窪田正孝、三池崇史監督に感謝「監督と主役としてできたこの喜びが全て」 | TV LIFE web

窪田正孝、三池崇史監督に感謝「監督と主役としてできたこの喜びが全て」

エンタメ総合
2020年02月29日
映画「初恋」

 映画「初恋」の外国特派員協会上映会が2月25日に行われ、主演の窪田正孝と監督・三池崇史が撮影や2人が出会った10年前のエピソードなどを語った。

 本作は、喜怒哀楽の全てが詰まった、人生で最高に濃密な一夜を描く極上のラブストーリー。物語の舞台は新宿歌舞伎町。余命いくばくもないと知らされたプロボクサーが、逃げる少女を助けるために悪徳刑事をKOしたことから事態は急転直下。なぜかヤクザ・チャイニーズマフィア・警察組織が入り乱れ欲望渦巻く“ブツ”をめぐる争いに巻き込まれる。

◆お二人はドラマ『ケータイ捜査官7』(08)以来、約10年ぶりにタッグを組みました。

三池監督:10年たちましたが、常に何かの映画を作る現場にいる人間からすると止まる間もなく動き続けている。確かに鏡を見ると10年たって歳をとったなと感じますが、窪田君はずいぶん出世したな、と。神様って冷たいなと思います(笑)。

窪田:当時19歳で、右も左も分からない状態でカメラの前でひたすらに芝居をして、監督に届けという思いで演じていました。10年たって三池さんと会ってみると、サングラスも丸みを帯びたもので柔らかくなっていて(笑)。昔のピリッとした鋭利なものが丸くなっていて、緊張も解けたのか話しやすくなったことが一番10年の変化を感じました。そうそうたる役者さんが、三池監督とやりたいと思う魅力が三池さんの現場にはあって、そんなワクワクする環境を右も左も分からない状態の一番初めに与えてもらったことは大きかったです。

◆撮影中の印象的なエピソードを教えてください。

窪田:アクションシーンを一番覚えています。日にも当たらず、夜行性のように夜だけ働いていました。車の中の撮影では監督もカメラに映らない場所にちゃんと乗っていて、カーアクションの方がアクセルを全開に踏んで運転する中で何度もガラスに頭をぶつけそうになりながら、体で体験して巻き込まれていくことってすごく大変だけど、後になって良い思い出になりました。

◆今回はインターナショナルのプロデューサー(ジェレミー・トーマス)が付いているということで、海外の方と組むとどういった違いがありますか?

窪田:いろいろな映画祭に行って“世界の三池監督”だと思ったし、この映画を撮っているときは、海外のマーケティングを意識したことはなかったけど、実際に現場で汗水たらして作った役が三池監督の手によって編集されたものが海を渡って、カンヌやマカオにも行かせてもらって、今日もそうですが、三池監督に連れてきてもらったという感覚でしかなくて。一役者としてこの作品に携われて、監督と主役としてできたこの喜びが全てであり、感謝です。

三池監督:ハリウッドのプロデューサーと組むということは明確に違います。ジェレミー・トーマスというプロデューサーは日本の映画をとてもよく理解してくれているし、日本人が撮るにふさわしい撮り方で映画に取り組んでいくことを後押ししてくれて、それで出来上がった作品を世界に持って出ていこうという基本姿勢で、かなり特殊なプロデューサーだと思います。そういう方と出会えて、一緒に映画を作れることは自分にとっては幸せで、ありがたい仲間という感じです。だからいつもと同じ環境で作れるし、いつも以上に自由を与えてくれる。意見も、あぁなるほど!という提案をいつも出してくれるけど、最後に判断するのはあなただからねと委ねてくれました。

◆車が飛ぶシーンをアニメのシークエンスにした理由を教えてください。

三池監督:正直に言いますと、クリエイティブな行為というと少し語弊があります。日本映画は皆さんご存じのようにソフトで、毒にも薬にもならない、みんなが安心して見られるものが多い。そして、最も海外と違うのは撮影時の危険なリスクを避ける。いまの日本は若い子がスタントマンに憧れるような環境ではなくなってしまっているので、日本のスタントマンはとても高齢になってしまいました。ベテランばかりで、腕のいい人たちは60歳を超えてしまっているので、あの高さから落ちたら腰にかなり負担が来る(笑)。だからといって、脚本はチャレンジしなくてはならない。ひとつの方法として、アニメーションを使いました。危険なことを脚本から削ろうという行為に対する反抗でもあります。

◆窪田さんのアクションシーンはほとんど素手でしたが、他の方が刀や銃を使うのはうらやましくなかったですか?

窪田:うらやましかったですね。ただ、キャストの中で一番準備したのが僕なのは間違いないです(笑)。

◆ボクサー役を演じるための準備はどんなことをしましたか?

窪田:1か月ちょっと前からほぼ毎日ジムに通い、2時間くらいひたすら打ち込みをし、縄跳びを跳び、たくさんお肉を食べて見た目を良くしました。

◆最近は、児童向けの特撮テレビドラマ『ガールズ×戦士シリーズ』などを手掛けたりしていましたが、今回は本筋へ戻ってきたのか、あるいは関係性があるのか。「さらば、バイオレンス!」というようなこともおっしゃっていましたが、こういったテーマとの関連性があるのでしょうか?

