船越英一郎主演『テイオーの長い休日』“熱護語録”で振り返るテイオーの軌跡<前編>

ドラマ
2023年07月24日
『テイオーの長い休日』©東海テレビ

船越英一郎主演ドラマ『テイオーの長い休日』(東海テレビ/フジテレビ系 最終話:7月29日(土)午後11時40分~深夜0時35分)より、名せりふにみる「テイオーの軌跡」(前編)が到着した。

船越英一郎演じる“元・2サスの帝王・熱護大五郎”が活躍する土ドラ『テイオーの長い休日』が、いよいよ今週末7月29日(土)に最終回を迎える。当初は、偏屈で傲慢で傍若無人、俳優としては一流だが、人間としては性格最悪…といった人物に描かれていた熱護だが、回を追うごとにその株は急上昇。一本筋の通った考え方と、バシッと響く名せりふで、心にキズを受けた周囲の人間をつぎつぎと救い出していくさまに、多くの称賛が贈られてきた。

そんな本作の最終回放送を前に、各話の名せりふをピックアップ。「熱護語録」を通じてテイオーの軌跡をたどる。前編では、回を重ねるごとに登場人物の心も、放送を見ているドラマ業界人の想いも、そしてドラマ業界ではないさまざまな分野で仕事や人生に“心のキズ”を負ってしまっている人たちにも響いた言葉を残し続けてきた、第1~4話を振り返っていく。

「テイオーの軌跡」前編

HOLIDAY#1「変われない男」
『テイオーの長い休日』©東海テレビ

元2サスのテイオー・熱護大五郎。彼の元に、かつて芸能事務所でマネージャーをしていた吉田ゆかり(戸田菜穂)が転がりこみ、熱護のマネージメントをすることに。生来の偏屈ぶりで、ゆかりを振り回し続ける熱護だが、ゆかりの亡き夫・康介(大橋彰/アキラ100%)が残した洋食店で起きた不審火騒ぎに興味を持つ。そしてなぜか2サスの主人公“火災調査官・遠藤萌”の扮装で洋食店に現れ“不審火”の謎を見事に解き明かす…。

<せりふ1>

『テイオーの長い休日』©東海テレビ

「休みなんて御免こうむりたいね。役がなければ、役者は死人も同然だ」

熱護が、旧友の美術担当・東山に言った言葉。オファーを待つことしかできない役者の悲哀と、役者としてしか生きることのできない熱護の生きざまを表したせりふ。ゆかりからも同じことを言われる。

<せりふ2>

『テイオーの長い休日』©東海テレビ

「自分のやり方が時代錯誤だということくらい、百も承知だ。でも、だからといってこれまでのやり方を否定し、時代に迎合するなんてことは俺はしない。できない!バラエティも出ない。(中略)クイズもNOだ。街歩きなんかもってのほか。こんなジジイが町を徘徊して何が楽しい。SNSもナシだ。私生活を自慢する人間の気が知れない。どうだ?これが熱護大五郎だ。それでも君は俺を返り咲かせると言うんだな?」

熱護がゆかりに初めて見せた自分の弱さ。自らの面倒くささを認めつつ、信念を曲げない熱護という人間そのものを表現しているせりふ。バラエティや街歩き番組出演多数の船越が、このせりふを口にすることに、このドラマの面白みがある。

<これも名言!>
「ドラマ班の頃の俺って、嫌な奴だったでしょ。局Pの権力を自分の力だと思い込んでた。まして当時は2サス調子よかったからね。連ドラよりよっぽど数字取ってたし、肩で風切って歩いてたな」

2サス担当のプロデューサーだった有田(岩本淳)が当時の自分の態度を反省した一言。このせりふを身につまされる思いで見ていた業界人も少なくないとか…。

HOLIDAY#2「曲げない男」
『テイオーの長い休日』©東海テレビ

ゆかりは、さっそく熱護に超人気刑事ドラマのゲスト主役の話を取ってくる。だが、熱護は、その台本の“欠陥”を指摘して却下。脚本を手掛けた柏木美遊(工藤遥)と会って話すことで、もともと才能を持っていた美遊が、プロデューサーに言われるがまま台本を直すうちに、脚本の本質がどんどん損なわれていったことを知る。業界の悪しき風潮を「治療」すべく、熱護は闇の外科医に扮して現場に乗り込み、そして全てを正す。

