【インタビュー】デーブ・スペクターに聞く「マイケル・J・フォックス・ショウ」の魅力

特集・インタビュー
2014年04月24日

海外ドラマ専門チャンネル「スーパー!ドラマTV」で4月25日(金)から「マイケル・J・フォックス・ショウ」が放送スタート。 マイケル・J・フォックスが13年ぶりに主演でTV復帰を果たした話題作の見どころをデーブ・スペクターさんに伺いました。

マイケルの好感度はえなりかずきと並ぶくらい

――「マイケル・J・フォックス・ショウ」をご覧になった感想は?

マイケル・J・フォックスは、『ファミリータイズ』(*1)のころから大好きで、収録に行ったこともあります。マイケルは好感度が高くて、みんなに好かれてる人なんですよ。頭が良くてウィットがあって。私生活もおしどり夫婦でね。好感度はえなりかずきと並ぶくらい(笑)。とにかく好かれる人なんですよ。
病気は人を選ばないと言いますけど、マイケルがパーキンソン病に冒されたというのはショッキングでした。

「マイケル・J・フォックス・ショウ」と実生活がだぶってるんですが、マイケル演じるヘンリーは病気でキャスターを辞めて、それから5年たって、このままだと何も進まないからと奥さんの勧めで戻る気持ちになるという仕掛けになっている。ありのまま、実在するマイケルとほぼ同じように復帰するんです。
フィクションとノンフィクションが一緒になってるところが面白いですよね。

――病気をネタにしたジョークもたくさん出てきますね。

日本だと病気を笑いにしません。NHKの『バリバラ』(*2)は本当に見事ですけど、それを除けばなかなかないんですよ。
アメリカは『gree』(*3)を見て分かるように、車いすのキャラクターもいるし、ダウン症のキャラクターもいる。CMにも出ていたりと、普通に接するのが正しいという感覚が一般化しています。
最初はゲイのキャラクターが出た『SOAP』(*4)っていう番組ですね。ビリー・クリスタルが初めてゲイのキャラクターを演じて。
それで少しずつそういうのも当たり前になった。今ではゲイの人がいないとあれ?っていうくらい普通になりました。

――マイケルの復帰についてアメリカでの反応は?

何よりも復帰っていう話題性が先行して、ニュースになったくらいですから。芸能ニュースじゃなくて普通のニュースになったからね。
マイケルは、コメディでありながら知的なものを守ってきたんですけど、パーキンソン病と診断されました。
それでも、チャリティーや自分の名前が付く基金を作ったり、啓発運動をしたりして公共CMとかで活動してたんですよね。
テレビもちょこちょこ単発で特別出演してたんですけど、彼の魅力といえばシットコムですので、ちょうどタイミングがそろったということですね。

これまでもいろんな病気を患った人が出てきたんですけど、パーキンソン病の人は初めて。そういう意味では、彼は使命感を持ったと思うんです。若年性ということで、それでもやっていけるというメッセージを伝えてきた結果、テレビに戻ってきました。
もちろん芸能人だから特別というのもありますが、
病気になったけど仕事を辞めるってことでもない、という決着がこの番組でついたんですね。

キャラクターの設定は非常にリアリティがある

――テレビ局が舞台という設定はいかがですか?

日本とちょっと違うんですけど、ローカルニュースのキャスターはものすごく有名な人が多いんです。ニューヨーク、ロス、シカゴだったら年俸100万ドル、200万ドルは当たり前。アメリカの地方に行くとキャスターしか有名人がいないからものすごいステータスなんです。
実際にそういう人がいるので、キャラクターの設定は非常にリアリティがある。僕もたまたまシカゴのテレビ局で姉が働いてて、若いころよく遊びに行ってたんです。いろんな人と出会ったんですけど、もう本当にこういうキャラが多いんですよ。

