芦名星インタビュー「最終回に向けてどんどん濃くなっていく空気感を楽しんで」『W県警の悲劇』

特集・インタビュー
2019年09月06日

男尊女卑が色濃い旧態依然とした県警の中で、女性警察官の道を作るために “円卓会議”のメンバーになろうと日々奮闘している女性監察官・松永菜穂子を描く『W県警の悲劇』。菜穂子役の芦名星さんにインタビュー!

芦名星インタビュー

最終回に向けてどんどん濃くなっていく空気感を楽しんで

◆毎話、放送後にはSNSで「想像を超えるどんでん返し!」や「女の怖い部分を見た」などの声が上がり、話題となっています。

本当に毎回衝撃的で、いい意味で裏切られますよね。その予想もしていなかった展開や結末の“どんでん返し”がこの作品の魅力だと思います。ミステリーを見ている時って、頭の中で何となく話の展開をイメージするというか、「きっとこういう話のオチなんだろうな」って考えながら見てくださっていると思うのですが、このドラマに関しては、そこを超えて「え、そういうことだったの?」ってなる。演じているとその部分は見えてこないのですが、いつも出来上がった映像を見ると「来たー!」って盛り上がりますね。

◆芦名さん演じる松永菜穂子も毎話、女性警官と対峙しますが、相手によって菜穂子の表情や印象が変わっているなという印象があります。演じるうちに菜穂子の印象は変わりましたか?

変わりました。私も元々、菜穂子をクールで感情をあまり出さないとイメージしていたのですが、実際に現場に入って撮影し始めると、「あれ?意外と笑っているな」って。たぶん、対峙する方の境遇が関係していて、被疑者なのか、被害者の遺族なのかというので対応が変わってくるのだと思います。1話(「許さない女」)では、被害者遺族の女性警察官だったので、柔らかい表情が出ているのですが、逆に3話(「溺れる女」)などで、菜穂子が相手にグイグイと切り込んでいくパターンもあるので、演じていても面白いです。当初は、せりふの量に驚いていたのですが、撮影が進んでいくと少しずつ自分の体の中に役が入っていっているなと感じていて。こういった彼女の心境などの細かいところにも目を向けられるようになり、役としての要素+αができるようになりました。今、役柄に肉がだいぶ付いてきて肉厚な菜穂子になっていると思います。

芦名星インタビュー

◆菜穂子は、ネックレスのほか、対峙する相手との休憩にはハーブティにいちご…など、“女性を忘れないように”と赤を基調としたものがあります。芦名さんのお好きな色や現場には必ず持っていくものはありますか?

10何年、“ふわりんか”を食べ続けています。これが現場にないとダメというか、これがないと現場に挑めないので、ここ10何年は忘れずに持ち歩いていますし、ストックもいろんな場所にあります(笑)。現場でせりふ量と戦えるのは、ふわりんかのおかげだと言ってもいいぐらい。色は、基本的に洋服とかも黒が多いのですが、最近はカラフルな服も着るようになりました。黒以外だと、ワインレッドも好きです。

◆では、本作のポスタービジュアルの色合いはお好きな色味ですね。

世界観も含めて大好きです!駅で初めてポスターを見たときにインパクトあるな~って、しばらくポスターを眺めちゃいました(笑)。そのあと、周りの方の反応が気になって、その場所を観察していたのですが、結構見てくださる方が多くてすごくうれしかったです。ただ、私は赤色がネックレスだけだったので、ゲストキャストさんたちのように花やリップ、ワインなどの赤を基調としたものが持ちたかったなって(笑)。

◆各話「許されない女」「惑わす女」などのタイトルがつきますが、ご自身を「○○な女」に例えるなら何ですか?

わ~何だろう。 “ふわりんかの女”であることは間違いないのですが…(笑)。あ、この現場では“楽しんじゃう女”ですね。普段の現場では、もちろん(当たり前ながら)遊んだり踊ったりっていうことはしないのですが、朝から撮影でせりふと戦っているからなのか、撮影が終わって戦ったせりふが抜けたところを埋めないとエネルギーが出て行っちゃうんです。なので、エネルギー切れにならないようにスタッフのみんなと冗談を言い合ったりして楽しんでいます。…ほかの皆さんは真面目にやっているというのに(笑)。現場も緊迫した空気になっているので、自分なりに雰囲気とかが重くならないようにというか、私自身が重くなりすぎないように動いている感じですね。

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◆先ほどの撮影時もヘアメイクさんと冗談を言い合ったりしていましたが、現場もああいう感じだったんですか?

そうです!(笑)対峙する女優さんもせりふが多いので、本当は現場でたわいもない話をしたいのですが、なかなか余裕がなくて…。逆に皆さんから「この量すごいね?」って毎回驚かれます。だから変なテンションになってふざけちゃうのだと思います。でも、『W県警の悲劇』のおかげで、ストイックで暑さも吹っ飛ぶぐらい没頭できているので、いい夏になりました!

◆後半に向けての見どころをお願いいたします。

前半もいろんな方と戦ってきましたが、後半はさらに戦います。“たたかう”には、いろんな意味があると思いますが、バチバチするというよりは、お互いが自分の秘め事や意図を探るためのやりとりがどんどん濃くなっていきます。さらに、最終話への伏線は既に張られておりますので、皆さま、もう既に最終話は始まっています!ちょっと伏線が見当たらない、意識していなかったという方は、ぜひ1話から見返していただき、最終回に向けてどんどん濃くなっていく空気感を楽しんでいただけたらと思います。私もそのころには、撮影が終わり落ち着いてオンエアを見られると思いますので(笑)、一視聴者として楽しみながら見たいと思います!

■PROFILE

●あしな・せい…1983年11月22日生まれ。福島県出身。O型。最近の主な出演作は『新しい王様』『予告殺人』『神の手』ほか。映画「AI崩壊」(2020年1月31日公開)が控えている。

■ドラマ情報

土曜ドラマ9『W県警の悲劇』

土曜ドラマ9『W県警の悲劇』
BSテレ東
毎週(土)後9・00~9・55

<第6話(9月7日放送)あらすじ>
上層部より暴力団担当の女刑事・高寺沙友里(鈴木砂羽)がヤクザと恋愛関係に陥っているとのことで調査するよう指令が下り、菜穂子(芦名星)は調べることに。高寺に話を聞くと、彼女は純愛を貫くという。そんな中、その男が殺人を犯し逃走。高寺は涙を流して男を庇う。高寺の思惑は?そして事件の裏には驚愕の真実が。

©「W県警の悲劇」製作委員会2019

●photo/中村圭吾 text/宮西由加