<せりふ3>
「あなたたちは一体どこを向いて仕事をしているんですか」

ドラマは視聴者を楽しませることが第一義。そんな仕事の本質を見失ったプロデューサーたちにつきつけたセリフ。ドラマ作りのみならず、全ての仕事に通じる言葉。

<せりふ4>

『テイオーの長い休日』©東海テレビ

「『いつか』なんてない。分岐点は常に今だ。今、ここだ」

美遊に向けた言葉だったが、「いつかは、いつかは」と勝負を先延ばしにしている世の人たち全員を突き刺した言葉。直前に登場する「いつか業界を変える、と言って実際に動いたやつを見たことがない」というせりふと併せて、「やりたいことがあるなら偉くなれ」という言葉のアンチテーゼにもなっている。

<これも名言!>
「予算はどうするんです。僕らだって意地悪で言ってるわけじゃないんですよ。情けないほどお金がないんです。どうやってそんなシーン撮るんです?撮るんだったらどこ削るんです?言うんだったら代案も出してくださいよ!」

予算優先の台本直しをしていたプロデューサー・丸山(吉成浩一)のせりふ。敵役をただの悪人にせず、その立場だからこその苦悩もしっかりと見せることで、業界の問題点を浮き彫りにした。ちなみに、このせりふを受け、熱護は一番金(ギャラ)がかかっている自身の降板を提案した。

HOLIDAY#3「妥協しない男」
『テイオーの長い休日』©東海テレビ

ゆかりは、熱護に、今度は再現ドラマの仕事を取ってくる。当初、拒否感を示していた熱護だが、吉田家の長女・陽向(宮下結衣)が友人関係で悩んでいることを知り、なぜか出演を了承。自分のやりたい仕事ができずにくすぶっているディレクター・豆原(市川知宏)らスタッフを巻き込み、徹底した役作りを始める。チームとして優れた成果を出すためにはどうすべきか、自分が本当に大事にしているものは何なのか。その答えの一つを示すために、熱護は、ゴルフシーンで完全一発撮りのホールインワンを決める。

<せりふ5>

『テイオーの長い休日』©東海テレビ

「目的のためになれ合いを排除する。実に合理的な判断だ」
「だが随分と楽な道に逃げるんだな。(中略)ひとつだけ忠告しておく。角を矯めて牛を殺すようなことはするな」

コンテストで良い結果を得るために、友人たちとのチームを 解散しソロで参加することを決めた陽向に向けたひと言。「角を~」は本当に実現したい「大きな目的」を見失うな、という意味。目標にこだわるあまり、本当に大事なものを見失いがちな現代人に突き刺さった。

<せりふ6>
「携わる人間全員が、それぞれの持ち場でそれぞれ輝かなくては、いい結果は得られない」

チーム全員が輝くことが、俳優の自分にとっても最高の結果につながる、というドラマ作りの仕事の在り方を語りつつ、陽向に「チーム」の尊さを感じさせる狙いもあった。

<これも名言>

『テイオーの長い休日』©東海テレビ

「君があのこだわりの映像を取れたのはなぜだ?一人で撮ったとでもいうのか?スタッフは常に自分の本気を引き出してくれる演出家を求めている。後は君次第だ」

ドラマ志望にもかかわらず予算が守れずバラエティ班に飛ばされた豆原に告げた熱護のせりふ。豆原に自分を信頼してくれる仲間がいることを思い出させ、物づくりへの情熱を再燃させた。

