【M-1ファイナリストカウントダウン(9)】モグライダー/M-1が映らなかった山奥で育ち、「峠の向こうの友達に頼んだ録画を見て芸人への憧れが芽生えた」

特集・インタビュー
2023年12月23日
モグライダー(左から芝大輔、ともしげ)©M-1グランプリ事務局
モグライダー(左から芝大輔、ともしげ)©M-1グランプリ事務局

漫才日本一を決める「M-1グランプリ」。今年はクリスマスイブ、12月24日(日)に決勝が行われる。昨年はウエストランドが2度目の決勝進出で、勢いのある漫才そのままに頂点へと駆け上がった。今年のM-1は敗者復活戦がブロック制、芸人審査+観客審査になるなど大きくリニューアル。放送時間も午後3時~そのまま本戦に続く7時間強のぶっ通しになるなど、新たな一歩を踏み出すことになった。

決勝初進出が5組、最多進出でも3回目が2組といわゆる常連と呼べる組が少ない顔ぶれがそろったファイナリスト9組。TV LIFE webでは、今年も毎日1組ずつファイナリストのインタビューをお届けしていく。

ラストの9組目は、一昨年の決勝初進出を機にブレイクを果たしたモグライダー。それまでも芸人やお笑い好きからは実力を高く評価されていたものの、活躍の場が広がらない状況にもどかしささえ持たれていた。そんな2人が、初の決勝で世間に“見つかり”一気に日の目を見ることに。以来、ゴールデンタイムも含めてレギュラー番組を多数抱えるなど、快進撃を続けている。自らを「一番ナメてるコンビ」と称しながらも、2年ぶりの決勝進出に「この1日だけでいいので、『今日はお前らが日本で一番面白かったな』と言われる日にしたい」と、優勝への闘志を静かに燃やす。


◆決勝進出おめでとうございます。まずは今のお気持ちを聞かせてください。

芝:ホッとしているというのが大きいです。今年は意外と緊張せず、スーッと来られた感じで。2年前よりもハラハラすることなく上がってこられた気がします。

ともしげ:僕はめっちゃ緊張しましたけど。芝くんが去年よりも全然練習してくれなかったんです。日本一練習していないコンビに、本当になったと思います。(「ともしげは練習すると面白くなくなる」と言われているが)昨年はいっぱい練習をしたり、ライブに出たりしていたら、芝くんが準決勝の直前に「このネタ、死んだからやりたくない」と言って、新鮮なネタをやったらそれはそれであまりウケないという大変なことになって。いろいろ経験してみて、ここ(2年ぶりの決勝)にたどり着くんだなと思いました。僕はまだまだ自分のことが分かっていない部分も多いので。

芝:僕はもう十数年同じことしか言ってないですからね。ともしげのことを僕だけが知っているのではなく、ともしげだけが知らないんだと思います。周りもみんな、俺と同じことしか言ってないはずです。

ともしげ:テレビに出させていただけるようになって、知名度というか僕らのキャラクターを分かってもらえているのでウケやすくなりました。2021年に決勝に出させていただいたことをきっかけに仕事が増えたので、M-1さんのおかげだと本当に思っています。

◆今年のM-1のキャッチコピーは「爆笑が、爆発する。」です。これまでの戦いを振り返って「爆発した」と感じる瞬間はありましたか?

芝:準々決勝ですね。今年作ったネタをやったんです。「自信はあるけど、ウケ次第で準決勝もこれでいくか、替えるかを判断しよう」と思っていたら、こうドーン! とエラい返り(笑い)があったので、これならいけるかなという手ごたえを感じて。そのまま慌てずというか、不安にならずに準決勝に出られました。

ともしげ:M-1に向けてやった単独ライブが盛り上がったのも大きかったです。

モグライダー(左から芝大輔、ともしげ)©M-1グランプリ事務局
モグライダー(左から芝大輔、ともしげ)©M-1グランプリ事務局

◆自分たちの強み、持ち味は何だと思いますか? 「ファイナリストの中で自分たちが一番○○だ!」に当てはめると?

ともしげ:「一番練習しないコンビ」。マジで練習しないので。それが新鮮さを生むというか、「一番新鮮なコンビ」ですね。なんか慣れちゃうとよくないらしいので。

芝:「一番ナメてる」じゃないですかね。あまりほかの組のネタは見られていなくて、準決勝でも自分たちの前2組ぐらいしか見られなかったんですが、ものすごいよくできてるなぁと思いました。僕らはそういうタイプではないし、一番単純だし簡単。

ともしげ:シンプルイズベストっていう言葉もありますからね!

