「次はブレイクの催眠かけてください」トンツカタン・森本晋太郎のネクストブレイク紀行【第58回】

特集・インタビュー
トンツカタン・森本晋太郎のネクストブレイク紀行
23時間前

お笑いトリオ・トンツカタンの森本晋太郎さんがTV LIFEで連載中のコラム「トンツカタン・森本晋太郎のネクストブレイク紀行」。「今年売れる」と言われ続ける中での出来事や本音が綴られた“飛躍を夢見る芸人の備忘録”をwebでも公開します。今回は、パンサー尾形さんと共演した催眠術ショーの話。(TVLIFE 2025年7月9日発売号より転載)


次はブレイクの催眠かけてください

みなさんは催眠術についてどんなイメージを持っているだろうか。バラエティ番組で芸人が催眠術にかかっている姿を見て「そんなバカな」と思っていた自分に、その真偽を確かめる絶好のチャンスがやってきた。

先日、体験型ミステリーイベント「ミステリップ」の第一弾公演『ようこそ楽しい催眠術ショーへ』というイベントにパンサー尾形さんと一緒に出演させていただいた。内容としては催眠術ショーの最中にとある事件が発生し、それをお客さんと共に解決していくという、最近流行りの体験型イベントだ。

もちろんこの公演のメインは我々と観客のみなさんがアドリブで事件を解決していくところなのだが、序盤の催眠術ショーのパートでは本物の催眠術師の方が客席を含めた全員にガチで催眠をかけてくれるとのこと。

それ以外の情報は演者である僕たちにも全て伏せられており、当日の打ち合わせもスタッフさんに「とにかく楽しんでください!」と「催眠術はかかってもかからなくても大丈夫です!」しか言われなかった。

尾形さんとはがっつり共演させてもらうのは今回が初めてだったのだが、同じ楽屋で気さくに話しかけていただいた。

「おれは一回催眠術かけられたことあるんだけど、森本はかからなそうだなー!」

ぼんやりと疑ってはいるものの、せっかくならかかってみたいという気持ちが強かったので、経験者のこの言葉に一抹の不安がよぎる。

特に準備できることもないのでそのままダラダラしていたらあっという間に開演の時間が近づく。尾形さんと舞台袖に移動すると、催眠術師の漆原先生がいらっしゃったのでご挨拶させていただいた。すると先生が

「個人的には、森本さんは催眠術にかかりやすいタイプだと思います」

とおっしゃった。自分と真逆の意見なはずなのに尾形さんはそれを聞いて小さい声で「ですよね」とつぶやいた。開演前から早くも自身にセルフ催眠をかけていた。

ほどなくして公演が始まり、舞台上に我々が呼び込まれると早速先生による催眠術が始まった。僕らとお客さんに用意されていたのは五円玉に紐を結んだ振り子。ずいぶんと古典的なアイテムの登場に懐疑の念が増していると、

「みなさん、紐の端を持って、垂らした五円玉をじーっと見つめてください。私が手を叩くと、それが自然と左右に揺れていきます」

と、怪しすぎる文言で追い討ちをかけてくる。これはさすがにかからないだろうと思っていたら「パンッ」と、先生が手を叩く音が聞こえた。先ほどまでの邪念が消え去り、目の前の硬貨に意識が集中する。すると、ゆっくりと、まるで意思を持ち始めたかのように五円玉が左右に動き出した。同じ現象が起こったのか、客席の至るところから「えーっ!!」という、悲鳴にも近い驚きの声が飛び交う。

その後も五円玉は前後左右、時計回り、反時計回りと、先生が手を叩くたびに言われた通りの動きをしてしまう。ふと隣の尾形さんを見ると、真下に埋蔵金がある時のダウジングくらいぐるぐる忙しそうに回っていて、僕が催眠術師だったら思わずサンキューと言いたくなるかかりっぷりだった。

そんな催眠術ショーが大盛り上がりしている最中に“とある事件”は起こるのだが…これは来た人だけのお楽しみ。演劇、ミステリー、謎解き、イマーシブ、催眠術、ゲストたちとの推理…様々な要素が詰まった、充実した初体験だった。

さて、今回のコラム。じーっと読んでると、特にオチもないのに心地よい読後感に包まれます。

パンッ


森本晋太郎
●もりもと・しんたろう…1990年1月9日生まれ、東京都出身。お笑いトリオ「トンツカタン」のツッコミ担当。プロダクション人力舎のお笑い養成所・スクールJCA21期を経て、現在はテレビやラジオで活躍中。趣味でもあるツッコミに特化したYouTubeチャンネル「タイマン森本」も好評。初の書籍「ツッコミのお作法」(KADOKAWA刊)も好評販売中!

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