設定はシチュエーションコメディによくある家族が中心というかたち。ニューヨークらしい、知的な環境で。奥さん役が『ブレイキング・バッド』(*5)というドラマに出ているベッツィ・ブラントという人なんですけど、最高なんですよ。「おお、あの人か」と思って。マイケルを差し置いてそれで見始めたくらいですから、キャスティングは見事です。
もうひとつ面白いのはテレビ局という設定ですので、実在するキャスターも出てくるんですよ。
シットコムはリアリティは追求しないけど、今回はそこはきちんとやっていますね。局の協力で、架空の番宣コマーシャルもリアル。人間関係の上でも、上司のハリスの役でもインターンでもライバルでも、ものすごくリアルです。
日本でも、ときどきテレビニュースの設定にするドラマがあるけど、リアリティがぜんぜんない。
ちゃんとやったらADをいじめたりしてシャレにならないもん。

――「バック・トゥ・ザ・フューチャー」(*6)で共演したクリストファー・ロイドもゲスト出演するそうですが、この2人の共演はアメリカではどういうふうに受け止められてるんですか?

「バック・トゥ・ザ・フューチャー」のドクとマーティーですからね、みんな楽しみにしてるんじゃないかな。
以前、ダウンタウンの番組で「バック・トゥ・ザ・フューチャー」のパロディをやって、僕がドク役をやったの。マイケルはマイケル富岡(*7)で、デロリアンも借りて面白かったですよ。

――C・ロイドとマイケル・J・フォックスの再会は、マイケル富岡さんとデーブさんの再会みたいなものということですね。

ウチをパクッたと思いますよ。でもまあ、いちいちクレームつけてもね。
C・ロイドとマイケルの共演はみんな大騒ぎですよ。ファンが多いから話題になるし。「バック・トゥ・ザ・フューチャー」は映画だったけど、ドラマで再会するから。スタローンとシュワちゃんが「エクスペンダブルズ」で一緒にやるようなもので、意外な共演ですからね。

シットコムをドラマって言っちゃだめなんです

――シットコムは日本ではあまり見られないですが、どうしてでしょうか。

ドラマはドラマ、シットコムはシットコム。シットコムはコメディタッチが中心なのに、日本ではドラマって言うからだめなんです。
コケたドラマは、ドラマって言うから期待されちゃったんですよ。
コメディとかホームコメディ、ファミリーコメディっていう言い方をすれば、別な目で見てもらえたのに、ドラマって言うから「何だこのチャラいの」とか「歯ごたえがない」とか言われる。
音楽がない劇はミュージカルって言わないでしょ。そのくらいの間違いなんですよ。

シットコムは、ある状況のコメディで3アクトで30分やる、というようなフォーマットが決まっている。それを日本でしっかりやらないと、ということで三谷幸喜さんが『HR』(*8)をやってて面白かったですよ。
収録の仕方もアメリカと同じ。僕も一回収録に行ったんですけど、向こうのシットコムはお客さんを入れてショー感覚でやります。つまり、カメラをまわし続けて、みんなせりふを覚えてきて、カンペ無しで演じる。なので、見てる人がお芝居を見に行っている感じでいられます。
『HR』はそれとまったく同じで、大成功だった。その前は『やっぱり猫が好き』がありましたけど。
『HR』はもっと続ければよかったんですよ。本来であれば当たって5、6年やってもおかしくない。
三谷さんは向こうのものが大好きで、新しいものに対するチャレンジとか研究心があった。
日本でもやろうと思えばできることを証明したんです。とってもよかったですよ。

――デーブさんおすすめのドラマの見方を教えてください。

僕はシリアスなドラマを見てる間に、短いからシットコムを見るんですよ。ほかのドラマをミックスして見るという方法もありますし、吟味して見る時代ですから、タイミングよく見ます。
世代によって『ファミリータイズ』を見た人なら「バック・トゥ・ザ・フューチャー」も知ってると思うんです。
海外ドラマを見るときに欠かせないのは予備知識。
役者も含めてなじみのないものが出てくるので、始まる前に調べてなじむのは必要ですよね。
「マイケル・J・フォックス・ショウ」は謎がないから1話で分かりますけどね。
楽しむためにどういう設定かくらいは知っていてもいいかもしれないですね。

