なぜ『風雲!たけし城』をゲーム化したのか – 担当者に聞く制作秘話

特集・インタビュー
2023年09月07日
「風雲!たけし城」ゲーム

TBSテレビが、2023年7月5日に自社ゲームブランド「TBS GAMES」のティザーサイトをオープン。同年9月1日に「TBS GAMES」第一弾となる『風雲!たけし城』のゲームが、グローバル没入型プラットフォーム「Roblox」にて配信スタートした。『風雲!たけし城』といえば伝説的な視聴者参加型バラエティ番組で、今年4月からはAmazon Original番組『風雲!たけし城』が、Prime Videoで世界に向けて順次配信され話題になってはいるが、なぜ第一弾として本作が選ばれたのか。

今回は、本ゲームプロジェクトを担当している株式会社TBSテレビの安田容子さんと、 TBSテレビに企画を持ち込んだGeekOut株式会社の代表取締役CEO・田中創一朗さんにインタビュー。「Roblox」がプラットフォームとして選ばれた理由や、『風雲!たけし城』をゲーム化しようと思ったきっかけなどについてお話を聞きました。

『風雲!たけし城』の番組フォーマット自体がRobloxとの親和性が高い

◆先日、「TBS GAMES」第一弾となる『風雲!たけし城』のゲームがリリースされました。TBSさんには数多くの人気番組がありますが、そのなかで『風雲!たけし城』が選ばれた理由を教えてください。

田中:実は、私たちGeekOutからTBSさんに「Roblox」で『風雲!たけし城』のゲームを作りませんかというご提案をしたんですよ。GeekOutは国内外のRobloxワールド開発スタジオと連携して、「Roblox」コンテンツの企画・開発・パブリッシングを行っています。「Roblox」は「ゲーム版YouTube」とも言われており、全世界で毎日6,600万人が遊んでいるプラットフォームです。そんな「Roblox」で世界中のユーザーに楽しんでもらえる日本のコンテンツは何だろうと考えたときに、『風雲!たけし城』がぴったりだと思ったんですよ。

◆グローバルな展開を考えたときに『風雲!たけし城』がぴったりだと思った。

田中:はい。というのも、『風雲!たけし城』って実は海外でもすごく人気のある番組なんです。それに、「Roblox」では『Fall Guys』のような障害物競走的なスタイルのゲームの人気が非常に高くて。そんな『Fall Guys』は『風雲!たけし城』にインスパイアされたと言われています。だから、『風雲!たけし城』の番組フォーマット自体がもう「Roblox」との親和性が非常に高いと思ったんですよ。きっとゲームとして出したらみんなが楽しんでくれるだろうと思い、TBSさんにご提案しました。

安田:『風雲!たけし城』って、実は日本では1986年から1989年の間しか放送してないんですよ。ただ、1989年の放送終了前から海外でも番組を放送するようになり、今なお見られているんです。アメリカでは、「MXC(Most Extreme Elimination Challenge)」という名で知られていますね。もしかしたら日本の若い世代よりも、海外の方のほうが知っているコンテンツかもしれません。実際、リアルタイム放送の世代ではない帰国子女の後輩たちからは「知っています、めっちゃ人気でした」「見ていました」と言われて。やっぱり、ノンバーバルでただ腹を抱えて笑えるコンテンツって、どこの国でも面白いんだと思いました。『風雲!たけし城』の偉大さを感じましたね。

田中:Roblox社のなかでも、『風雲!たけし城』を知っている人は多いんです。話によると昔、『風雲!たけし城』の外国人大会に出場したことがある方もいるとか(笑)。それくらい海外でも認知度が高く、人気のある番組なんですよね。

◆安田さんは田中さんから提案があったとき、どのように思いましたか?

