佐藤アツヒロ演出バージョンも上演決定!「本気で遊べば仕事になる」舞台「楽屋」開幕

エンタメ総合
2021年04月16日

舞台「楽屋−流れ去るものはやがてなつかしき−」のゲネプロと囲み取材が、4月15日(木)に都内で開催。出演者の伊藤裕一、伊勢大貴、大高洋夫、佐藤アツヒロが登壇した。

日本で最も多く上演されている、清水邦夫著の「楽屋」。1977年の初演から、様々な演出家・キャストによって世に送り出されてきた作品だ。舞台はチェーホフの「かもめ」が上演される、ある劇場の楽屋。その楽屋の主で主役のニーナを演じる女優と、亡霊として現れた女優3人の、運命や悲喜こもごもを描く。

そして昨年、性を超えて「楽屋」を創り出すという演劇的実験に、伊藤裕一、伊勢大貴、大高洋夫、佐藤アツヒロという実力派キャストが挑み、好評を博した。そんな初演から1年が経過した2021年、演出・西森英行のもとに“伝説の女優”たちが再集結。withコロナとして新たな時代を迎えた現在、西森版「楽屋」を“伝説の女優”たちはどう演じるのか。

開幕にあたり、亡霊・女優B役を演じる佐藤は「この『楽屋』という作品は日本で最も上演回数が多く、皆さんがやられてきた舞台です。その中で今回はこうして男性4人がトランスジェンダーとして、その心や気持ちを前面に出すという作品に仕上がっています。再演ではありますが、新しい物語を作っていきたい」と語る。

その上で「一度やっていてせりふが染み込んでいる分、さらにまた気づくところがありました。せりふに埋まっている気持ちだったりと、どんどん新たな発見があったので、そこを繋いでいってより深い作品になったんじゃないか」と手応えを口にした。

亡霊・女優Dを演じる伊勢も「稽古が今まで通りにできなかったりして大変なことはありましたが、そういう状況の中でお客様も来てくださるので、お芝居をしっかり届けられるように頑張りたいです」と意気込む。

役作りについて、女優C役の伊藤は「僕たちの中でグラデーションを付けるということを意識しました。そして心は女性という役柄ではありますが、あまりデフォルメしすぎず、あくまで人間として女優を演じよう」としたそう。

佐藤も「僕が演じる女優Bはとてもキュートでかわいらしい役なので、そういう部分を出していけたらいいなと思っていて。以前『蒲田行進曲』という舞台に出演した時に女形をやってと言われ、その際に日舞を習いに行ったんです。所作などはその時のことを思い出しながら、それを自然に出せるようにと。でも女性というよりは“女優B”という人を作ってきたという感じです」と過去を振り返りながら、今回の役作りについて明かす。

実際の「楽屋」の様子について聞かれると、伊勢と同部屋だという伊藤は「彼は非常にとっつきやすいナイスガイなので、基本的にずっとふざけていますね。僕がボケたがりなので、それを伊勢君が拾ってツッコんでくれたり。でも彼はとても天然で、ボケているのか素で話しているのかわからないこともあるんですが(笑)」と笑顔でコメント。

いっぽう、佐藤は「ごく普通です。必要以外のことはあまり喋らず(笑)。僕はあまり変わったことはせず、自分のペースで本番に臨むというのが一番いいなって」と回答。それに対して、同部屋で亡霊・女優A役の大高が「仲悪いみたいに思われてますか!? 全然そんなことはないです!(笑)よく仲のいい漫才コンビでも楽屋では全然会話しないとか聞くじゃないですか、そんな感じです」とフォローする場面も。

さらに、5月31日(月)から本公演が行われる東京・浅草九劇にて、佐藤が演出を手掛けるバージョンの「楽屋」が上演されることも発表。佐藤は「この『楽屋』という作品に、2年半ぶり2回目の演出家として、チャレンジすることになりました。空間としては同じものなんですが、演出やメンバーは変わりますし、また違った感じに作りたいと思います」と。

続けて「僕はカンパニーのみんなが楽しんでいるのが好きなので、自由にしてもらえたらいいなって。昔、『大人が本気で遊べば仕事になる』という言葉を聞いて感銘を受けたので、僕も本気で遊びながら演出に挑みたいです」と、2度目となる演出への決意を述べた。

最後は伊藤が「約1年ぶりの再演となりますが、改めてこの作品の魔力のようなものを強く感じております。それがこの劇場に充満して、お客様を魅了していくんだろうなと思いますし、本当に全く新しいものに仕上がっていますので、以前ご覧いただいた方にもぜひまた劇場に足を運んでいただきたいです」と。

佐藤も「もし芸術を楽しむ機会があればぜひ見に来ていただけたらうれしいですが、『この“楽屋”は男性がやっている』というのをお友達などに言ってもらって、知っていただけるだけでも充分なので、ぜひよろしくお願い致します」とメッセージを寄せ、締めくくった。

舞台「楽屋−流れ去るものはやがてなつかしき−」は、4月25日(日)まで東京・浅草九劇で上演される。

公演情報

舞台「楽屋−流れ去るものはやがてなつかしき−」
2021年4月15日(木)〜4月25日(日)東京・浅草九劇

佐藤アツヒロ演出バージョン「楽屋」
2021年5月31日(月)〜6月13日(日)東京・浅草九劇

WEB

公式HP:https://g-atlas.jp/gakuya2021/
公式Twitter:https://twitter.com/gakuya2020atlas/

撮影:岩田えり