――最後に「マイケル・J・フォックス・ショウ」についてダジャレをお願いします。

心の準備してなかった。

“まーいける”かな(笑)。

 


*1 『ファミリータイズ』
1982年から1989年まで7シーズンにわたって放送された大ヒットホームドラマ。マイケルはこの作品で3年連続エミー賞主演男優賞を受賞。

*2 『バリバラ』
Eテレで放送中の障害者情報バラエティ。バリアフリーな社会を目指し、タブーとされてきた障害者の性やお笑いも取り上げている。

*3 『gree』
2009年から放送されている、高校の合唱部(グリークラブ)を舞台にしたミュージカル・コメディ・ドラマ。

*4 『SOAP』
1977年から1981年に放送されたファミリードラマ。

*5 『ブレイキング・バッド』
2008年から2013年に放送され、シリーズ最終回の視聴者数は1000万人以上を記録した大ヒットドラマ。エミー賞、ゴールデングローブ賞を受賞。スーパー!ドラマTV!で6月6日(金)より全5シーズンを放送開始。

*6 「バック・トゥ・ザ・フューチャー」
1985年に公開されたマイケル主演、ロバート・ゼメキス監督、スティーブン・スピルバーグ製作総指揮の大ヒット映画。1989年にPART2、1990年にPART3が公開された。この作品で共演したクリストファー・ロイドが「マイケル・J・フォックス・ショウ」にゲスト出演し、大きな話題となった。

*7 マイケル富岡
1993年から1995年に放送された「日清焼そばU.F.O.」のCMでデーブ・スペクターと共演。富岡演じるヤキソバンと、デーブ演じるケトラーの死闘を描き、大人気となった。CMのスピンオフビデオ映画「UFO仮面ヤキソバン 怒りのあげ玉ボンバー」も制作された。

*8 『HR』
2002年から2003年にかけて2クールにわたりフジテレビ系で放送された夜間学校を舞台にしたシチュエーションコメディ。脚本・総合演出は三谷幸喜、出演は香取慎吾、篠原涼子、中村獅童ら。

 

PROFILE

デーブ・スペクター
アメリカ合衆国イリノイ州シカゴ出身。テレビプロデューサー。放送作家、タレント、コメンテーターと多彩な顔を持つ。スペクター・コミュニケーションズ代表取締役。

 

放送情報

『マイケル・J・フォックス・ショウ』
海外ドラマ専門チャンネル「スーパー!ドラマTV」
4月25日(金)後8・00 独占日本初放送スタート
初回放送:第1話&2話 1時間スペシャル

【キャスト】
マイケル・ヘンリー:マイケル・J・フォックス
アニー・ヘンリー:ベッツィ・ブラント
ハリス・ライト:ウェンデル・ピアース
リー・ヘンリー:ケイティ・フィナーラン
イブ・ヘンリー:ジュリエット・ゴリア
イアン・ヘンリー:コナー・ロメロ
グレアム・ヘンリー:ジャック・ゴア

【ストーリー】
ニューヨークのマンハッタンで暮らすマイケル・ヘンリーは、NBC「チャンネル4」の人気キャスターだったが、5年前にパーキンソン病を患い、仕事を辞めて妻アニーや3人の子供と過ごす時間を大切にしていた。元上司で親友のハリスに復帰を懇願され、復帰を決意したマイケルだったが、いざ職場復帰してみると、局では彼を英雄扱いするプロモ映像が作られていたりと歓迎ムード一色。マイケルはとまどいつつも、プロデューサーのケイと組んで再びニュースの現場に切り込んでいく。

『マイケル・J・フォックス・ショウ』公式サイト(http://www.superdramatv.com/line/michael/

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