高畑充希「何を考えているか分からない分、面白いキャラクターだなって」 『連続ドラマW いりびと-異邦人-』

特集・インタビュー
2021年11月27日

高畑充希『連続ドラマW いりびと-異邦人-』インタビュー

大人気作家・原田マハの美術小説「異邦人(いりびと)」を完全映像化した『連続ドラマW いりびと-異邦人-』が11月28日(日)にWOWOWでスタート。美術の世界に没頭する主人公・菜穂を演じる高畑充希さん、菜穂を演じるのは迷宮をさまよう気持ちだったそうです。京都での撮影エピソードや高畑さんが今、夢中になっていることを教えていただきました。

 

◆今回、WOWOWドラマ初主演ということですが、いかがですか。

前回、WOWOWのドラマに出演したのは『連続ドラマW 煙霞 -Gold Rush-』という大阪が舞台のバディもので、軽快なやりとりでガンガン進んでいく物語でした。WOWOWの作品は丁寧に作られていて、見やすさもある。その空気が楽しかった記憶があり、また参加したいと思っていたんです。ただ、この作品のお話を頂いた時は、正直“どうなるんだろう…”って。原作を読んだあとに脚本を頂き、すごく難しい題材だなと思いましたし、どうしたら小説の面白さを映像にできるのかなと。でも、こういう雰囲気の作品に参加したいと思っていた時期だったので、どうなるか想像はつかないけど「やってみよう」という気持ちで飛び込みました。でも実際にやってみると、本当に難しくて…。

◆実際に菜穂を演じて感じた難しさとは、どんなところですか?

最初に想像していた難しさとは、また違ったというか。菜穂という女性はつかみきれないキャラクターなんですが、彼女を演じているうちに自分のことまでつかめなくなってきてしまって。なんだか迷宮の中を歩いている感じになっていきました(笑)。

高畑充希『連続ドラマW いりびと-異邦人-』インタビュー

◆確かに、脚本を読んでも何を考えているのか分からない女性という印象を受けました。

共感できるキャラクターではないんです。でも何を考えているか分からない分、面白いキャラクターだなとも思いました。「こういうキャラクターです」って分かりやすく見せるのではなく、徐々に変化していく様が興味深いなと。ただそれも、「できなかったことができるようになりました」みたいな変化ではなく、撮影も時系列がバラバラに進んでいくので、どんどんさまよいながら演じてましたね。

◆萩原健太郎監督からは「菜穂をこういうふうに演じてほしい」という指示はあったのでしょうか。

台本では、原作と違う女性になっていたので、監督も「探りながらやっていきましょう」と。菜穂は、第1話から第5話にかけてどんどん変わっていくのが、特に難しくて。なので、監督と相談しながら進めていきました。いろいろと試してみて監督が「今のカットは菜穂っぽかった」などと言ってくださった時の雰囲気を手掛かりに、少しずつ積み上げていったような記憶があります。

高畑充希『連続ドラマW いりびと-異邦人-』インタビュー

◆風間俊介さんとのシーンは、夫婦なのに緊張感がありました。共演しての感想を聞かせてください。

風間さんは現場を盛り上げてくださるムードメーカー的な方で。私は役柄的にも、序盤は重い何かを背負ってどんよりした気持ちでいることが多くて、現場を盛り上げることがうまくできなかったんですね。だから、風間さんに頼っていたというか、楽しくしてくださる風間さんに本当に助けていただきました。ただ、風間さんとの夫婦シーンはそれほど多くはなくて、風間さんが京都にいらっしゃる時は、ピリピリしたシーンの撮影を(笑)。そういう夫婦でありながら歪になっていく役は私もあまり経験したことがなかったので、新鮮な気持ちでやっていました。

◆菜穂が強烈に惹かれていく絵を描く画家・樹を演じたSUMIREさんとの共演はいかがでしたか?

SUMIREちゃんが演じる樹は独特な雰囲気をまとっているんですが、SUMIREちゃん自身は体育会系というか、少年みたいな人で。SUMIREちゃんとは年齢が近いこともあり、京都の撮影中、2人で美術館に行きました。ドラマで菜穂と樹の距離感がどんどん縮まっていくのと同じように、SUMIREちゃんとの距離感も徐々に縮まっていきましたね。

◆これまでも京都は行かれたことはありましたか?

