【#今旬コレクション】見上愛、『往生際の意味を知れ!』で意識したのは“漫画っぽさ”「原作どおりの仕上がりになっています」

特集・インタビュー
#今旬コレクション
2023年04月04日

【#今旬コレクション】見上愛

テレビ情報誌「TV LIFE」で、今後さらなる活躍が期待されるネクストブレーク俳優&女優の魅力を紹介する連載「#今旬コレクション」。WEB版では、本誌に収まりきらなかったエピソードをスペシャル動画も交えて紹介します。第55回はドラマ『往生際の意味を知れ!』(MBSほか)で青木柚さんとW主演を務める見上愛さんが登場です。

「#旬コレ 7seconds CHALLENGE」見上愛

◆本作は漫画原作の実写化ですが、原作やドラマの脚本を読んだ感想はいかがでしたか?

私はもともと単行本で原作を読んでいたんですが、毎話毎話いい意味で予想を裏切られるんです。推理モノっぽい要素もあって「きっとこうだろうな」と想像しながら読み進めて行くと「あれ? 違った!」みたいな。原作は基本的に市松目線で描かれているので、私が演じる日下部日和が何を考えているのか分からない部分も多いのですが、ドラマは日和目線のシーンも多く、気持ちが分かりやすくなっていると感じました。日和は一見突拍子もない行動をする女の子に見えるけれど、ただ真っすぐに自分の大切なものを守ろうとしている子なんですよね。

◆日和を演じる上で意識したことを教えてください。

物語の始めのころは、あえて漫画っぽい感じを残すようにしていました。市松と同じ世界に生きている感じがしない方が面白いと思って、話し方や声の使い方、動きを二次元っぽくすることを意識しましたね。これまで、どちらかというと生っぽいお芝居を求められることが多かったので、自分でも新鮮でした。でも、後半になるにつれて日和が何を考えているかが分かってくるので、そこで躊躇せずに人間味を強く出すことで始めのころとのギャップをつけるようにしました。

◆市松役の青木柚さんとは今回で三度目の共演になります。

青木さんはとても信頼できる俳優さんです。どんな役で向き合っても、疑わずにスッと関係性を受け入れられるというか。でも、逆に全部見透かされてる気がして怖くもありました。なんとなくで芝居をしたらバレて信頼されなくなってしまうんじゃないかと思って。そういう意味で、対峙する怖さもありました。

◆市松と日和のシーンはシリアスな場面も多くあったと思います。

そうですね。重いシーンが多かったので、どん詰まって「キツいね」みたいな感じになることも多かったです。でも、今回はわりと同世代の共演者が多くて。みんなのほのぼのした雰囲気に救われました。キツいシーンにポンっと典ちゃん(樋口日奈演じる八幡典子)が現れると、天使みたいで癒やされました(笑)。こんなに同世代の方と一緒になる機会も今まであまりなかったので、楽しかったです。

【#今旬コレクション】見上愛

◆日和が「市松の精子がほしい」と告げるなど、センセーショナルなシーンもありますね。

あのシーンはクランクインしてからわりとすぐに撮影があり、探り探りでやったのを覚えています。さっきも話した「漫画っぽさ」を、監督がどの程度求めているのかが分からなくて。他の共演者の方の演技もちゃんと見る前だったので、どのくらい生の感じで行けばいいのか悩みました。でも、わりと原作どおりの仕上がりになっている気はします。

◆その他に、好きなシーンはありますか?

日和のお母さん(山本未來演じる日下部由紀)が、すごく怖いんですよ! もちろんご本人は全く怖くないんですが、本当に怖い役で。そこも見どころだと思います。

◆内容的にもスケジュール的にもハードな撮影だったことと思います。撮影中や撮影後に、気分転換のために行ったことはありますか?

酵素風呂に行きました。サウナよりも短時間でバーっと汗をかけるので、気持ちよかったです。あとはいい匂いがするものが好きなので、家にいるときはお香やルームスプレーでリフレッシュしたりもしていました。何もしない時間があるとリフレッシュできるので、あえてそういう時間を作るようにしていましたね。

【#今旬コレクション】見上愛

◆市松は7年もの間、日和を想い続けているという設定ですが、見上さんが7年前から変わらず情熱を燃やしているものはありますか?

7年前…中学3年生くらいですね。私は中学2年生のころから観劇が好きになって、今でもずっと熱を燃やしています。当時はどこからか父親が2.5次元舞台のチケットをもらってきて、連れて行ってくれたのがきっかけです。その舞台はシリーズ物の途中の作品で、話の内容は正直あまり分からなかったんですが、お客さんがみんなすごくうれしそうにしていたのが印象的で。演劇ってパワーがあるんだなと、興味を持つようになりました。その後、演劇部に入って、寺山修司さんや別役実さん、野田秀樹さんの戯曲を演じるようになって、どんどんハマっていって。個人的にはミュージカルよりストレートプレイのほうが好きなんですが、「天使にラブソングを」だけは例外。毎年見ているミュージカルで見ていると元気になるので大好きです。

◆演劇部以外で、印象的だった学生時代の思い出は?

変なことばかりしている学生時代だったんですが(笑)。昼休みにグラウンドで「マイムマイム」をかけながら友達とピクニックしたのは楽しかったです。

◆市松のように、誰かから情熱的に愛されることについてはどう感じますか?

自分もその人のことが好きだったらすごくうれしいと思うけど…全く好きじゃなかったら、ホラーだなと思います(笑)。ファンとして長年同じ人を応援し続ける、みたいなことだったら理解できるんですけどね。見返りを求めるのではなく、その人を好きでいることで自分の自己肯定感も上がる愛みたいな。でも、前に原作者の米代恭先生とDJ松永さんが『往生際の意味を知れ!』について対談されている記事を読んだことがあって。松永さんは、市松から日和への重い愛について「めちゃくちゃ分かる」っておっしゃってたんです。その記事を読んで納得しました。

◆ちなみに、見上さん自身はどんな恋愛が理想ですか?

私自身が精神的な上がり下がりがあまりないタイプなので、同じようなタイプの相手がいいですね。静かに同じ温度感を保って接することができる人がいいな。でもいないか、そんな人…。いや、どこかにはいますかね?(笑)

◆(笑)。最後に、ドラマを楽しみにしている皆さんにメッセージをお願いします。

1話は理解が追い付かなくて「?」が頭に10個くらい浮かんだんじゃないかなと思います。でも、そのまま2話以降を見ていくと、とってもとっても引き込まれる作品です。登場人物がそれぞれ大事にしているものがあって、それを守るために手段を選ばない人が集結した結果、物語がややこしいことになってしまう…という感じ。それぞれのキャラクターについて「この人は何でこういうことをしちゃったんだろう?」っていうのを、考えながら見てもらえたらうれしいです。

PROFILE

●みかみ・あい…2000年10月26日生まれ。東京都出身。主な出演作はドラマ『きれいのくに』『liar』、映画「異動辞令は音楽隊!」「THE LEGEND & BUTTERFLY」など。

●photo/田中和子(CAPS) text/井上明日香 hair&make/豊田健治(資生堂) styling/下山さつき(クジラ) 衣装協力/Greed International、PLUIE