佐藤健、映画「護られなかった者たちへ」ロケ地・石巻を再訪「前に進んでいるんだなと感じた」

映画
2021年09月14日

10月1日(金)より全国公開される映画「護られなかった者たちへ」の石巻凱旋舞台あいさつが行われ、佐藤健、瀬々敬久監督が登壇した。

「このミステリーがすごい!」受賞作家・中山七里の傑作小説を映画化した本作は、東日本大震災から10年目の仙台で起きた不可解な連続殺人事件を軸に、その裏に隠された切なくも衝撃の真実を描く、感動のヒューマン・ミステリー。連続殺人事件の捜査線上に浮上する主人公・利根を佐藤、利根を追う刑事・笘篠を阿部寛が演じるほか、清原果耶、倍賞美津子、吉岡秀隆、林遣都、永山瑛太、緒形直人らが集結した。

震災から10年目の仙台で発生した、連続“餓死”殺人事件。容疑者として捜査線上に浮上したのは、別の事件の刑期を終え、出所してきたばかりの利根という男。刑事の笘篠は利根を追い詰めていくが、決定的な証拠がつかめないまま、第3の事件が起きようとしていた。なぜ、このような無残な殺し方をしたのか。利根の過去に何があったのか。やがて事件の裏に隠された、切なくも衝撃の真実が明らかになっていく。

公開を前に、映画のロケ地ともなった、石巻南浜津波復興祈念公園を訪れた佐藤と瀬々監督。「がんばろう!石巻の会」事務局長・黒澤健一さんの案内の下、かつての南浜地区の街並みについての話を聞きながら園内を巡り、「祈りの場」で献花、被災地へ思いを馳せた。

「一丁目の丘」からは、佐藤と阿部がラストシーンを演じた防潮堤も見え、佐藤は「撮影をしたときは、(公園から見える)道路の向こう側の景色は今とあんまり変わらず、僕と阿部さんで防潮堤を登って、公園側の景色を二人で見るというお芝居だったのですが、その時はほとんど更地で何もないような状況でした。今日こうして訪れ、こんなにも美しい公園になったのを見て、震災から10年たち、ゆっくりではありますけど前に進んでいるんだなと感じました」と思いを口にした。

瀬々監督は「人々が生きていた記憶というのが、そのままここに根付いているというか、ここへ来て、みんながその記憶をひと通りより戻す拠点になっていると思うし、ここに住んでいた方々だけでなく、日本中の人たちがここへ来て、あの当時のこと、街の記憶など、そういう日々の生活の記録っていうものがここにあるんだという、そういうことを感じる場所になっているんじゃないかと思います」と涙ぐみながら語った。

舞台あいさつで佐藤は「撮影したのは1年ほど前だと思うのですが、当時既にコロナ禍で、そんな中迎えてくださって、撮影に協力していただいた石巻の皆様に非常に感謝しております。皆様のご協力があったから、我々は最後まで撮影を終えることができ、映画が完成して、皆さんに届けることができました。皆さんが映画を見て感じたことを教えていただきたいですし、周りの方々に広めていただけたら幸いです」と語った。

瀬々監督も「ちょうど震災の年は僕の友人が石巻の小学校でドキュメンタリーを撮影していまして、その手伝いで8月くらいに来ました。まだ復興途中で信号も止まっているような状態でしたが、その時の印象がすごく鮮明に残っていて、今回、石巻で撮影させていただきました。ここにいらっしゃる方、石巻の方々に非常に感謝しています。この映画が、皆様の心に届けば良いなと思って今日を迎えました」と、それぞれ舞台となった石巻の人たちに感謝の気持ちを伝えた。

