劇団PatchのLIFE GOES ON【Web出張連載 vol.13】松井勇歩「映像でも舞台でもいいので、必要とされる役者であり続けたい」

特集・インタビュー
劇団PatchのLIFE GOES ON
2021年08月11日

「劇団PatchのLIFE GOES ON」

関西を拠点に活動する“ちょうどいい”イケメン演劇集団・劇団Patchの連載「劇団PatchのLIFE GOES ON」がWebで出張連載! 誌面では語り切れなかったはみ出しトークを紹介しちゃいます!

9月16日(木)から舞台『アナ伝vol.2「霧の中のノスフェラトゥ ~ドラキュラ伝説~」』に出演予定の松井勇歩さんに、舞台の見どころや役作りの方法、30歳を迎える抱負などを聞きました。

◆「霧の中のノスフェラトゥ ~ドラキュラ伝説~」は、松井さんにとって2021年に入ってから5本目の舞台。まさに出ずっぱりといった印象ですが、切り替えはどのようにされていますか?

特別にしていることはないんですけど、とりかかっている作品がある時は、別の作品は全く触らないようにしています。日程的に仕方がない時は別として、台本も一切開かないです。セリフ覚えはわりと早いほうなので、あまり時間はかかりません。とにかく1つのものに集中するようにしています。それに僕、役に引きずられたりことが全くないんですよ。1、2か月同じ役を演じていると、終わってからも役を引きずるという話も聞きますが、僕は終わったらそれで終わり、のタイプです。この世界に入って10年になりますけど、昔からそうなんです。

◆2020年も10本近い舞台に出演されていますが、切り替えが早いからこそ、たくさんの舞台に出演できるんでしょうね。

どうなんでしょう。昨年から今年にかけては、素の自分とは全く違う人物を演じさせていただくことが多かったので、新しいことばかり経験させていただいたなと思っています。あまりにも自分と違う役の時は、どう役を作っていこうか、というのは結構考えました。

◆そういう時は映画やドラマを観たりするんですか?

映画やドラマは大好きなんで、毎日観てるんですよ。で、演じる役に近い役の作品があれば、もう一回引っ張り出してきて観たりしてます。

◆常に何かしらのストックを蓄えていると?

そうですね。劇団Patchを旗揚げしたころ、舞台の「上手」と「下手」すら分からない僕らに演出をつけてくれていた末満(健一)さんが、「このシーンは◯◯っていう映画の◯◯のシーンみたいにしたいから、観といて」って感じで、既存の作品に例えて説明してくださることが多かったんです。当時はまだサブスクなんてなかったので、レンタルDVD店で映画やドラマを借りて観る、という癖がついたんですよね。今も時間があれば何かしら観るようにしてます。

◆舞台出演期間中でも気になるドラマとかがあれば観てしまう?

全然観ますね(笑)。それで寝不足になったりとか。

◆本当に切り替えがすごいんですね!

どれだけ切羽詰まっていても、休憩は絶対に取るようにしています。それをなくしてしまったら、詰め込みすぎて逆効果やなって思うんです。でも休憩時間に映画を見始めると止まらなくなっちゃって(笑)。本番期間やのに睡眠時間が…ってことも。最近はアベンジャーズシリーズに足を踏み入れてしまいました(笑)。

◆アベンジャーズシリーズとはまた深い沼に…(笑)。アクションものがお好きなんですか?

そうですね。アクションやSFは好きです。他にも大どんでん返し系の映画も観ます。ミステリーとかサスペンスとか。

◆映画などをご覧になる時は楽しむ気持ちと研究の気持ち、比率はどれくらいですか?

10:0で楽しんでますね(笑)。面白いと思ったものはずっと記憶に残っていて、必要な時にパッと出てくるんですよね。僕の場合、中途半端に“勉強のため”と思って観ると逆に記憶に残らなかったりするから、観る時は100%楽しむ気持ちで。そういう引き出しの作り方ですかね。

◆お話を聞けば聞くほど素晴らしいバランス感覚!

いやあ…。「サボり」ってよく言われますけど(笑)。

◆昨年から今年にかけて新しい体験をしたとおっしゃっていましたが、特に難しかった、あるいは転機になったと思う作品は?

難しさでいえば“マイリマ”(カンテレ×劇団Patchプロジェクト 音楽朗読劇『マインド・リマインド~I am…~』)は難しかったですね。朗読だけど、朗読劇に寄りすぎていないという形態も新しかったですし。人間だと思っていた自分が最終的には人工知能だったというSFで。僕らは当然、台本を読んでいるからそこに至るまでのルートは知っていますけど、演じている時は「自分が人工知能だ」とは分からないまま演じないといけないというもどかしさ…。答えを知っている自分はいるけど、それはまた違うところに置いといて、知らないうちに進んでいってしまう、という演じ方でした。自分で自分をだましながら…というか。あれは難しかったですね。日替わりで役をシャッフルしたので、自分と同じ役をずっと一緒にやってきたメンバーも演じていて、人によって解釈が全然違ったというのも楽しかったです。SFやどんでん返し系は好きなジャンルですけど、やるのは難しいなと思った作品でした。

松井勇歩
松井勇歩

◆9月16日からは舞台『アナ伝vol.2「霧の中のノスフェラトゥ ~ドラキュラ伝説~」』にご出演されます。見どころや役どころについて聞かせてください。

ヴァンパイアの話なんですけど、人間側と吸血鬼側のキャストがいて、僕は人間側です。主人公は人間の探偵で、僕は主人公の友人の精神科医を演じます。“マイリマ”の時は精神科に通う側の役を演じましたけど、今度は精神科医です。あまり体が強くない役どころなので、元気で活発な主人公に対して憧れ半分、嫉妬半分という。嫉妬の感情が増幅していく中で主人公が吸血鬼について調べ始め、吸血鬼になれば不老不死になれるということが分かって…というお話です。僕の役に関しては、そこからどうなっていくのかが見どころですね。

◆繊細で闇を抱えた役どころなんですね。

そうやと思います。前半と後半で大きく変わるキャラクターを演じることになりますね。

◆普段の松井さんは明るくて社交的なイメージですが、そういう陰のキャラクターを演じる時はどのように気持ちを作られるんですか?

