草彅剛、職人の生きざまに共感「やっぱり諦めちゃいけないんだなと」『最後の○○』第4弾8・12放送

特集・インタビュー
2022年08月05日
『最後の○○~日本のレッドデータ~』草彅剛 ©NHK

世界で唯一無二の職人の技“最後の○○”に光を当て、不屈の信念や生きざま、知られざる価値に迫る知的探求ドキュメンタリー『最後の○○~日本のレッドデータ~』(BSプレミアムほか)でMCを務める草彅剛さん。

第4回となる8月12日(金)の放送に登場するのは、土俵、大銀杏、のぼりなどを作り、国技・大相撲を陰で支える最後の「大相撲の道具職人」。そして、伝統工芸に輝きを与える最後の「駿河炭職人」だ。

番組について「履いているブーツやジーンズ、ギターなどもやっぱり職人さんが作っているので『最後の〇〇』は好きな番組なんです」と語る草彅さん。4度目となる収録の印象や番組を通して感じたことを聞きました。

草彅剛 コメント

◆4度目となる『最後の〇〇』の収録はいかがでしたか。

4回目は東京での収録でしたが、今回の職人さんたちもすごく刺激的でした。こんな方がいるんだと、楽しかったです。

◆まず、最後の「大相撲の道具職人」のお話を聞いた感想を教えてください。

日本の国技である相撲に関わる、あるモノがなくなってしまうのかと。もう職人の方がいなくなってしまい、今残っているものでやっていることも知らず、ちょっと考えさせられる部分がありましたね。お相撲さんは土俵に上がるまでさまざまな準備をして土俵に立っているんですね。これから相撲の見方も変わるんじゃないかな。びっくりしました。

◆相撲に対して、どんな印象をお持ちだったのでしょうか。

相撲好きな友達がいて、興味があります。今日はよく知っている舞の海さんにもお会いできました。日本の国技で常に話題性もあり、身近なものという感じです。

◆収録を通して、相撲にも実は『最後の〇〇』がたくさんあることが判明しました。どんなことを感じられましたか。

ちょうどそういう時代なんだなと思いました。古き良きものがどんどんなくなり、職人さんの世代的にも転換期。そこに僕らはいるんですね。だからこそ大切にしなくてはいけない時であり、新しく構築する時代なのかなと思わせてくれるVTRでした。

◆ちなみに、草彅さんは土俵際に立たれた経験はおありですか?

今ですね(笑)。上手にコメントを言わなくちゃいけないというプレッシャーが。『最後の〇〇』の面白くて深い感じを分かりやすくどう伝えるか、土俵際に立たされている感じです(笑)。あらためてすごい番組だなと思っています。

『最後の○○~日本のレッドデータ~』草彅剛 ©NHK

◆では、最後の「駿河炭職人」のお話では、どんなことを考えていたのでしょう。

職人の方は感謝の気持ちを忘れずに、すごいモノを作られています。もっと天狗になっていいのではないかと思うんですが、誰一人そういう人がいない。そういうところも職人さんに憧れます。皆さんの根底に流れている感謝の気持ちが共通している気がします。だから僕は職人になれないんだなと。全部つながって自分がその仕事に就けていると口にされるんですよね。自然の中で逆らわず、黙々と自分の作業を突き詰めている。そんなコメントを聞けたのが印象的ですね。

◆「研磨炭」に関するお話も印象的でした。

生活の中であまり研磨するという経験はないんですが、職人さんがいなくなると、伝統のある漆塗りなどにも多大な影響が出てくるという。一人の職人の方が作っているものにより、現代アートや日本の伝統的なものも支えられているんですね。

◆草彅さんは普段、漆器などをお使いになられていますか。

漆の食器は持っていますが、そんなに高級なものではないです(笑)。これからはそういうものを見てみようかなと思います。履いているブーツやジーンズ、ギターなどもやっぱり職人さんが作っているので『最後の〇〇』は好きな番組なんですよね。基本的にモノが好きなので、テンションが高くなります。そこにストーリーがあり、どうやって作っているのか、モノを作る人の思考にもすごく興味がありますね。