◆M-1について、一番初めの強く残っている記憶はどの大会ですか?

ともしげ:僕は(プロダクション)人力舎の養成所に通っていたんですが、ちょうどアンタッチャブルさんが優勝した年(2004年)でめちゃくちゃ盛り上がりました。たまに共演させていただくこともありますし「ジェネリックアンタッチャブル」みたいに言われたりもしますが、アンタッチャブルさん大好きなのでうれしいです。

芝:高3の時にM-1が始まったんですが、俺の実家(愛媛)は山の中すぎて初期の頃は映らなかったんです。なので峠の向こうに住んでいる友達に、録画して見せてもらっていました。第1回だけはばあちゃん家で見られて、お笑いのことなんて大して知らないけどすごいことが起きているのは分かって。なんかすごい胸がキューッとなることをやってるなと。でもその後の『M-1リターンズ』だったかをまた峠の向こうの友達がビデオに録ってくれて、それを見たらファイナリストの人たちが伸び伸びやっていて、むちゃくちゃ面白かったんです。「あーなんかいいな」って、そこで芸人への憧れが芽生えた気がします。

ともしげ:僕は2001年のM-1で麒麟さんを初めて見て、めっちゃ面白かったのを覚えています。今は川島さんとお仕事ができるようになって、それもすごく不思議な気持ちです。

◆ほかのファイナリストの中で意識しているコンビはいますか?

芝:ネタの競合的にダンビラムーチョですね。結果発表(決勝進出者発表)でも一番にダンビラムーチョが呼ばれたときに「おっ、俺たち大丈夫かな…」と思いましたから。

ともしげ:ヤーレンズです。ヤーレンズがずっと「ネタ見せ会」というのをやってくれていて、前回決勝に行けたときのネタは、そのネタ見せ会で叩いて作ったネタなんです。ずっと一緒にやってきて、苦労したりがんばったりしているのも知っているし、「今年こそヤーレンズに行ってほしい!」と思っていた人も多いと思います。でも勝っても負けても恨みっこなしで戦います。

モグライダー(左から芝大輔、ともしげ)©M-1グランプリ事務局
モグライダー(左から芝大輔、ともしげ)©M-1グランプリ事務局

◆優勝すると賞金1000万円です。どう使いますか?

ともしげ:車が欲しいです。コンビ2人とも子供がいるのって僕らだけだと思うんですが、家族に使わなきゃっていうのはあります。

芝:僕はロレックスが欲しいですね。

ともしげ:そっか…まあそうね。生々しくてすみません。

◆優勝したら出演してみたい番組、もしくはやってみたいご自身の冠番組はありますか?

芝:この1~2年、錦鯉の(渡辺)隆さんやみんなで言っていながらやれていないんですが、まだまだ何人も面白い芸人がいるんですよ。俺らより(芸歴が)長い人でも。その辺りの人って、もう恥ずかしがって出てこない。俺らは世の中に知ってもらえる機会をもらって、今こうして仕事ができるようになったので、そういう知ってもらえる場が作れたらなと思います。

ともしげ:僕は優勝したら『NHK紅白歌合戦』に出たいです! 今年の紅白って間に合いますよね?

◆最後に、決勝へ向けた意気込みを聞かせてください。そして、相方にも何か一言を!

ともしげ:優勝したいです! 芝くんへは「健康第一!」。芝くんはタバコを吸いすぎなので、決勝まで身体を大事にしてほしいです。

芝:誰のせいでタバコが増えてると思ってんだよ(笑)。やっぱり優勝したいですね。この1日だけでいいので、「今日はお前らが日本で一番面白かったな」と言われる日にしたいです。

●text/松田優子

モグライダー(左から芝大輔、ともしげ)©M-1グランプリ事務局
モグライダー(左から芝大輔、ともしげ)©M-1グランプリ事務局

番組情報

『M-1グランプリ2023』
ABC・テレビ朝日系列全国ネット
2023年12月24日(日)午後6時30分 ~10時10分

『M-1グランプリ2023 敗者復活戦』
ABC・テレビ朝日系列全国ネット
2023年12月24日(日)午後3時~6時30分

『速報!M-1ネクストデイ ~王者誕生までの舞台裏~』
ABC・テレビ朝日系列全国ネット
2023年12月25日(月)午後8時〜

※すべて生放送

番組公式HP:https://www.m-1gp.com/

©M-1グランプリ事務局