を見られていないからなんですけど。

◆「見合い」では山崎さんのオールヌードから話が始まりますね。何か特別意識して役作りされたのですか?

だらしない体を見せてやりましたよ。正直言うと“演じていない”っていうのが正解なんです(笑)。自分を良く見せようとするのがまずはよくないなって思いました。基本、男子というものはだらしない種族だと思っていますので。だめなやつばっかりだと思うんですよ、女性の前だから精いっぱいカッコつけようとしますけれど。そういうパートナーがいらっしゃる女性の方ってほぼほぼ気づいているじゃないですか、男ってしょうもないなって。この映画を女性が見たときに違和感がないように、こういう男いるなと思ってもらえないといけない。その上で勝負なのは男性を“かわいらしいな”とか“こういうところだめだけどいいか”って思ってもらえるところまで持っていくのが、役者としてじゃなくて、男としての勝負だと思うんです。女性に対して。

◆この役に関して陣内監督と話はされたのですか?

陣内監督からは「この役はすぐにお前のことが浮かんだんだ」とおっしゃっていて。それで台本を読んだときに、あ、俺だって思えたんですよ。「人間失格」を読んで青年期に自分のことを描いているんじゃないかって思ったりするじゃないですか。何で俺のことを知っているだろうとか。あの感覚とまるっきり一緒です。これは俺だ、俺のことを描いているだって素直に思えたんです。

◆実際も主人公みたいな…。

実際もって言うっていうのは?

◆いい感じでだらしないというか。

そりゃ、いい感じでだらしなくて、時にはキャバクラの方からLINEがきたりはします。そりゃします。それは京都の方だったりとか仕事の方に連れてってもらった高級店の方だったり。そんな座るだけで5万もする店には行けないよって最初に言っているんですよ、ちゃんと。僕はお金持ちじゃないから行けるような人じゃないですよと。営業とかでLINEとか送らなくていいですよ、上の人にたまに連れてってもらうだけですからってちゃんと言うんですけど、それでも相手の女性からLINEがくるってことは、何なの?って思っちゃいますし。お金がないから行けないって言ったじゃん~、なのにくるってことはどうってこうなの?って思いますけど、だからと言ってプライベートで向こうから会いましょうとかはないわけじゃないですか。ということはお店に来いってことなの?っていうその葛藤ですよね。えっ、質問に合っています?(笑)だからね、何かやましいことをしているとかじゃなくて、そんなことで男はドキドキしているんですよ、それを女性がことさらにね、大事にするからであって。それは違うじゃないですかと、女性がアイドルを見てキャーキャー言ってるのと同じですよと。何かあるかもなんて思っていないですよ、男子は。大きく書いておいてください!

◆「見合い」での2人での関係が最後の「結婚」につながっていきますね。この映画は中井貴一さん、柳葉敏郎さんらそれぞれのエピソードから成っています。ほかの方との連作になることでプレッシャーはありましたか?

すごい方々と並んで大きな役を頂いてプレッシャーはあります。ただ1つだけ言い訳というか、脚本のおかげといいますか、「お葬式」は大地(康雄)さんは送る側の人ですけれど、亡くなった方が主役で。「成人」は親、「誕生」は出産でおじいちゃんになる。中井さん、柳葉さんに関しては相手も主役だけど自分も主役になる、みんなが主役になるっていう形なんですね。最後の「結婚」に関して言うと、どう転んでも僕の役ってド脇役なんですよ。その場の主役は、別にいて、主役でも何でもないやつが勝手にしゃしゃり出てきて、コテンパンにされるっていう。本来、主役になるべき人間じゃないやつが主役になっているという意味ではよかったなと思います。最初から主役をやれって言われるよりは、自分の人生すら脇役なんじゃないかっていう42年間を過ごしてきて。俺の人生の主役って誰なのって思うんですよ。結局、かっこいい人とか周りにいっぱいいて、女の子とかそっちに向いていたりする中で、ちょっと盛り上げることを言う飲み会。家帰る。俺今日ずっと脇役だったな、俺の人生は俺のものなのにって思うことは多々あるわけですよ。そういう僕だからこそ、本来脇である人間が主役になるっていう瞬間はできるんじゃないかなっていう自負はありますし、そういうところをピックアップしてもらってよかったなと思います。

どこかでたまには人生の主役になってもいいんです

◆「結婚」のエピソードでは主役になろうとします。

そんな男でもね、どこかでたまには人生の主役になってもいいんですよ。ただ主役にはね、チャンスはいっぱいあるんですよ、主役をできる男には。こっちは1発1発が本気の勝負ですからね、脇なんて。その気持ちが伝わればいいなと思っています。

◆とても深いですね。

ありがとうございます。僕を含め本当に世の中の大多数の男性は僕と同じ気持ちだと思うんですよね。“今日俺主役だったな”なんてなかなか感じない。と考えたら誰よりも共感を得るんじゃないかと。俺の後ろに味方は多いぞと思ってやっていますから。

◆山崎さんの相手役を務めたのが木南晴夏さんです。木南さんとの掛け合いはとても面白くて印象的で、こうしようとか打ち合わせはされたのですか?

