【M-1ファイナリストカウントダウン(4)】くらげ/格闘技だと勘違いしてM-1を録画したK-1好きの中学生が、20数年を経てファイナリストに

特集・インタビュー
2023年12月18日
くらげ(左から杉昇、渡辺翔太)©M-1グランプリ事務局
くらげ(左から杉昇、渡辺翔太)©M-1グランプリ事務局

漫才日本一を決める「M-1グランプリ」。今年はクリスマスイブ、12月24日(日)に決勝が行われる。昨年はウエストランドが2度目の決勝進出で、勢いのある漫才そのままに頂点へと駆け上がった。今年のM-1は敗者復活戦がブロック制、芸人審査+観客審査になるなど大きくリニューアル。放送時間も午後3時~そのまま本戦に続く7時間強のぶっ通しになるなど、新たな一歩を踏み出すことになった。

決勝初進出が5組、最多進出でも3回目が2組といわゆる常連と呼べる組が少ない顔ぶれがそろったファイナリスト9組。TV LIFE webでは、今年も毎日1組ずつファイナリストのインタビューをお届けしていく。

4組目は、初の決勝進出となるくらげ。同期が空気階段、オズワルド、コットンなど錚々たる面子のなか、劇場で腕を磨き続けた2人がいよいよ決勝の舞台へと躍り出た。自分たちの持ち味を「圧倒的なハードルの低さ」といい、「こんな2人がこんな服着て出てきたら、いかにもつまんなそうじゃないですか」と自らを評しながら、その意外性を武器に一気に頂上へと駆け上がる。


◆初の決勝進出おめでとうございます。まずは今のお気持ちを聞かせてください。

渡辺:とにかくうれしいです。お世話になってきた先輩や決勝に残れなかった同期、後輩がオレたちを“希望の光”と言ってくれていて。こんなにも地味でキャラもなく、コツコツやるしか取り柄のないくらげが「準決勝に行くだけでもすごいよ!」って、世界戦に勝ったくらいの勢いで喜んでくれていたんです。それが今回、「マジでくらげでも決勝行くんや!」と思ってもらえたらうれしいですし、これまで期待してくれていた人たちに対して、なんというか“報う”ことができて良かったです。

杉:僕たちが普段から立っているヨシモト∞ホール(東京吉本の若手が出演する劇場)でくらげのステッカーを発売してくれたんですが、あまりにも売れなさ過ぎたので責任を感じて自分たちで買ったんです。そういうことを少しでもやらなくていいようになると思うと…。この決勝進出で劇場のみなさんに恩返しできたらと思いますね。

◆今年のM-1のキャッチコピーは「爆笑が、爆発する。」です。これまでの戦いを振り返って「爆発した」と感じる瞬間はありましたか?

渡辺:初めて準決勝に出場できた、2019年の3回戦です。当時、僕らは出演していたルミネtheよしもとで誰ともしゃべらないようなコンビだったんですが、その3回戦のあとはいろんな先輩やほかの事務所の先輩たち、劇場のスタッフさんからも声をかけてもらえるようになって。あの3回戦が最初に僕たちを認知してもらえた、爆発した瞬間だったんじゃないかなと思います。明らかにノーマークのコンビがウケたら興奮すると思うので、それで会場全体がハイになってくれたんだと思います。

◆自分たちの強み、持ち味は何だと思いますか? 「ファイナリストの中で自分たちが一番○○だ!」に当てはめると?

杉:ほかの人たちがやらないような構成や落とし方とかを意識してネタを作っているので、ファイナリストの中では、誰よりも見たことのないネタをできるんじゃないかと思います。

渡辺:圧倒的にハードルが低いです。こんな2人がこんな服着て出てきたら、いかにもつまんなそうじゃないですか。そんなヤツらがこんな感じの漫才やるの!? という意外性が、いい感じでお客さんの興奮材料になればと思っています。

杉:ちなみに(渡辺の)衣装はわざとダサくしているとよく思われるんですが、普段からめっちゃダサいんです。

渡辺:それは言うなよ。私服は同じジャージを14年も着続けているとか。

くらげ(左から杉昇、渡辺翔太)©M-1グランプリ事務局
くらげ(左から杉昇、渡辺翔太)©M-1グランプリ事務局

◆ともに1988年生まれのお2人、一番初めに M-1を見た記憶はどの大会ですか?

