『ザ・トラベルナース』岡田将生&中井貴一対談!11年ぶりの共演に岡田「一緒に歩んでくださることに感謝」中井「僕が経験してきたものを託したい」

特集・インタビュー
2022年11月02日

『ザ・トラベルナース』岡田将生&中井貴一対談

岡田将生さんと中井貴一さんが、スーツケース一つで各地を渡り歩くフリーランス看護師“トラベルナース”を演じている『ザ・トラベルナース』(テレビ朝日系 毎週木曜 後9・00~9・54)。『ドクターX~外科医・大門未知子~』を手掛けた中園ミホさん脚本による新作医療ドラマで、岡田さんは意識高い系の那須田歩、中井さんは謎多き人物・九鬼静役。タイプの異なる2人のトラベルナースが歳の差バディを組み、ぶつかり合いながらも共に医療現場を改革していく姿が痛快だ。2011年公開の映画「プリンセス トヨトミ」以来11年ぶりの共演となった2人に、今作の撮影エピソードやお互いへの思いについて聞きました。

◆それぞれご自身の役柄について、どう捉えていらっしゃいますか?

岡田:歩はナースとしてはとても優秀なんですけど、そうであるが故に足りていない部分があって。そこを静さんから少しずつ教わって、“静イズム”みたいなものを受け取っていくんです。歩の変化と成長はこの作品の核になっているので、特に丁寧に演じるようにしています。

中井:静が歩に伝えようとしていることって、ナースの知識や技術ではなく、変わってはいけない人間の精神みたいなものなんですよ。そういう意味で、この作品は医療ドラマというより“人間を描いたドラマ“。その深い部分を感じていただきながら、歩と一緒に静のベールを一枚一枚めくっていっていただけたらうれしいです。

◆歩は謎だらけの静の言動に戸惑い反発することが多かったですが、次第にその本意に気づくようになり、協力する機会が増えてきましたね。

岡田:歩からすると、自分が静さんとバディだなんて思っていないんです。成り行き上、そうなっているというだけで。ただ、向いている方向が同じなので徐々に近づいていっているように見える。ちょっと変わった形のバディですよね。

中井:2人の場合、いい具合に年齢差があるのがいいのかもしれませんね。静は経験の豊富さやそこからくる余裕で、歩を包むことができる。逆に歩は成長していくことで、静を包むことができるようになる。そういうバランスの2人なんだと思います。

岡田:特に最初はぶつかり合うシーンが少なくなかったんですけど、貴一さんとしっかりお話ししながら演じられて、とても幸せな経験になっています。

『ザ・トラベルナース』

◆現場の雰囲気はいかがですか?

岡田:本当にいい空気感です。スタッフ・キャスト同士がしっかりコミュニケーションが取れていますし、一丸となって前に進めている感じがします。

中井:ドラマの現場の空気感って、座長の人柄によるところがすごく大きいんです。真ん中にいる人間がどう振る舞うかで、ガラッと変わりますね。岡田君の場合は「自分なんかでホント大丈夫ですかね?」みたいな感じだから、「大丈夫、大丈夫!」とみんなで支える必要がある(笑)。和気あいあいとせざるを得ないんです(笑)。

岡田:せざるを得ないって(笑)。

中井:なので、自然とほんわかしたチームになるんですよね。

岡田:いや、そこは僕というより、貴一さん含め魅力的な方たちが集まっているので、皆さんが温かい空気感にしてくださっているんだと思います。

◆その魅力的な共演者の中でも、ムードメーカーは?

岡田:(ナースの森口福美役の)野呂佳代さんは、いつも現場を盛り上げてくださいます。ボケてくださるというか…天然を発揮されるんです(笑)。

中井:そうそう(笑)。瞬発力が高い人なので、監督の指示に即座に反応されるんです。あるとき監督から「そこで“歩ちゃん”(って言って)」って言われたのを聞き間違えて、なぜか「バイチャ!」って大声で叫んでいたことがありましたね(笑)。

岡田:そのシーンでそんなせりふ、絶対に言うはずがないんですけど(笑)。でも、自分が聞こえたとおりに素直に反応してしまったんでしょうね。

中井:それで現場がワッと盛り上がるので、憎めない存在なんですよね(笑)。

『ザ・トラベルナース』

◆劇中には歩や静をはじめ、個性豊かなナースが登場しています。もしお2人が患者だったら、どのナースに担当してほしいですか?

