日向亘&片岡凜が語る過酷なサバイバル撮影で得た気づき『ペンディングトレイン』インタビュー

特集・インタビュー
2023年06月02日
『ペンディングトレイン-8時23分、明日 君と』©TBS

◆山田さんをはじめ、さまざまな俳優さんが出演されている本作ですが、現場で受けたアドバイスはありますか?

日向:1話で和真と小春が5号車を出ていくときに、和真が大人に対してズバッと言うシーンで、山田さんがいろいろアドバイスをしてくださったんです。僕は淡々と静かに刺していくイメージをもっていたのですが、山田さんに「和真のクールなところは前半で描けていると思うから、ズバっと感情的になっていいんじゃないかな?」と言っていただいて。確かに普段冷静な人が感情的になったら、言葉が響くだろうなと僕も感じました。すごく不安を感じていたシーンだったので、「どうですかね?」と山田さんに何度かお聞きして、「いいと思うよ」とか「もう少しこうしてみても、面白いんじゃない?」と言ってくださったので、その山田さんの言葉を軸に僕なりに表現したいことなどをいろいろ足させてもらってできたシーンなのですごく印象に残っています。

片岡:私がいただいた言葉ではないんですけど、私がメインで映るシーンの撮影前に、小春の気持ちを考えていたんです。小春がちょっと難しい気持ちを抱えていたので、それをどう見せようかと考えていたときに、近くで山田さんが他の方とお話されている言葉の中で「本物になればいいんだよ」と言われていたんです。私はその言葉を聞いて、「あ、これだ!」と余計な考えが全部なくなって、直感でやってみようと思うことができました。

◆座長として先頭を走る山田さんのお芝居で魅力を感じるところは?

日向:僕は山田さんの人間味のある泥臭いお芝居がすごく好きなんです。台本に書かれているせりふを言うのがお芝居ですが、僕もそうですけど、どうしても「今、ちょっとせりふっぽかったな」と思うところがあるんです。山田さんから出るせりふはしっかり自分の中で咀嚼して、それを役に置き換えて、役が本当にしゃべっているみたいなお芝居をされているので、それを見ていて、学ばせてもらっています。山田さんが発しているというよりも、直哉がしゃべってるように見えるし、そういったところが僕はすごく好きです。

片岡:山田さんのお芝居を拝見するたびに、内から出る迫力、熱いものを毎回すごく感じていて、表面には見えないけど強さともろさが垣間見えるんです。ちょっとした自己犠牲がありながらも、そこをうまくカバーして、人にそれを悟られないようにしている様子とか、山田さんのお芝居でいろいろなものを想像させられますし。山田さんのお芝居の幅の広さから学ぶことがものすごく多いです。

◆撮影もすごくハードで大変なことも多いと思いますが、撮影中に苦労されていることや大変だったことは何かありましたか?

日向:2話の水を得るために優斗が命綱をつけて崖を登るシーンでは直哉、優斗、紗枝(上白石萌歌)、和真、弘子(大西礼芳)の5人全員で崖を登って、さらにその上の崖に優斗が登っていたのですが、実際にワイヤーをつけて滑りながらも崖を登って、長い時間をかけて撮影をしていました。和真はローファーを履いているのでとても滑るんです。安全には配慮していましたが、すごく過酷な現場で、撮影場所までの道のりは山登り用のスニーカーを履いて移動して、上からローファーを降ろしてもらって履き替えて本番に臨んだほどです。そのシーンは僕が現場に入ったばかりでまだ皆さんと打ち解けていない段階での撮影だったので、すごく印象に残っていますし、いい経験をさせてもらったなと思います。

片岡:リアルサバイバルな感じの場所にたくさんロケに行っています。それこそ下に降りるのに、木と木の間にロープを張って、スタッフさんに引っ張ってもらわないと降りられない場所とか、急な坂道が多くて…。山に行くと電波がないので、携帯が使えないですし、遠い場所にお手洗いがあってなかなか行けないとか、撮影の環境自体が『ペンディングトレイン』の作品の中みたいな場所が多いので大変です。ですが、その分自然の力を借りて作品の世界観により引き込まれているような感じがしています。

◆周りからの反響はいかがでしょうか?

日向:同級生の友達から反響があります。リアルタイムで見てくれていて、感想が送られてくるんです。もちろん視聴者の皆さんの声も届いていて、僕もたくさん見させていただいているのですが、自分の身近な人からもらう感想というのは、自分のことをいろいろと知っている人だからこそより興味深い感想が来ます。その感想を見て、「こういうふうに見えているんだ」と自分が目的に合わせてお芝居をしていたものが伝わっていたりすると、すごくうれしいですし、僕の毎週の楽しみになっています。

片岡:私の家族、そして知り合いの方が本当にたくさん見てくださっています。今までに例のない作品というか、いろんなジャンルを持っている作品だと思っていて、視聴者のコメントを見ると皆さんにエネルギーを届けられているようなのでうれしいなと思って感想を見ています。

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