朗読劇『もうラブソングは歌えない』稲垣吾郎×門脇麦「カラマツのように君を愛す」レポート

エンタメ総合
2020年08月09日
「カラマツのように君を愛す」
「カラマツのように君を愛す」撮影:田中亜紀

「男女の距離」をテーマに、テレビ、映画、演劇各界で活躍するクリエイターたちが書いたラブストーリーを、豪華キャスト陣が「朗読」という形で紡ぐプレミアムリーディング「もうラブソングは歌えない」。

8月8日(土)に東京国際フォーラムで行われた夕方公演では、稲垣吾郎×門脇麦の「カラマツのように君を愛す」、マキタスポーツ×YOUの「大山夫妻のこと」が上演された。今回は「カラマツのように君を愛す」をレポートする。

「カラマツのように君を愛す」
「カラマツのように君を愛す」撮影:田中亜紀

三島有紀子の小説を原作に、三島自身が脚本、演出を手掛けた本作。東京での会社員としての暮らしで生きづらさを抱えた水縞(稲垣)とりえ(門脇)が北海道の静かな町へ移住し、パンカフェ「マーニ」を営む中で心を通わせていく様を描く。

物語は水縞の日記をなぞる形で進行。都会での暮らしで心に深い悲しみを抱え、今にも消えてしまいそうなりえを、水縞はいつしか救いたいと思うように。門脇が演じるりえは痛々しいほどに切なく、悲しく、ミステリアス。特に水縞が恋に落ちる瞬間のりえの“涙”は、見るものに強烈なインパクトを残した。

「カラマツのように君を愛す」
「カラマツのように君を愛す」撮影:田中亜紀

やがて北海道での暮らしをスタートさせた2人。しかし水縞は、最初に自生する力はあるが、やがて他の木に取って代られてしまう“カラマツ”に自分を重ね、りえにとっての自分とは何か、という“苦悩”と、日々のりえとの暮らしの中で感じる些細な“幸福”の間を行ったり来たり。

稲垣はそんな水縞の不安やりえへの愛情を、細やかな表情と柔らかだが芯のある声で見事に表現。特にりえの深い悲しみに触れ、自分の無力さに打ちひしがれる後半の場面には、“朗読”という枠組みを一時忘れて引き込まれてしまった。

プレミアムリーディング「もうラブソングは歌えない」は、8月10日(月・祝)まで上演中。詳しくはイベント公式サイト(https://www.tbs.co.jp/event/moulovesonghautaenai/)まで。

「大山夫妻のこと」
「大山夫妻のこと」撮影:田中亜紀
「大山夫妻のこと」
「大山夫妻のこと」撮影:田中亜紀

 

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