『ザ・ノンフィクション』ヤングケアラーとその家族を追った物語が「ABU2022」審査員特別賞

エンタメ総合
2022年11月30日
『ザ・ノンフィクション』
ABU授賞式 左から)演出・プロデューサー:山田貴光、チーフプロデューサー:西村陽次郎 ©フジテレビ

ABU(アジア太平洋放送連合)が主催するABU賞の授賞式がインド・ニューデリーにて開催され、2021年10月17日にフジテレビで放送された『ザ・ノンフィクション ボクと父ちゃんの記憶 ~家族の思い出 別れの時~』が審査員特別賞を受賞した。

アジア太平洋地域最大級の番組コンクールであるABU賞は、ABUに加盟する放送機関が制作したテレビ・ラジオ番組の中で優れた作品に贈られる賞で、今年はラジオ部門、テレビ部門、デジタルメディア部門を合わせて330作品の応募があった。

審査員特別賞は最終選考に残った全ての番組の中から最終審査員によって選ばれるもので、その題材、完成度、制作価値により審査員に特別なインパクトを与えた番組を表彰するもの。この賞は必ずしも毎年授与されるわけではなく、最終審査員が適切と判断した場合のみ授与される特別な賞で、フジテレビは初めての受賞となる。

今回、審査員特別賞を受賞した『ザ・ノンフィクション ボクと父ちゃんの記憶 ~家族の思い出 別れの時~』は、いわゆる「ヤングケアラー」と呼ばれる、緑に囲まれた千葉・睦沢町で暮らす高校3年生の大介さんを追ったもの。大介さんの父・佳秀さんは、50歳のときに若年性アルツハイマー型認知症と診断された。それから15年、大介さんは母・京子さんと妹と3人で、徐々に記憶が薄らいでいく父の介護を続けてきたが、それがついに“限界”を迎えようとしていた。

介護施設へ入所させれば、毎日家族と顔を合わせることでようやくつながっている家族の記憶は薄まり、また認知症が一気に進行してしまうかもしれない。この番組はそんな悩みを抱えながら若年性認知症の父の介護で揺れる息子と、その一家のひと夏を見つめたドキュメンタリーである。かつてはスーパーマンのような存在だった父の記憶から家族の思い出が消えてゆくという、誰の家族にでも起こりえる苦悩と現実を追うドキュメンタリーが、審査員特別賞という形で高い評価を受けた。

チーフプロデューサー:西村陽次郎(フジテレビ情報企画開発部)コメント

数ある番組の中から、特別な、そして栄誉ある賞をいただきありがとうございます。日本の片隅で生きる一つの家族を描いた番組が、日本国内だけでなく多くの国の人々の心に届き、高い評価を得たことは、本当にうれしく思います。
この番組は若年性認知症になり、徐々に記憶が消えてしまうお父さんとその家族の物語です。大好きなお父さんの中から“家族の記憶”は消えていったとしても、家族の愛は変わることがないということを、この一家は教えてくれます。番組を通じて、認知症やその介護をする家族への理解が深まることを願っています。

演出・プロデューサー:山田貴光(ドキュメンタリーSAMURAI)コメント

特別で栄誉ある賞をいただきありがとうございます。国を越え多くの人々の心に届いたことに感謝。まずこの受賞について、林さん⼀家に喜びをお伝えしたいと思います。
林さん⼀家と出会ったのは8年前。当時、11歳だった息子・大介さんは、父の認知症に “頑張って僕が父ちゃんの病気を食い止める”と語っていました。そして、17歳の夏。ヤングケアラーの大介さんと再会。変わらぬ父への思い…しかし、認知症の父と家族は、涙の別れのときを迎えました。
この作品を通して、認知症とその家族へ理解が深まることを願い、日本の片隅で生きる“深い愛でつながった林さん⼀家”を伝えられたことに誇りに思います。

番組情報

『ザ・ノンフィクション ボクと父ちゃんの記憶 ~家族の思い出 別れの時~』
フジテレビ(関東ローカル)
2021年10月17日(日)午後2時~2時55分