岡田:僕は断然、静さん…というか中井さんです! 実はこの間、僕が腰を痛めてしまって。後で聞いたら、中井さんは僕が腰の痛みを自覚した当日ではなく、その前日から何げなく腰をかばっていることに気づいてらっしゃったそうなんです。それを見逃さない貴一さんはやっぱりすごいと思いました。静さんと貴一さんって、どこか通じるところがある気がします。

中井:僕は、雰囲気的には(野呂演じる)福美さんかな。ずっと寄り添ってくれて、「大丈夫だと思いますよ」とかって優しく声を掛けてくれそうな気がするので(笑)。ただ、いよいよ危なくなったら、歩君にも助けてもらいたいです。歩君と福美さん、2人が一緒に担当してくれたら、お医者さんに看てもらうよりいいかもしれません(笑)。

◆お二人の共演は11年ぶりになります。役者同士としては、お互いをどう感じてらっしゃいますか?

岡田:貴一さんは、台本の読み方から役との向き合い方、現場での立ち居振る舞いまで、一つひとつ教えてくださいました。大先輩なので最初はやっぱり緊張していたんですけど、なるべく近い距離感で学ばせていただきたいという僕の気持ちをくみ取ってくださって。常に隣に立ちながら、一緒に歩んでくださることに感謝しています。

中井:岡田君はいい経験を積み重ねて、年を取るほど俳優として大きくなっていますよね。そんな彼の姿を見ていると、僕が経験してきたものを託したいし、伝えたくなる。そうしたいと強く思わせる人間性が備わっているんです。

岡田:そうおっしゃっていただけて、とても光栄です。貴一さんとご一緒していると、自分に足りないものが何なのか明確に分かるんです。その点について質問させていただくことで、どうすればより良くなるか、作品により貢献できるかもしっかり認識できる。貴一さんの下でそういうものを追求させていただけていることは、僕にとって大きな糧になっています。

中井:僕が若いころはテレビドラマ全盛期で、映画は衰退していると言われていました。それから数十年たちましたが、今も映画はなくなっていませんよね。逆に今はテレビドラマが衰退していると言われ、どんどん配信に移行している。でも、そういう時代だからこそ、岡田君にはこれからもテレビドラマを諦めないでいてほしいです。

岡田:はい! 中井さんから学んだことをしっかり吸収して、これからの現場でも生かしたいです。そしていつか、今度は僕自身が下の世代にバトンを渡せるような役者になりたいです。

『ザ・トラベルナース』

PROFILE

岡田将生
●おかだ・まさき…1989年8月15日生まれ。東京都出身。AB型。最近の出演作は、ドラマ『大豆田とわ子と三人の元夫』、映画「ドライブ・マイ・カー」など。ナレーションを務める『SWITCHインタビュー 達人達』(Eテレ)が放送中。映画「1秒先の彼」が来夏公開。

中井貴一
●なかい・きいち…1961年9月18日生まれ。東京都出身。A型。最近の出演作は、ドラマ『華麗なる一族』『共演NG』、映画「大河への道」「記憶にございません!」「空母いぶき」など。『サラメシ』(NHK総合)ではナレーションを務めている。

作品情報

『ザ・トラベルナース』
テレビ朝日系
毎週木曜 後9・00~9・54

脚本:中園ミホ
演出:金井紘、片山修、山田勇人
主題歌:DISH//「五明後日」
出演:岡田将生、中井貴一、菜々緒、安達祐実、恒松祐里、泉澤祐希、宮本茉由、 野呂佳代、池谷のぶえ、吉田ウーロン太、前原瑞樹、浅田美代子、寺島しのぶ、松平健ほか

公式Twitter:@the_travelnurse
公式Instagram:https://www.instagram.com/thetravelnurse_ex/

●photo/徳永 徹 text/海老原誠二 hair&make/稲月聖菜(MARVEE)(岡田)、藤井俊二(中井) styling/野村昌司 ©テレビ朝日

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