安田:田中さんとお会いしたのは確か1年半ほど前で、私の子供がちょうど小学生になるタイミングだったんです。当時はまだコロナ禍で、公園で遊べない、放課後も友達と遊べないというような状況でした。そんななか、子供たちは『フォートナイト』や「Roblox」で配信されているゲームで友達と一緒に遊んでいたんですよ。そのとき、Z世代やα世代の子たちはこうやって友達とコミュニケーションを取るんだと思って。加えて、TBSは海外展開にも力を入れていく方針だったので、それなら親和性があるんじゃないか、子供を含めた多くの人に楽しんでもらえるんじゃないかと思い社内で検討し、今に至ります。

田中:今の安田さんのお話にあった「友達と一緒に遊ぶ」というもかなりのポイントでして。というのも、「Roblox」はゲームというより、ソーシャルプラットフォームという側面が強いんですよ。ひとりで「Roblox」を黙々と利用している人はあまりおらず、基本的には友達や知り合いと一緒にやることが前提なんです。僕は『風雲!たけし城』って、友達が失敗しているのを面白がったり、自分は脱落しちゃったけど友達や仲間を応援したりというコミュニケーションが発生しうるコンテンツだと思っていて。だから、番組の世界観がそのままゲームになれば、友達と一緒に遊ぶという楽しさも提供できると思ったんです。

ゲーム画面(ビーチボーイズアンドギャルズ)

運用しながらもアップデートできるから古臭くならない

◆改めて今回リリースされたのは、どんなゲームなのか教えてください。

田中:基本的にはアバターを操作して数々の難関を突破していく、いわゆる障害物競走ですね。最初に、参加者がプレイする3~4つのステージがランダムで決定されます。各ステージをクリアしたプレイヤーは次のステージへと進めますが、各ステージはクリア可能人数(参加人数によって変動)が決まっていて、また制限時間を過ぎると、そのプレイヤーは次のステージには進めません。最後まで生き残れば、最終ステージの「カート戦」がスタートします。城主と家来たちをレーザー銃で撃ち、倒すことができたらゲームクリアです。現状は同時に50人一緒にプレイができますが、徐々に増やしていきたいですね。

ゲーム画面(カート戦)

◆ステージというのは、番組でいうところの「難関」にあたるもの?

田中:そうですね! 今のところ、「竜神池」「遥かなる自由への壁」「だるまさんがころんだ」「カルタでお手柄」「まわってビーチボーイズ&ギャルズ」が遊べますが、年内に3つほど追加予定です。

◆今後もステージが増えていく可能性はありますか?

田中:はい、もっともっと追加していきたいと思っています。

安田:『風雲!たけし城』の難関って、いっぱいありますからね。ユーザーからリクエストを募るのはどうでしょうか?

田中:ありかもしれないですね!

◆期待しています! その他、どんなゲーム要素がありますか?

田中:長くプレイしている方に、自身のアバターに身に着けられるアイテムやちょっとしたエフェクトをプレゼントするという要素も実装予定です。こういう要素によってユーザーさんが周りから「あいつすげえな、古参か」と称えられ、それがモチベーションにも繋がればいいなと思っています。

◆いわゆるやりこみ要素があるんですね。

田中:そうですね!

◆今回、本作を開発していくなかで難しかったことを教えてください。

田中:個人的にはゲームの難易度調整。特に「竜神池」は開発当初から難しすぎるんじゃないかという声があがっていました。

安田:TBS社内でクリアできた人間は、数えるほどしかいませんでした(笑)。

田中:それで難易度を調整すると、今度は簡単になり過ぎてしまったり、そこそこ難しいバランスにできたと思って人数を集めてプレイしてみたら、実際はすごく簡単だったりの繰り返しでした。現状、多くの方に楽しんでもらえるのではというバランスにはしていますが、ユーザーさんからはどういう反応があるのか、今はドキドキしています。ただ「Roblox」のゲームって、ローンチ後にも簡単にアップデートできるんです。みんなに再インストールしてもらうとか、ダウンロードパッチを当ててもらうという必要もありません。アップロードすれば即座に反映されるので、ユーザーさんの反応を見て、これからも難易度調整していきたいと思っています。

ゲーム画面(竜神池)


安田
:ユーザーさんの反応を見て即座に対応できるのって、すごくいいですよね。我々テレビ局の人間が作っている映像コンテンツって、生放送は少し異なりますが、基本的に完成した作品を放送しています。放送後に視聴者さんの反応を見て、映像を変えることはできません。一方の「Roblox」などで配信されているゲームは「ここ、ちょっと違うかも」となったら、運用しながらもアップデートができる。だから、その時代、その時代にフィットしたものを提供し続けられるんだと思います。永遠に古臭くならないというか。すごくすてきなコンテンツだと思います。