杉:僕は2002年、中2の冬休みの風呂上がりにたまたまテレビをつけたらM-1を放送していて。気づいたら終わっていたんですが、終わったくらいからなんとなく(芸人を)目指そうと思いはじめました。どのネタがというわけではないんですが、おぎやはぎさんのあの雰囲気とか、ますだおかださんがちょっと変わったことをやっている感じが記憶に残っていますね。

渡辺:僕は格闘技が大好きで、小学生のころからK-1とかを全部ビデオに撮っていたんですが、2001年に格闘技と間違えてM-1を録画したんです。それで見たらめっちゃハマったパターンです。DonDokoDonさんがめっちゃ面白いのになんでこんなにウケてねぇんだよ! と思ったのが最初で、そこから全部録画していましたね。

◆優勝すると賞金1000万円です。どう使いますか?

杉:僕は家族がいるので、旅行に行きたいです。奥さんも旅行が好きで、子どもはプールが好きなので。旅行先は関東圏で大丈夫です。子供は2歳半と、(準決勝の日で)生まれて2日です。1週間のうちにM-1決勝と出産が決まりました。

渡辺:よくその2つが決まったよな! マジで決勝進出できて良かったよ。僕は100万円だけ自分で使ってめちゃくちゃ後輩たちとお酒を飲み、あとは親にあげたいです。

◆ほかのファイナリストの中で意識しているコンビはいますか?

杉:大阪の同期である、さや香です。最近は僕たちも大阪に行くようになり、さや香も東京へ来る機会が増えたのでちょいちょいしゃべらせてもらっていますが、僕たちよりもひとつ上の考え方をしていると感じます。勉強になる反面、意識もしていますし、僕は勝手にライバル視しています。

渡辺:僕もさや香ですね。しゃべくり漫才で、戦って倒さないといけない相手でもあるので。

杉:さや香の熱量には勝ち目がないと思っていますが、僕たちはネタの構成と意外性。違う形ですけど、勝ちたいですね。

くらげ(左から杉昇、渡辺翔太)©M-1グランプリ事務局
くらげ(左から杉昇、渡辺翔太)©M-1グランプリ事務局

◆今後、出演してみたい番組、もしくはやってみたいご自身の冠番組はありますか?

渡辺:僕は『しゃべくり007』に出たいです。あとはサンドウィッチマンさんが大好きなので、番組じゃなくても、ライブでもご一緒したいです。

杉:冠番組だったら、ヨシモト∞ホールにいつも一緒に出ている人たちと、劇場でやっているコーナーをやりたいですね。劇場での笑いがテレビでも通じるのかどうか、やってみたいです。タイトルをつけるなら…『おしゃべりクラゲ』で。

◆最後に、決勝へ向けた意気込みを聞かせてください。そして、相方にも何か一言を!

渡辺:優勝を目指さないと意味がないと思うので日和らずに、無難にならずに、かんでもいいくらいの気持ちで堂々と出場しようと思います。たとえ負けたとしても、堂々と負けようと思います。相方へは、子供ができたばかりで大変だと思うけど、しんどい時でも栄養ドリンク1本だけじゃなく栄養をとってくれよというのと、お互いネタを飛ばさないようにやりましょう。

杉:物怖じすることなく、いつもの感じでできれば悪いことにはならない自信はあるので、いつも通りやります。相方はお酒をよく飲むので、本番に影響が出ないくらいの量に控えてほしいです。

●edit/松田優子

くらげ(左から杉昇、渡辺翔太)©M-1グランプリ事務局
くらげ(左から杉昇、渡辺翔太)©M-1グランプリ事務局

番組情報

『M-1グランプリ2023』
ABC・テレビ朝日系列全国ネット
2023年12月24日(日)午後6時30分 ~10時10分

『M-1グランプリ2023 敗者復活戦』
ABC・テレビ朝日系列全国ネット
2023年12月24日(日)午後3時~6時30分

『速報!M-1ネクストデイ ~王者誕生までの舞台裏~』
ABC・テレビ朝日系列全国ネット
2023年12月25日(月)午後8時〜

※すべて生放送

番組公式HP:https://www.m-1gp.com/

©M-1グランプリ事務局