◆草彅さんの質問に、職人の方もうれしそうにお話されていましたね。

そうですね。好きだからできるんだと思います。大変なことを乗り越えてきた人の顔ですね。職人の方に会うと僕自身も前向きになれて、やっぱり諦めちゃいけないんだなと思います。最初からうまくいくことなんてない。失敗することもありますが、失敗があるからこそ成功できる。番組を見る皆さんも励まされるのではないかと思います。

◆「周りに支えられた」という職人さんのお話もありました。

一生懸命やっているから周りも助けてくれる。炭に懸ける思いも伝わるんでしょうね。日頃から真摯に炭と向き合っているからこそ、そういうことが起こるんじゃないかと思います。

『最後の○○~日本のレッドデータ~』炭焼き職人・木戸口さん ©NHK

◆炭焼き職人の木戸口さんは、第二の人生を炭焼きに懸けたという方でした。草彅さんが第二の人生を送れるとしたら、やりたいことはありますか。

デニムを作ってみたいですね。デニム職人としてオリジナルデニムを作り、ビンテージのような風合いが出せるよう作ってみたいなと思いますが。

◆今から挑戦されないのでしょうか。

いや、無理ですね。モノづくりって関係性を築かなくてはいけないと思うんです。今からやるとしたら10年くらいかかりそうです。デニムの世界も厳しいと思うので、急に僕が行っても門前払いですよ。すぐに結果が表れるものじゃない。そういうところでコツコツやってる職人さんの姿が、皆さんにも何かヒントになるんじゃないかな。『最後の〇〇』は、人生のヒントになる番組だと思います。毎回そう思いますね。

◆今回から“絶滅危機にある飯”に迫るミニコーナー「ゼツメシ」も始まりました。

ナレーションのトーンがポップで、これまでと雰囲気がちょっと変わる感じですね。ああいうナレーションの入れ方もあるんだなと勉強になりました。職人というと、かたくななイメージがありますが、軽い感じも出ていいですね。地方を訪れた時に思い出して皆さんにも立ち寄ってもらいたいです。僕も新しい楽しみが一つ増えました。

◆草彅さんは、長い芸能活動の中で試練はどのように乗り越えてこられたのでしょう?

「何とかなるんじゃないかな」と前向きに考えます。立ち止まってもいいし、振り返ってもいい。でもまた必ず歩み続けることが大事なのかなと思います。ゆっくり一歩一歩という気持ちでやっていますね。職人さんを見ていてもそう思います。焦らず、2歩進んで1歩下がるくらいの気持ち。後退している時もあるかもしれないけど、それでも地道にコツコツと歩き続けるのが人生じゃないかなと思います。

◆番組に登場したさまざまな道具の中で、興味をそそられたものはありましたか?

以前の回ではオイルランプや砥石、今回は炭にも興味が湧きました。やっぱり自然が作るものはすごいなと思います。砥石も炭も自然の材料を生かして職人さんが手を加える感じで、職人の方々が「そのもの自体の良さを引き出すための手伝いをしているんだ」というようなことをおっしゃるのがグッと来ます。自然が作り出すものをお借りし、少しだけ手を加えるような感謝の意識が共通していると思います。すごいですよね。自分は一つの円につながっていく自然の中の流れの一部という考え方が素晴らしいなと思いました。その意識はすごくすてきで大事なことだと、番組を通してあらためて思っています。

『最後の○○~日本のレッドデータ~』草彅剛 ©NHK

番組情報

『最後の○○~日本のレッドデータ~』「草彅剛が迫る最後の技術 第4弾」
BSプレミアム/BS4K
2022年8月12日(金)午後10時~10時59分

MC:草彅剛、川﨑理加アナウンサー
ナレーター:川栄李奈
ゲスト:舞の海秀平

WEB:https://nhk.jp/reddata

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