もともと京都は好きで、地元も近いので母とよく旅行にきていたんです。撮影時期だった夏の京都もいいなと思いましたし、景色を見ているだけで一日過ごせるなって思いましたね。

◆京都に滞在し始めたばかりの菜穂は、京都で「異邦人」のような感覚になっていたと思います。高畑さんは大阪出身ですが、関西の中でも京都は独特な雰囲気や空気があるんでしょうか。

多分、気質は全然違うと思います。もちろん全てそうではないけれど、大阪の人は良いことも悪いことも隠さず言うのが礼儀みたいなところがあるので、「こう言われたけど、実はこうかも」って(裏を)読む習慣がないんです。でも台本にもあるように、京都の文化は少し遠まわしに、やわらかい言葉で刃物を包む感じがあるというか(笑)。ただ、私の友だちにも京都の人がいますが、仲良くなると本当に良くしてくださるんです。だから、最初の入口が大切。このドラマも後半になるに連れて、菜穂は周りの人の温かさに支えられていくので、京都の怖さも良いところも映っていると思います。

高畑充希『連続ドラマW いりびと-異邦人-』インタビュー

◆菜穂は芸術やアートのことになると、他のものが目に入らないほど没頭してしまいますが、高畑さんもそうなる瞬間はありますか?

私、そういうことが日常茶飯事かも知れないです(笑)。

◆夢中になれるものが、たくさんあると。

そうですね。仕事でも趣味でも、時間の感覚が分からなくなる瞬間がよくあります。だから好きなことをやっている時は、周りの人と全然繋がれなくなってしまって。周りから「何を考えているか分からない」と言われることもあったり(笑)。なので、気づいたらこんなに没頭していたんだっていう感覚は、すごくよく分かります。そして、そういうものに出会えた時は、すごく幸せな気持ちになれます。

◆今、それくらい夢中になれるものはありますか?

手芸とかモノを作るのが好きで、作っている瞬間は没頭してます。あと、作品を見てすごく感動した気持ちを文章にする瞬間も好きです。こうしてみると、やっぱりよく没頭してますね(笑)。

PROFILE

高畑充希『連続ドラマW いりびと-異邦人-』インタビュー

高畑充希
●たかはた・みつき…1991年12月14日生まれ。大阪府出身。2007年から2012年までミュージカル「ピーターパン」で主演を務める。2013年、連続テレビ小説『こちそうさん』で注目を集め、以降話題のドラマや映画に多数出演。2022年夏にはミュージカル「ミス・サイゴン」のキム役を演じることが決まっている。

番組情報

『連続ドラマW いりびと-異邦人-』©︎WOWOW

「連続ドラマW いりびと-異邦人-」
WOWOWにて、11月28日(日)放送・配信スタート(全5話)
毎週(日)後10・00〜
※第一話無料放送【WOWOWプライム】
配信:第1話放送終了後配信スタート【WOWOWオンデマンド】
※無料トライアル実施中
※第2話放送終了後に全話一挙配信

(STAFF&CAST)
原作:原田マハ「異邦人(いりびと)」(PHP文芸文庫刊)
脚本:関久代
監督:萩原健太郎
出演:高畑充希、風間俊介、SUMIRE、森口瑤子、松尾貴史、マキタスポーツ、菅原大吉、木場勝己、壮一帆、白羽ゆり、宮田圭子/二階堂智、康すおん、梶芽衣子、松重豊

(STORY)
篁菜穂(高畑充希)は祖父から受け継いだ美術館の副館長を務めていた。夫・一輝(風間俊介)も銀座の名のある画廊の3代目だが、彼はどんなに努力しても菜穂の慧眼には敵わないと感じており、美術の世界に没頭する妻を愛しながらも、時に嫉妬していた。妊娠して京都に長期滞在することになった菜穂は、画廊で見た1枚の絵に強烈に惹かれる。その絵は、言葉を発することができない無名の画家・白根樹(SUMIRE)の作品だった。樹の絵を追う菜穂は、彼女の運命を変えるような真実にたどりつく…。

公式サイト:https://www.wowow.co.jp/drama/original/iribito

©︎WOWOW

 

photo/SHIN ISHIKAWA(Sketch) text/佐久間裕子 hair&make/犬木愛(AGEE) styling/番場直美 衣裳協力/ブランドニュース、アトリエダブリュ、ホワイトオフィス