撮影地の宮城で作品が上映されることについて佐藤は「今日、監督と一緒に石巻南浜津波復興祈念公園に行かせていただいて、その場所は撮影の時に阿部さんとロケでも行かせていただいたのですが、撮影の時点では更地だったのが、今日は非常に美しい公園が完成していました。すごく広いので、その広さの分、当時の被害の大きさも感じたのですが、立ち上がって前を向いた人たちがいたから、復興にたどり着いたということに胸を打たれました。すごく力をもらって、そんな東北の皆様にこの映画を届けることが感謝の気持ちを表すことになるかどうか分からないですが、少なくとも、我々は、祈りや、あらゆる願いを込めて作ったので、それが届いたらうれしいです。もちろん、日本全国の皆様に見ていただきたいですが、東北の皆様には、特に届いたらうれしいなと思います」と観客へ思いを明かした。

瀬々監督も「この映画を作るに当たって原作を読んだ時に、最初にこの“護られなかった者たちへ”というタイトルにすごくひかれました。(震災後)そういう状況があったと思いますし、そういう思いをして生きてこられた方もたくさんいらっしゃったかと思うのですが、そういう思いに僕たちが共感して、作ることができればと思い、作った映画です。10年たって、今でもコロナによって、また違った問題で残念ながら“護られなかった者たちへ”のような状況があったりしますが、石巻に来るたびに、徐々に風景も変わってきて感じることも大きいので、一緒に未来へこの映画を通して考えていければと思います」と未来へ向けたメッセージを語った。

撮影での印象的なエピソードを尋ねられた佐藤は「石巻で撮影させていただいた最後のシーン、先ほどもお話に出た祈念公園から道ひとつ隔てたところにある防潮堤を超えた海がラストシーンだったんですが、そこがすごく印象に残っています。今回、監督が水にこだわって演出されてるなと感じていたのですが、今回ラストシーンで、芝居の上で初めての感覚があって、“海を見る”感覚が変わったというか。ここは非常に複雑な気持ちで撮影させていただいたのですが、映画としても意味のあるシーンになっているんじゃないかなと思います」と振り返った。

瀬々監督も「映画は架空の都市という設定にして、石巻や気仙沼、塩釜などいろいろなところで撮影しているのですが、印象的だったのは佐藤君演じる利根が途中でフェリーに乗って、浦戸諸島に行くところ。風景的にほっとするような部分で、印象に残っています」とロケ地について語った。

宮城で、地元の空気を感じながら撮影をしたことについて佐藤は「非常に助けられたところがあります。東京で撮影しても絶対に撮れない景色が撮れますし、芝居をする上でも実際に震災のあったその場所に身を置くことで、感じることがありますし、そういった空気というものが映画には映るんですよね。そういった空気感に身を任せながら撮影できたのは、芝居をする上で助けられました」と話した。

佐藤は最後に「本当に今日はありがとうございました。この映画に描かれていることが全てだとは思いませんし、きっと見る角度から、見る目線によって、その数だけ正義があって、その数だけ真実があるんだと思います。ただ、自分の大切な人を護れる社会であってほしいし、そういった社会を作るために、一人一人が声を上げるんだとか、どうやって生きていくんだと考えることが重要なんじゃないかと思いますし、そんな願いをこめて作られた作品です。皆さんに届きましたらうれしいです」とメッセージを送った。

瀬々監督は「今回の映画では、大変な状況でも人々は日常の生活を営み、そこには美しい瞬間や、楽しい瞬間があったりする、そういう小さな日常の大切さも描いています。そういったものが覆され壊れされていくことに対して、なんとかしたいという思いを持って撮った映画です。今後も未来へ希望が持てればと思っておりますので、皆さんとこの場で出会えてうれしく思います。ぜひ気に入ったら、また映画館に来てください。ありがとうございました」と話し、会場は温かな拍手に包まれた。

作品情報

「護られなかった者たちへ」
2021年10月1日(金)公開

出演:佐藤健、阿部寛、清原果耶、林遣都、永山瑛太、緒形直人、吉岡秀隆、倍賞美津子

配給:松竹

公式HP:https://movies.shochiku.co.jp/mamorare/

©2021映画『護られなかった者たちへ』製作委員会

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