
トンツカタン森本さんがTV LIFEで連載中のコラム「トンツカタン森本のネクストブレイク紀行」。「今年売れる」と言われ続ける中での出来事や本音が綴られた“飛躍を夢見る芸人の備忘録”をwebでも公開します。今回は、『ENGEIグランドスラム』に粗品さん率いるツッコミスター軍団として出演した話。(TVLIFE 2026年8月19日発売号より転載)
「僕はそこになんの躊躇もなかった」
トリオを解散してから、ありがたいことに色んなメディアに出させてはもらってるものの、逆に全く出なくなったのがネタ番組だ。ネタをしていないのだから当然のことなのだが、もう出ることはないのかと思うと得も言われぬ切なさを感じる。
そんな中、マネージャーから『ENGEIグランドスラム』への出演が決まったという報告を受けた。ENGEIと言えばフジテレビが誇る最高峰のネタ番組で、選りすぐりの猛者しか出られないはず。トリオ時代ですら夢のまた夢だった舞台に一体なぜ呼んでもらえたのか聞くと、粗品さん率いるツッコミスター軍団としての出演とのこと。しかも内容は「スタジオのどこでもいいからとにかくツッコむ」というもの。ぶっつけ本番の生放送でツッコミを披露するのか…。喜びと驚きと不安が心の中でデッドヒートを繰り広げた。
人前でネタを試して仕上げるという、おそらく他のみなさんがしているであろう調整を経ずに迎えた本番当日。今回招集されたのは『ツッコミスター』で準決勝に進出したメンバーたち。前回は彼らとの対決だったが、今回は横並びのいわばチーム戦。なんとなく楽屋も共闘に向けた適度な緊張感が漂っていて、すこしはENGEIを楽しめそうな気がした。
軍団長の粗品さんはというと、我々のことを鼓舞したり、「みんながツッコんだあと俺も一言添えるから」と安心させたり、なんかバタバタしてどっか行ったなと思ったら『新しいカギ』チームでユニットコントを披露していたり、表も裏も大車輪の働きを見せていた。
そうして生放送は終盤に差し掛かり、スタッフさんに呼ばれてスタジオの舞台袖で待機をする。前の出番のトットさんが大盛り上がりで終わり、CMを挟んでいよいよツッコミスター軍団の登場。本当は憧れの競り上がりで出れたらよかったけど、さすがに定員オーバーなので両サイドからぞろぞろと舞台へと上がった。粗品さんの「このスタジオもツッコみどころだらけやな!」という声をきっかけに、事前に決めた順番でひとりひとり渾身のツッコミを披露する。お客さんのお祭りムードと粗品さんのアフターケアのおかげで、結果的に誰ひとりとして怪我することなく持ち時間を終えることができた。
5、6分のステージとは思えないほどの疲労感と達成感で楽屋に戻り、みんなで健闘を称え合った。しばらくしてゼロカランのワキがしかめっ面でスマホを握りしめていた。どうしたのか聞くと、「僕SNS苦手なんで、危うくENGEIバッジの写真を載せそうになってたんです」とのこと。周りの芸人たちも「それはやめときな」「うん、それは違うと思う」と同調していた。
その2時間前にバッジの写真をSNSに上げていた僕は、無言を貫いた。
ENGEIバッジも沈黙も金なのだから。
トンツカタン森本
●とんつかたんもりもと…1990年1月9日生まれ、東京都出身。プロダクション人力舎のお笑い養成所・スクールJCA21期を経て、現在はテレビやラジオ、WEB番組で活躍中。趣味でもあるツッコミに特化したYouTubeチャンネル「タイマン森本」、ABCラジオPodcast「MC休止中」も好評。Netflix公式ビデオPodcast「ポッドフリックス -秘密の発信局-」では日替わりMCをつとめる。









