神はサイコロを振らないインタビュー「“神サイ”の音楽が光になったらいいな」

特集・インタビュー
2021年03月17日

◆20年にメジャーデビューされてから、今回1stシングル「エーテルの正体」をリリースするまでを振り返っていかがですか?

柳田: コロナ禍にメジャーデビューが決まって。ライブができる状況ではないですし、バンドとしての活動ができるか心配だったんですが、いろんな方のお力添えもあってデジタルシングル「泡沫花火」やデジタルEP「文化的特異点」をリリースすることができました。あらためて振り返ると、音楽活動に専念する怒涛の日々だったと思います。

◆これまでデジタルリリースが続いていましたが、今回は初のフィジカル盤なんですよね。

柳田:そうなんです。でも今の10代の子たちって、YouTubeやサブスクで音楽を聴くことがほとんどなんですよね。僕はもろCD世代なので、学生のころは好きなバンドのCDが発売されるたびに特典付きの限定盤を買いに行ったり、付属の歌詞カードを見ながらじっくり聴いたりしていて。特典のポスターはいまだに実家の部屋に貼ってあるくらい、CDには思い入れがあります。

吉田:やっぱり“モノ”として残るっていうのはすごい大きいよね。例えば僕らのCDを聴いている人たちが親になった時に、子供に渡すこともできるし。そういうループがCDでは実現できるので、“モノ”として音楽を残せることはすごくすてきだなと思います。

柳田:今の時代ってさくっと音楽が聴けるし、便利ではあるんだけど、バンドをやっている側としてはもう少しロマンが欲しいんですよね。

黒川:僕は中高生の時、好きな女の子とお互い好きなアーティストのCDを貸し借りしていたんですけど、そういう青春の思い出の中にも、柳田が言うロマンが隠れていると思います。

柳田:今回は、ジャケットや歌詞カード、特典とかも思いっ切りこだわって制作したので、ぜひそこも楽しんでいただきたいです。

◆「エーテルの正体」というタイトル名に込められた思いを教えてください。

黒川:まず「エーテル」って何だろうって思いますよね。僕も最初は意味を知らなかったんですけど、柳田が「エーテル」の物理学的な言葉の意味と神学的な言葉の意味が書かれたサイトを、グループラインに送ってきてくれて。それを見て自分なりに解釈しました。

柳田:「エーテル」には、物理学で光を伝える媒質、神学で永遠に輝き続けるものという意味があるんです。昨年はコロナ禍だったので、無観客の配信でメジャーデビューを発表したんですが、ファンの方から「今まで応援してきて良かったです」「これからも頑張ってください」「“神サイ”の音楽があるから日々頑張れています」などのメッセージを頂いて。その時に、なかなか会えない状況でもいつも応援してくださっている方々のために、僕たちは音楽を作っているんだろうな、僕たちにとっての“光”は“神サイ”の音楽を聴いてくれる方々なんだなとあらためて気づいたんです。逆にその人たちにとっての“光”は、僕たちの音楽にだったらいいなとも思って、光をテーマに「エーテルの正体」というタイトルを付けました。

桐木:作詞・作曲は柳田が担当なんですけど、普段からタイトルや歌詞について説明されることはないんです。今回も「エーテル」の言葉の意味だけ伝えてもらって、あとはそれぞれが歌詞を読んで音を聴いて感じたものを持ち寄ってレコーディングに臨んでねという感じでした。

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