上野優華インタビュー「自分にないものだからこそ、より深く想像できるのかな」

特集・インタビュー
2021年03月19日

「演じるように歌い分けるということは意識しています」

◆自分の中では、平凡な人生というイメージなんですね。

わりと普通に生きてきたかなと思っていて。昔から通信簿もオール3みたいな感じで、“何でもできるけど、何にもできない”みたいなタイプでしたね。ただ、得意なこともないけど、苦手なこともないので、すごく生きやすい人類だなとは思っています(笑)。

◆そこはポジティブに捉えていると。自分の声については、どう思いますか?

このお仕事を始める前から歌が好きで、元々は地元のカラオケ大会に出場していたことがオーディションに参加するきっかけにもなったんです。その当時からデビューして数年は、(自分では)どこにでもいる声だと思っていて。でもいろんな人から「一瞬でわかる特徴的な声をしている」と言われて、やっと“私にしかないものなんだな”ということに気付けたくらいですね。

◆周りからの評価によって気付けたわけですね。確かに初期の曲と最近の曲とでは、歌い方も徐々に変わっている気がしました。

変わりましたね。10代後半から20歳くらいって、ちょうど女の子の声が変わっていく不安定な時期で。自分の声をしっかり作っていく時期ということで、デビューしてからいろんな曲をコンスタントにリリースしてきて、声を作り上げる期間やいろんな歌い方を経験する期間があったんです。本当に若くしてデビューさせていただいたからこそ、こういう変化がつけられているというところはすごくうれしいなと思います。

◆自分の歌い方を模索していた部分もあったのでしょうか?

それはありますね。いろんな曲を歌わせていただいているので、自分の中で“こうしたい”という理想像が曲によって全然違っていて。「ああいう曲も歌いたいから、こういう声も出したい」とか「真っすぐな歌い方もしたいけど、しっかりヴィヴラートを効かせた歌い方もしたい」みたいな感じで、レパートリーをどんどん増やしていくということは今でもずっとやっています。

◆曲の雰囲気やテーマに合わせて毎回、変身するような感覚もあるのでは?

そこはすごく意識している部分ですね。デビューしてから役者もずっとやっていたので、それに影響されている部分もあって。曲によってはすごくマイナス思考な女の子の気持ちを歌うこともあれば、めちゃくちゃポジティブな子の気持ちを歌うこともあるから。どちらのキャラクターもまったく一緒なわけはないし、同じような声のわけもないから、演じるように歌い分けるということは意識しているし、そこは自分にしかない魅力として作っていきたいなと思っている部分です。

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