筒井真理子主演×荻上直子監督「波紋」23年初夏公開決定 光石研、磯村勇斗ら全キャスト&特報映像解禁【コメントあり】

映画
2022年11月29日
©2022 映画「波紋」フィルムパートナーズ

筒井真理子主演、共演に光石研、磯村勇斗、柄本明、キムラ緑子、木野花、安藤玉恵、江口のりこ、平岩紙を迎え、荻上直子監督がメガホンをとった映画「波紋」が、2023年初夏に全国公開することが決定。特報映像とキャストが解禁され、荻上監督とキャストからのコメントも到着した。

今朝も1ミリ違わず砂に波紋を描いている須藤依子(筒井)。庭に作った枯山水の手入れは、依子の毎朝の習慣であった。“緑命会”という水を信仰する新興宗教に傾倒し、日々の祈りと勉強会に勤しみながら、依子はひとり穏やかに暮らしていた。

ある日、長いこと失踪したままだった夫、修(光石)が突然帰ってくる。そして震災、老々介護、新興宗教、障害者差別など、世の中に起こっている得体の知れない闇が縮図となって須藤家に現れる。

「かもめ食堂」「めがね」「川っぺりムコリッタ」の荻上監督が長年温めてきた本作。筒井が主人公・須藤依子を演じ、失踪した依子の夫・修役に光石研。磯村勇斗が2人の息子・拓哉を演じる。

依子を取り巻く人々として、新興宗教“緑命会”の代表を務める橋本昌子役にキムラ緑子、信者である小笠原ひとみ役の江口のりこと伊藤節子役の平岩紙が絶妙に笑いを呼ぶキャラクターを体現。依子のパート先のスーパーで迷惑な客・門倉太郎役を柄本明、依子と同じスーパーのパート先の清掃員・水木役を木野花、依子の隣人・渡辺美佐江役を安藤玉恵など、日本を代表する俳優陣がそろった。

解禁されたスチール写真は、美しく高貴な紫色のタイトルに反し、モノトーンで映し出されるキャストの面々。まるで依子を中心にこれから起こるさまざまな絶望が波紋のように広がる様子を表現している。

依子が憎悪を剥き出しにした表情で夫・修に対する恨みを表すシーンから始まる特報映像は、修の「俺、さっさと死ぬわ」というひと言から依子の様子が一変。声を上げて甲高く笑うシーンがとても印象的で、ラストの“絶望を、笑え”という言葉が衝撃を与える。
萩上監督、筒井、光石、磯村のコメントは下記に掲載。

コメント

筒井真理子(須藤依子役)

最近は“壊れてゆく女性”の役が続いていたので、荻上監督の作風から想像するとご一緒させていただける機会はないかと思っていました。ですので、とてもうれしかったです。脚本を読んだとき、監督が醸し出す穏やかな空気の中に潜む日常のささいなとげ、ビターな社会風刺が溶け合っていて目を見張りました。演出も人間の細部を見抜く力が的確で、身を委ねることができ安心でした。
いまは先の見えない不穏なものに覆われているような時代ですが、ぜひこの映画を見て絶望に絡め取られず前を進む気持ちになっていただけたらと思います。

光石研(須藤修役)

久しぶりに荻上組へ参加させていただき、すごくうれしかったです。
監督は以前と変わらず、穏やかに粘り強く、俳優に寄り添い演出をしてくださり、安心して身を委ねる事ができました。
脚本に関してはただひと言、「女性は怖し」。
60年間、女性は聖母マリアだと信じて生きてきましたが、音を立てて崩れて落ちました。

磯村勇斗(須藤拓哉役)

はじめに脚本を読んだとき、ひしひしと波紋のように迫り来る心理的恐怖を感じました。
特に筒井真理子さん演じる母・須藤依子を中心に、家族や取り巻く人物達のやり取りは怖いのだが思わず笑ってしまうところが多く、荻上監督の描く世界は面白いなと一気に引き込まれました。
そして今作では、手話が必要な役でした。新たな言語に触れる機会をいただき、現場でも一つひとつ丁寧に確認しながら作り上げていきました。
早くこの作品が皆さまのところに届くのが楽しみです。

荻上直子監督

その日は、雨が降っていた。駅に向かう途中にある、とある新興宗教施設の前を通りかかったとき、ふと目にした光景。施設の前の傘立てには、数千本の傘が詰まっていた。傘の数と同じだけの人々が、この新興宗教をよりどころにしている。何かを信じていないと生きていくのが不安な人々がこんなにもいるという現実に、私は立ちすくんだ。施設から出てきた小奇麗な格好の女性たちが気になった。このときの光景が、物語を創作するきっかけになる。

日本におけるジェンダーギャップ指数(146か国中116位)が示しているように、我が国では男性中心の社会がいまだに続いている。多くの家庭では依然として夫は外に働きに出て、妻は家庭を守るという家父長制の伝統を引き継いでいる。主人公は義父の介護をしているが、彼女にとっては心から出たものではなく、世間体を気にしての義務であったと思う。日本では今なお女は良き妻、良き母でいればいいという同調圧力は根強く顕在し、女たちを縛っている。果たして、女たちはこのまま黙っていればいいのだろうか?

突然訪れた夫の失踪。主人公は自分で問題を解決するのではなく、現実逃避の道を選ぶ。新興宗教へ救いを求め、のめり込む彼女の姿は、日本女性の生きづらさを象徴する。くしくも、本映画の製作中に起きた安倍元首相暗殺事件によりクローズアップされた「統一教会」の問題だが、教会にはまり大金を貢いでしまった犯人の母と主人公の姿は悲しく重なる。

荒れ果てた心を鎮めるために、枯山水の庭園を整える毎日を送っていた彼女だが、ついにはそんな自分を嘲笑し、大切な庭を崩していく。自分が思い描く人生からかけ離れていく中、さまざまな体験を通して周りの人々と関わり、そして夫の死によって、抑圧してきた自分自身から解放される。

リセットされた彼女の人生は、自由へと目覚めていく。

私は、この国で女であるということが、息苦しくてたまらない。それでも、そんな現状をなんとかしようともがき、映画を作る。たくさんのブラックユーモアを込めて。

特報映像

作品情報

「波紋」
2023年初夏公開

出演:筒井真理子
光石研
磯村勇斗/安藤玉恵、江口のりこ、平岩紙
津田絵理奈、花王おさむ
柄本明/木野花、キムラ緑子

監督・脚本:荻上直子

映画「波紋」フィルムパートナーズ(テレビマンユニオン U-NEXT 博報堂DYミュージック&ピクチャーズ 讀賣テレビ放送 イオンエンターテイメント ジャストプロ)
製作幹事・制作プロダクション:テレビマンユニオン
制作協力:キリシマ1945
配給:ショウゲート

©2022 映画「波紋」フィルムパートナーズ
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