三池監督:まず、「初恋」というタイトルと「さらば、バイオレンス!」というコメントを表面に出すと、勘違いしたお客さんが見に来てくれると思いました(笑)。最近は、現在も放送している女の子向けのテレビ番組を作っているのですが、それは暴力ではなくて人を愛する力で力強く生きていこう、というのを描いている。そういう一面も自分の中にはあって、決して嘘ではない。ただ、この映画に出ているアウトローたちの馬鹿げているけど一瞬どこかで光るような、愚かに見える生き方に憧れるというのも事実。

映画監督というのは得意なジャンルがひとつあって、自分の普遍的なテーマと格闘していくのが多くの映画監督の姿だと思うんですが、自分はホラーをやったりもするけど、それはホラーが好きというわけではなくて、いろいろな人たちとの出会いがあって撮っています。いろいろなものを撮って、いろいろな登場人物を作り上げて、その人の気持ちを台本の中から探っていくのですが、どの登場人物たちもさして変わらないことに苦悩して、さして変わらないことに幸せを求めている。基本的な部分というのは、ジャンルを超えて皆同じだということをあらためて感じます。

◆コロナウイルスが蔓延しているなかで、中国では映画産業にストップのかかった状態になっていますが、お金と時間をかけて劇場用に映画を作るよりもストリーミング用に映画を作ったほうがいいのではないかという意見も散見されます。劇場用映画とストリーミング用映画について意見はありますか?

三池監督:未知なるウイルスについては非常にデリケートな問題だし、ビジネスを超えて対応していかなければいけない。それは、いずれ何らかの方法で人間は克服していかなければならないと思います。それと、劇場という興業の形を変えて、他人とかかわらず安全に、自分の家でプライベートで楽しめるネット作品も否定はしないし、そういう楽しみ方もあると思う。

ただ、我々はやっぱり映画館でいろいろな登場人物を観て、時には満員のなかみんなと同じ場所で笑ったり泣いたりしながら、時には、自分とあと何人しかいないガラガラな環境で観た映画など、その環境そのものと、劇場で観た匂いそのものが映画とプラスになっているんですね。ですから、自分にとって劇場は必要な空間です。

でも、自分もネット配信される作品で観るべきものはもちろん観ているし、ネットの世界でパーソナルに配信された自分の作品を観たときの感触というのも、今までDVDで観るのとまた違った感触もある。僕らが考えるネットとか以上に、これからどんどん映画は変化していくと思うけど、そのなかのひとつとして、劇場で観るというのはいつまでも残っていてほしいと思っています。

◆小西桜子さんについて、今回抜擢に至った理由と、共演してみていかがでしたか?

三池監督:新人の方はオーディションで選んでいます。オーディションでは演技をしてもらって可能性を見たり、本人のやる気を聞いたりするのですが、自分にとってオーディションの場所というのは、受ける人がドアから入って来たときに僕らが探していたこの役を演じる人が「あ、いた。」と思うかが大切。自分が役に近づくのではなくて、その役を演じるために生まれたんじゃないかと思えるようなエネルギーを感じるかどうかを一番大事にしています。

今も自信を持って言えるのは10年前オーディションで窪田君がドアから入って来たときに「この番組の主人公いたよ」とホッとしたんです。小西さんは、技術的にはまだまだこれからなんでしょうけど、自分とこの作品にとっては、彼女は既にこの企画が始まる前から、このために存在していたというように思えるエネルギーがある人です。出会えて良かったです。

窪田:10年やってきて、まだまだ未熟なのですが、知らない間になんとなく芝居の答えを技術で見つけてしまう癖が身についてしまっていたんだなというのを感じ、彼女を見ていて心が洗われる感覚になりました。芝居をしたことがないからこそ答えが無限にあって、監督の演出に純粋に答えていける柔軟さを痛感して、10年前のことを思い出したし、彼女が10年たったときに僕は越されないように頑張ろうと思いました。

映画「初恋」

映画「初恋」
全国公開中

<CAST>
窪田正孝、大森南朋、染谷将太、小西桜子、ベッキー
三浦貴大、藤岡麻美、顏正國、段鈞豪、矢島舞美、出合正幸
村上淳、滝藤賢一、ベンガル、塩見三省・内野聖陽

<STAFF>
監督:三池崇史
脚本:中村雅
音楽:遠藤浩二
製作:村松秀信、香田哲朗、宮崎伸夫、佐野真之、奥野敏聡、與田尚志、藤本鈴子、安藝貴範、森田圭、近貞博
企画・プロデュース:紀伊宗之
プロデューサー:ジェレミー・トーマス、坂美佐子、前田茂司、伊藤秀裕、小杉宝
共同プロデューサー:飯田雅裕
ラインプロデューサー:今井朝幸、青木智紀
キャスティングプロデューサー:山口正志
撮影:北信康(J.S.C.)
照明:渡部嘉
美術:清水剛
録音:中村淳
装飾:岩井健志
編集:神谷朗
VFXスーパーバイザー:太田垣香織
キャラクタースーパーバイザー:前田勇弥
ヘアメイク:石部順子
画コンテ:相馬宏充
スーパーヴァイジングサウンドエディター:勝俣まさとし
スタントコーディネーター:辻井啓伺
カースタント:雨宮正信 野呂真治
俳優担当:平出千尋 助監督:山口将幸
制作担当:鈴木勇
音楽プロデューサー:杉田寿宏
「初恋」製作委員会:東映Akatsuki 朝日新聞社 アスミック・エースOLM 東映ビデオ VAP グッドスマイルカンパニー KDDI アルケミーブラザース
制作プロダクション:OLM
制作協力:楽映舎 宣伝:ガイエ
配給:東映

©2020「初恋」製作委員会