周りの人から見たら陽のイメージがあるみたいで、よくそういう質問されるんですよ。でも僕、意外と内側は陰なんですよね。それを人前で見せたくないから出してないだけで。陰が自分の中にあるっていうのは自覚しているので、陰の役をやらせていただく時はそんなに作り込まなくてもできるんです。逆に普段出さない部分を芝居で思いっきり出せるんで。

◆そうなんですね。ではそういうキャラを演じるのは楽しい?

楽し…くはないですよ(笑)。走り回ってワーッとやってる役のほうが、気持ち的には楽しいです。でも陰のキャラの方がお客さんの気持ちを動かしやすいんですよね。そういう面での楽しさとか気持ち良さはありますね。舞台上の空気をガッとつかめるというか。あの感覚は気持ちいいなと思います。

◆なるほど。では今後の展開や目標について教えてください。

映像でも舞台でもいいので、必要とされる役者であり続けたいと思います。「これやりたい!」みたいな願望はいっぱいあるんですけど、それよりも必要とされる場所を開拓したい。そしてそれができるように視野を広く持ちたいと思っています。

◆『2.5次元ナビ!』(日テレプラス)にレギュラー出演されていますし、2022年は再び舞台「『刀剣乱舞』綺伝 いくさ世の徒花」のご出演も控えています。「2.5次元の役者さん」というイメージについてはどう思われますか?

僕がどのジャンルかというのは、お客さんがどの作品で僕を知ってくださったかによると思います。「2.5次元俳優」と呼んでくださる方にはそう見えているんでしょうし、ストレートの芝居を観てくださった方にはまた違う見え方をしてるんだろうと。どういうジャンルであれ、僕自身はやっていることは同じです。

◆ドラマや映画など映像作品に興味はありますか?

ドラマも何本か出させていただきましたが、映像は映像で楽しいんですよね。舞台とは全くの別物というか。めちゃくちゃ楽しいので、また呼んでいただけるチャンスがあるならやりたいとずっと思っています。せっかくなんでもできる仕事をやらせていただいているので、どんなジャンルにも挑戦したいです。

◆役者以外の仕事となると、バラエティ番組などにも興味が?

何をおっしゃいます! 僕はバラエティで育った人間ですよ(笑)。大好きです!

◆それでは前回ご登場された竹下健人さんからメッセージを預かっています。
https://www.tvlife.jp/pickup/386795)←メッセージ内容はこちらで確認!

やってみたいことか~。そうやなあ…、行ってことがないので海外に行きたいです。去年、パスポートを作ったんですけど、コロナで行けなかったんですよね。30代になってコロナが落ち着いたら、海外に行って今まで触れてこなかった文化に触れたいです。そういうことは今まで思ったことなかったので、新しい感覚なのかもしれないですね。

◆行きたい国はありますか?

イタリアに行きたいです。ローマ! 昔から大好きなサッカー漫画がありまして、その主人公がイタリアのローマに行くんですけど、日本代表のユニホームを着て町を歩いていると、「一緒にやろうぜ、日本人」ってストリートサッカーが始まるんですよ。それが衝撃で。僕はずっとサッカーをやっていたので、そういうのがすごく憧れで。実際にそういうことが起きるのか、日本代表のユニホームを着て確かめたいです(笑)。

◆30歳になるまでに、この夏、やっておきたいことはありますか?

川でテントサウナしたいです。最近テレビで観たんですよ。暑いのにもっと暑いとこに入ってそのまんま川に入るみたいな。めっちゃ楽しそうやし、気持ちよさそう! でも僕、虫がダメなんで、川はキツいなあ。めっちゃインドア派なんで(笑)。

◆それでは次回ご登場予定の近藤頌利さんにメッセージをお願いします!

アイツに質問ってなんやろ(笑)。ちょこちょこ連絡取り合ってるんでね。あ、じゃあ、僕が川でテントサウナやるってなったら、来てくれますか?(笑)

PROFILE

「演劇で大阪を元気にしたい!」という志の下、関西を拠点としたさまざまなエンターテインメントを発信する演劇集団。中山義紘、井上拓哉、松井勇歩、竹下健人、三好大貴、星璃、吉本考志、近藤頌利、田中亨、納谷健の10人で構成。近藤が舞台『はい!丸尾不動産です。~本日、家で再会します~』(大阪公演:9/4~7 姫路公演:10/3)に、松井が『霧の中のノスフェラトゥ~ドラキュラ伝説』(東京公演:9/16~23)に出演予定。「カンテレ×劇団Patchプロジェクト『マインド・リマインド~I am…~」のDVDがワタナベ商店(https://7net.omni7.jp/fair/patch)でオンライン販売中。

●text/青柳直子

この記事の写真