全くないです。共演したのも初めてでした。ごあいさつして、そのままお芝居をした感じですね。撮影の合間にこうしようというのも一切なかったです。それぐらいフラットな方で、違和感なく、お芝居に入るというよりそのまま入っていく感じだったんですよ。それはもう木南さんのおかげだなって思いました。それぐらい自然にやらせてもらいました。一瞬勘違いするときがありましたけどね、あれ?これプライベートでまじで付き合っていたっけかな、木南さんと俺なんかあったかな、いや、ないなっていう確認はしましたけど。

◆監督としての陣内さんの印象はいかがでしたか?

素晴らしい監督でした。多くは言わない、ポイントだけです。基本的に役者にすごい委ねてくれるし、迷ったときは明確に導いてくれるし、現場を引き締めてくれる。役者の気持ちを誰よりも分かっていらっしゃいますから。こっちがプレッシャーを感じたりストレスを感じたりすることもないんですよ。すごい丁寧な方でしたね。

◆撮影前から仲よくされていたとのことですが、それもあったのでしょうか?

僕のキャラクターをつかんでくれていたというのはあるかもしれないです。家が近いっていうのもあるんですけど、遊びに連れてってくれたりするんです。一回仲良くなりすぎたのかなって思ったのが、陣内さんが違う舞台をやられていて、舞台のメンバーと近くでご飯食べているらしいと。そのときに山崎何しているって電話してきたんですよ、みんなでご飯食べているから来いよって。で行ったら舞台のメンバーだけでご飯食べているんです。そこに舞台に出ていない俺が行って、俺なんでここにいるんだろうなって。全く知らない人たちの中に、「おお、みんな山崎」ってそれ以上の説明もないまま一緒にご飯とか食べていて俺なんでここ来ちゃったんだろうなって。知らないおじさんとかいて、何だこれって気を使ったりして(笑)。そのときは仲良くなりすぎたかなと思いました(笑)。

◆山崎さんに対して陣内監督から何か言われたことはあったのですか?

プレッシャーはすごかったですよ、芝居に対してじゃなくて作品全体に対してと言いますか、「この映画が当たるも当たらないもお前次第だからな」とか「お前に懸けているんだぞ」っておっしゃってくださいまして。もしお前がこの作品で売れた場合、売れたことに対する代価を払ってもらうっていうなんかよく分からない、悪く言えば恐喝みたいなことを…(笑)。売れたいんですけど、どっかで売れたくない。売れたら怖いなっていうもどっかに今もあります。映画は当たってほしいんですよ、めちゃめちゃチャンスですし。でも当たったらそれなりに見返りをしないといけないというのが待っているのでどうしようと…(笑)。

ちょっと前に進むのも怖くないなという気持ちになっていただける映画

◆映画にちなみ、山崎さんに幸せの瞬間、シャッターチャンスを切るような瞬間はどういうときですか?

やっぱり新しい仕事が1つ決まると、幸せと言っていいかどうか分からないですけど、ほっとします。まだ俺はお芝居をやっていいんだって思える瞬間ですね。俳優ってこれまでやってきたことの延長にしかないことだと思うんで、何かがあってまたお仕事をもらってきたときに、まだ役者やれる、よかったって思います。…もう少し面白い答えのほうがいいですか?

◆面白いのほうのももらってもいいですか?

好きな人の寝顔を見てるときとか、自分自身では感じないかもしれないですね。あ、ぱっと浮かんだのは、女の子が“あの男性、素敵だな”って見ているのが瞬間かな。“あ、この女の子が心動いているんだな”って思えて。ただ相手が俺じゃないのかって思うとむらむらと嫉妬心がわいてくるので、心から思える人間になれるようになりたいと思っています。

◆最後に本作の見どころをお願いします。

とんでもないCGを使っているとか、でっかい何かが現れたりとかそういう決して派手な映画ではないんです、人生のある瞬間を切り取っているだけなので。でもそれは誰にでも訪れるような瞬間で、当たり前のことのように思うかもしれないですが、1枚の写真に切り取ってみると、そのときは思わなくても後々振り返ってみれば、よかったなって思えるとても幸せの瞬間はいっぱいあると思うんです。この映画を見たら、大きな1歩じゃないかもしれないけど、明日とか未来に向けて生きていくのも悪くないかなと思えるような、半歩だったりとか数センチかもしれないですけど、確実にちょっと前に進むのも怖くないなという気持ちになっていただけると思います。優しい気持ちになれる、肯定的になれる映画だと思いますので、ぜひ見ていただきたいです。

 

■PROFILE

山崎樹範
●やまざき・しげのり…1974年2月26日生まれ。東京都出身。A型。ドラマ、舞台、映画、バラエティなどで活躍。主な出演作に、大河ドラマ『新選組!』のほか、『Dr.コトー診療所』『ラストフレンズ』、映画「トリック劇場版2」「星守る犬」「龍三と七人の子分たち」など。舞台「~崩壊シリーズ~『リメンバーミー』」が2017年4月13日(木)より上演。

 

■作品情報

「幸福のアリバイ~Picture~」幸福のアリバイ~Picture~
11月18日(金)全国ロードショー

原案・監督:陣内孝則
脚本:喜安浩平
出演:中井貴一、柳葉敏郎、大地康雄、山崎樹範、浅利陽介、木南晴夏、渡辺大、佐藤二朗、木村多江ほか
公式HP:koufuku-alibi.jp

 
©2016「幸福のアリバイ~Picture~」製作委員会

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