

病気を診るだけでなく、心や生活背景をもとに患者にとっての最善を見つけ出し、生き方そのものに手を差し伸べる19番目の新領域・総合診療医を描く松本潤主演の日曜劇場『19番目のカルテ』(TBS系 毎週日曜 午後9時~9時54分)。
そんな本作において、整形外科で働く新米医師・滝野(小芝風花)の同期である内科医・鹿山を演じている清水尋也さん。「考えても答えが出ないことを考えるのは無駄」と達観している鹿山だが、8月10日(日)放送の第4話では医師として一つの転機を迎えることに。そんな第4話を前に、清水さんが見どころや撮影エピソードを語ってくれました。
◆最初に本作のオファーを受けたとき、どのような作品だと感じましたか?
僕自身、医療を題材にした作品は初めてで、そこに対する期待と緊張がありました。病気と向き合う点ではこれまでの医療ドラマと同じですが、この作品はヒューマンドラマやエンターテイメント的な要素も盛り込まれていて。どんな方でもなじみやすく、医療従事者の方が置かれた現状や総合診療科という存在に自然と興味を持てる、ステキなお話だと感じました。
◆清水さん自身、総合診療科のことはご存じでしたか?
お恥ずかしながら、初めて知りました。もちろんお医者さんは皆さん、病気を治すために働いてくださっているとは思うんです。でも診察時間は限られているし、患者の立場からすると気が引けて、思ったことが言えなかったりする。でも今回、医療監修の生坂政臣先生によると、総合診察医は別の方にカルテを作ってもらいながら、患者さんのしぐさや話し方にまで気を配って診察していて。そこから病気の意外な原因が判明し、多くの人の命を救うきっかけになっているとお話を聞いたんです。将来、より発展性のある分野だと思いましたし、これを機に見ている方の理解も深まればと思っています。
◆主演の松本さんが演じている、総合診察医の徳重はどんな医師だと感じますか?
徳重先生を演じているときの松本さんは、声のトーンやテンポが落ち着いていて、言葉の一つ一つが自然と自分の中に入ってくる感じなんです。気づいたらつい自分のことを話してしまう感じがして、こんなお医者さんがいたら安心するだろうなと。一つ一つの動きから相手の気持ちを引き出すアプローチが感じられて、いろんな意味で不思議な方だと思います。
◆現場での松本さんを見て、感じたことはありますか?
共演させていただくのは2回目になるんですけど、相変わらず視野が広い方だなと感じました。本当に目が何個あるんだろうというぐらい、現場のことを把握されていて。カメラや照明といったいろんな要素を踏まえた上でお芝居を作ってらっしゃるんです。と同時に、自然と周囲のみんなを引っ張り上げる、士気が上がる立ち振る舞いをされていて。いつも気さくにお話を聞いてくださいますし、時には冗談でみんなを爆笑させたりと、おちゃめな部分も持ち併せている方だと思います。


◆一方、清水さんが演じる鹿山はどんな人物でしょうか?
滝野の同期なんですけど、真っすぐで情熱的な彼女とは対照的に、現実を見据えて自分の中で折り合いをつけて生きている人だと捉えています。最初は生意気でひねくれている印象を抱く方もいらっしゃると思いますが、徳重先生と接することでいろんなことに気づき、学んでいく。回を追うごとに成長していくキャラクターなんです。
◆初めての医師役ということで、意識されていることはありますか?
専門用語や聞いたことがない言葉も多い中、それらをどこまで自分になじませることができるかが大事だと思っています。話すリズムや単語の区切り方も、なるべくナチュラルに聞こえるように心掛けて。医療監修の先生に、内科医の方はどういうふうに診察を進めていくのか。カルテを打ち込むときのスピードなども聞いて、なるべくリアルにお医者さんに見えるようにと思っています。
◆演じる上で特に大事にしているところは?
鹿山が今の生き方になったのには、過去のトラウマが原因だったりするんです。本来は怖がりで、臆病な自分を隠して気丈に振る舞っているところがある。それをどこまで表に出して行くか、あるいは出さないようにするか。序盤はそこに一番、時間をかけたところがあります。
◆鹿山の生き方で共感する部分、逆に違うなと感じることはありますか?
僕も10代のころは、効率を重んじる鹿山と近い考え方をしていた気がします。自分がこうしたい、こうなりたいという理想があって、ほかのことはしたくないというか。言い換えればそれだけ、真っすぐな気持ちだったと思うんですけど。でも20代になり、30歳が近づいていくにつれて、目の前の物事に一つ一つ向き合っていくことの大切さを感じているといいますか。なので今は、無駄なことはしたくないみたいな感じはないです。


◆同期の滝野を演じる小芝さんとは、現場でどのようなお話を?
僕は滝野と2人のシーンが多いこともあって、合間にお互いアイデアを出しながら、少しずつ芝居を一緒に作っている感じです。小芝さんはよく笑う方で、僕が思わず言ったようなことでも大笑いしてくれるんです。おかげで僕の方も楽しくなります。
◆最後に、第4話の見どころをお願いします。
前半は滝野に対してちょっとひねくれた態度だった鹿山ですけど、彼なりに医者という仕事に対して向き合ってはいたんです。もちろん患者さんの命を助けたいというのは前提に、折り合いを付けながら葛藤していた。そんな中、徳重先生の仕事への向き合い方を肌で感じて、鹿山は自身の過去と向き合い、滝野との接し方も変化していくことになります。その成長を楽しみにしていただきたいです。
今は鹿山みたいに、僕と同世代ぐらいやその下の世代の子達は、いろんなことを諦めている人も多いと思うんです。将来や夢を追い求めて苦労するより、平坦な道を歩いていく方がいいというか。医師という仕事に限らず、人生に対しての向き合い方として、見た人に何か伝わればと思っています。
PROFILE
●しみず・ひろや…1999年6月9日生まれ。東京都出身。O型。
番組情報
日曜劇場『19番目のカルテ』
TBS系
毎週日曜 午後9時~9時54分
<出演者>
松本潤、小芝風花、新田真剣佑、清水尋也、岡崎体育、池谷のぶえ/ファーストサマーウイカ、池田成志/生瀬勝久、木村佳乃、田中泯
<スタッフ>
製作:TBSスパークル TBS
原作:富士屋カツヒト「19番目のカルテ 徳重晃の問診」(ゼノンコミックス/コアミックス)
脚本:坪田文
プロデューサー:岩崎愛奈
企画:益田千愛
協力プロデューサー:相羽めぐみ
演出:青山貴洋、棚澤孝義、泉正英
編成:吉藤芽衣、髙田脩
<原作情報>
「19番目のカルテ 徳重晃の問診」
著者:富士屋カツヒト 医療原案/川下剛史
発刊:コアミックス
ゼノンコミックス 1~11巻発売中
WEB漫画サイト「ゼノン編集部」で連載中
©富士屋カツヒト/コアミックス
©TBSスパークル/TBS(撮影:加藤春日)