HOLIDAY#4「父親になれない男」
『テイオーの長い休日』©東海テレビ

日置(河相我聞)が営む、地元の食堂に出入りするようになる熱護。しかし、その商店街で連続窃盗事件が起き、しかも吉田家の長男・悟(石原颯也)がその事件に関係していることがわかる。悟は何も語ろうとしないが、実は、亡き父・康介(大橋彰/アキラ100%)と交わした約束でジレンマを抱いていた。熱護は、孤独の料理人に扮して、「思い出のメンチカツ」を作り、康介への想いが断ち切れない悟にも、ゆかりたちにも、前に向かう勇気を与える。

<せりふ7>

『テイオーの長い休日』©東海テレビ

「いない人間を想っても状況は変わらねえぞ」
「当然だ。俺はおまえたちの父親でもなければ夫でもない」

一つ目は事故で亡くなった夫への思いを語るゆかりに向けたもの。二つ目は、父であり夫である康介を失った吉田家のために孤独の料理人・鯵野滑郎(あじのなめろう)に扮し思い出のメンチカツを作るも、「味が違う」と言われた熱護のひとこと。この言葉を受け、ゆかりはちゃんと康介の死と向き合う覚悟を決めた。

<せりふ8>

『テイオーの長い休日』©東海テレビ

「悟、料理人に最も必要なのは、味を記憶する能力だ。お父さんと同じ味を再現できる人間がいるとしたら、おまえだけだ」

父への思いで後ろ向きになっていた悟の目を、大きく未来に向かわせた言葉。ここまで「長男」としか呼んでいなかった悟に対し、初めて名前で呼び、1人の人間として真摯に向き合った。

<これも名言!>

『テイオーの長い休日』©東海テレビ

「世の中、損得で動く人間ばかりだ。大人がそんなだから、子供も真似をする。そうやってどんどんみんな生きづらくなっていく。人が生きてく上で一番大切なのは思いやりだ。おまえは友達を守った。父さん、おまえを誇りに思うぞ」

生前の康介が、いじめにあっている友人を助けた悟に向けて言った言葉。アキラ100%こと大橋彰がやさしい父を好演した。損得だけで動かないことの貴重さをかみ締めた視聴者もいたのでは?

第8話 あらすじ

『テイオーの長い休日』©東海テレビ

多額の負債を抱えたオリジンプロダクション。そんな中、熱護にビッグなオファーが舞い込んでくる。アメリカの配信大手の有名監督、ジョディ・ハリス(太田緑ロランス)が日本とアメリカ共同製作で2時間サスペンスを撮るというのだ。ただし、主役はオーディションで決めるという。そしてその競争相手こそ、熱護が最も嫌悪する大物俳優・桐林藤吾(大和田伸也)だった。大ベテランの意地がぶつかり合うオーディションが始まる。お互い子供のケンカのように相手を罵りながら自らの力を見せつける二人。そんな二人をただ面白がるジョディ。そんな中、ゆかり(戸田菜穂)は匠(今井悠貴)から熱護と桐林のある共通項を聞き出す。そこには熱護が熱護になった大きな理由が隠されていて…。「俺を誰だと思っている。熱護だ。熱護大五郎だ」
仕事のない2時間サスペンスの帝王と、変わりたい事情を抱えた元敏腕マネージャーの凸凹バディの物語、ついに完結!果たして熱護は、この長い休日を終えることができるのか。

番組情報

『テイオーの長い休日』
東海テレビ/フジテレビ系
最終話:2023年7月29日(土)午後11時40分~深夜0時35分

出演:船越英一郎、戸田菜穂、今井悠貴、宮下結衣、石原颯也、平野絢規/白石隼也、久保田磨希、前川泰之、木場勝己
企画:市野直親(東海テレビ)
脚本:入江信吾、川﨑いづみ、諸橋隼人
音楽:仲西匡(カレント)
主題歌:「素顔」上野大樹(cutting edge)
OPテーマ:「Bumpy」Beverly(avex trax)
ナレーション:大和田伸也
演出:吉川鮎太(ホリプロ)、白川士
企画:市野直親(東海テレビ)
プロデューサー:松本圭右(東海テレビ)、井上竜太(ホリプロ)
制作協力:キャンター
制作:東海テレビ、ホリプロ

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