田中:Robloxのゲームだと大胆にピボットするものもあって。例えば、最初は自分の家をオシャレにしていくようなゲームが、ある時ペットを飼える要素を追加したんですよ。すると、その追加要素が人気すぎて、ペットを集めるゲームにピボットしたんです。もしかしたら『風雲!たけし城』のゲームもユーザーさんの声次第で、大胆にピボットする可能性があるかも。カードゲームとか。

安田:ボードゲームなんて可能性もあり得るかもしれないですね。

◆今回の取り組みで、TBSさんも多くの学びがあった。

安田:ありました。新しいコンテンツの形だと感じています。すぐ活かせる訳ではないかもしれませんが、こういうスピード感を持って柔軟に取り組む姿勢などは、引き続き別の形でも取り入れられたらいいなと思っています。

◆本作はゲーム配信や実況向きのゲームにも感じます。

安田:実況者さんにはぜひプレイしていただきたいですね。一緒に育ててもらいたいです!

田中:ゲーム配信者さんや実況者さんのプレイ動画って、すごく参考になるんですよね。操作されているところを見て、「ここが分かりづらいのかも」「ここは改善したほうがよさそう」と検討できるので、たくさんの方にプレイしてもらえるとうれしいです。

◆本日はいろいろなお話ありがとうございました。最後に、それぞれが思う本作の推しポイントと合わせて、読者の方にメッセージをお願いします。

安田:実際のゲームをプレイする前に集合する「ロビー」と呼ばれる場所があるのですが、そこの世界観も作りこまれています。ゲームのランキングが表示されている建物や、迷路などのちょっとしたアトラクションも設置されているので、散策するだけでも楽しいと思います。ぜひいろいろな体験をしてみてください。私はこのゲーム、すごく難しいと感じているので、みんなで一緒に攻略しましょう!(笑)

田中:本作はなるべくたくさんの人を集めて、みんなで一緒にやるのがいちばん楽しい遊び方だと思います。「Roblox」のゲームはスマホやPC、iPadやXboxなどでも遊べます。クロスデバイスでも同じサーバーで遊べるので、ぜひ家族・友人・職場の仲間と一緒にプレイしてください!

●text/M.TOKU

ゲーム画面(だるまさんがころんだ)

ゲーム情報

『風雲!たけし城 Robloxゲーム』

【遊び方】
〈スマートフォン、タブレットの場合〉
①「Roblox」アプリケーションをインストールし、アカウントを登録。(初回のみ)
[App Store(iOS)]
https://apps.apple.com/jp/app/roblox/id431946152
[Google Play(Android)]
https://play.google.com/store/apps/details?id=com.roblox.client
②「Roblox」アプリケーション上で『風雲!たけし城』を検索し、表示された『風雲!たけし城』のアイコンをタップ。さらにプレイボタンをタップし、ロビーエリアに入場。
③ロビーエリア内で「Play(プレイ)」ボタンをタップして一定時間が経過するとゲームが開始。

〈PCの場合〉
①「Roblox」公式ウェブサイトにアクセスし、アカウントを登録。(初回のみ)
②公式ウェブサイト上で『風雲!たけし城』を検索し、表示された『風雲!たけし城』のアイコンをクリック。さらにプレイボタンをクリックし、ロビーエリアに入場。
③ロビーエリア内で「Play(プレイ)」ボタンをクリックして一定時間が経過するとゲームが開始。

【利用料金】
無料
※ゲームを有利に進めるためのアイテムや、アバターの見た目を変更するアイテムの一部は有料での提供となります。
お支払い時に必要な「Roblox」内の仮装通貨Robuxは下記URLからご購入いただけます。
https://www.roblox.com/upgrades/robux?ctx=navpopover

【対応デバイス】
スマートフォン・タブレット(iOS・Android)・PC(Windows・MacOS)

●Robloxアプリ内『風雲!たけし城』
https://www.roblox.com/games/12566669965
●『風雲!たけし城』ゲーム公式Discordチャンネル
https://discord.gg/9jy8aQx8B8
●Roblox
https://www.roblox.com/