中野裕太インタビュー「夫婦愛や家族愛に気づけるドラマ」『拝啓、民泊様。』に出演

特集・インタビュー
2016年10月19日

黒木メイサ&新井浩文のW主演、2020年の東京五輪を前に何かと話題の“民泊”をテーマに送るドラマ『拝啓、民泊様。』で、黒木さんの兄・昌平役を演じる中野裕太さんにインタビュー。ほっこりハートフルなホームドラマの舞台裏を語っていただきました。

夫婦を絶妙な距離感で見守る昌平。最初から違和感なく撮影に入れました。

中野裕太インタビュー

◆最初にこのドラマのオファーを受けたときのご感想と、ご自身の役柄について教えてください。

僕が演じる銭湯の店主・昌平は、沙織(黒木)にとってはお兄ちゃんであり、その夫・寛太(新井)にとっては大学の後輩という立場。僕自身と昌平は、性格面では似てそうで似てないみたいな感じですね。似てるところもあるから入りやすかったけど、でも実際は似てそうで似てないんじゃないかなって。言ってる意味が良くわかんないと思うんですけど(笑)、ドラマを見てもらって、「ああ、本人はこんな感じに似てそうで似てないのね」って思ってもらえればいいです(笑)。昌平は、民泊をする上で起こるさまざまなトラブルを経て成長していく沙織と寛太を、どちらの味方もせず絶妙な距離感で見守っています。この作品の監督・谷内田彰久さんとは、主演を務めさせていただいた映画『ママは日本へ嫁に行っちゃダメと言うけれど。』でご一緒してから、ご飯に行ったりと仲良くさせていただいていて。その監督が実際に風呂屋の息子さんなんですよ。前に仕事をした監督から、自分自身と似た境遇の役をもらえるっていうのはうれしいことですよね。僕自身も銭湯の雰囲気がそもそも好きですし、そういうのも全部含めて、楽しそうな役だなって思いました。

『拝啓、民泊様。』

◆プライベートでも銭湯には行かれますか?

最近はあんまり行かないですけど、昔風呂がない家に住んでたときとかは地元の銭湯によく行ってましたね。だから銭湯にもなじみがあるし、自分と近い役だったりもしたので、実は役作りもあんまりしてないんです。僕は沙織と寛太と主に接するので、その二人との現場でのフィーリングで微調整していくみたいな感じでした。
『拝啓、民泊様。』撮影で実際に使った、大田区の風呂屋の雰囲気もすっごく好きな感じでしたね。暖簾の色やデザインもカラフルですっごく好きだったんですよ。建物の屋根の色も、中の富士山の絵も、「お、何か好きな感じ」って思って。ちょっとしたことだけど、そういうのもあるとうれしいじゃないですか。だから最初からスーッと違和感なく撮影に入れました。

◆黒木メイサさん、新井浩文さんの印象はいかがですか?

黒木さんは本当に素敵な方。竹を割ったような性格の人というか、サバサバしてて潔い、気持ちいい人で。現場で始めてお会いして、最初のカットに入るまで話す機会がほとんどなかったんですが、最初に行うお芝居の動きを確認する作業のときから、しっくりきた感じがしました。「ああ、妹だ」っていう。新井さんは、「役者さん」って感じの方なんですけど、ひも解いていくとゲームが好きだったりとか、すっごく素直な方なんですよね。自分が好きなことに精一杯って言うか。仕事が一番好き、その次はゲーム!みたいな(笑)。好きなことに全力で、それ以外興味なくて、終わったらさっさと「さ、焼肉行こ!」みたいな人だから。そういう感じがすごく楽しくて。だからちょっとした待ち時間には、ゲームの話をしたり、ぺちゃくちゃおしゃべりしてましたね。現場の雰囲気はすごく良かったですよ。

中野裕太インタビュー

◆劇中には、寛太の宿に宿泊する客として、外国人の役者さんもたくさん登場。6ヶ国語(日・米・中・伊・仏・西)を操れる中野さんは、外国人俳優さんともコミュニケーションをとったのでは?

監督もコミュニケーションをとってくれという感じでしたし、お話はたくさんしました。アメリカの方と、あとは中国の方も結構いたので、英語と中国語で。台本も僕と民泊のお客さんのやり取りの部分は日本語で書いてあって、それを自由に訳してね、という感じのものだったんです。日本語でざっくり「こんな感じでお願いします」みたいに書いてあるものを、役者さんたちと一緒に「こんな感じでやろっか~」と、現場で話してその場のアドリブで立体化していきました。楽しかったですね。

“豪快”なのに意外と“繊細”。民泊をきっかけに、夫婦愛や家族愛に気づけるドラマに

中野裕太インタビュー

◆旅行者などが一般の民家に宿泊することを指す“民泊”という言葉。今作以前になじみはありましたか?

名前を聞いたことがあるかないかぐらいで、正直そんなに詳しくはないし知らなかったです。Airbnb (エアビーアンドビー)(世界中の人々と部屋を貸し借りするサービス)ぐらいは聞いたことはありましたけど、使ったことはなかったですし。

◆では“民泊”を通して、このドラマが伝えたいことは何だと思いますか?

まず、表面的には、僕みたいに知らなかった人も、「あ、民泊ってこういうことなんだ」とか、こういう風にやるんだっていう、民泊の実態そのものを知るのにはすごくいいかなと。そういうちょっとした民泊の「How to」になってるドラマなんですが、その中で行われていることは夫婦間の人間模様だったり、兄妹の関係だったりと、人間らしいすごくシンプルなもの。民泊をきっかけにして夫婦愛や家族愛に気づけるドラマになっているというか。その描かれ方も、わいわい楽しくて豪快なのに意外と繊細。監督が大阪の人なので、ギャグ要素というか“祭り”みたいな、わいわいした雰囲気もあるんですけど、例えば夫婦や兄妹間のやり取りで、けんかをして気まずくなって、また仲良くなるみたいなことがすごく繊細に描かれていて、じわっとするんですよ。演じててもじわっときて。それは谷内田監督の演出の特徴なのかなと思います。にぎやかな要素だけじゃなくて、「何かよかったな~」ってしみじみ思えるところが素敵だなと思います。

◆演じられて、印象的なシーンはありますか?

最終回、僕が風呂屋の常連客としゃべるシーンですね。僕が僕なりに悩んでることを言って、お客さんがサラッとした一言で返してくれるシーンがあるんですが、あれはすごいいいシーンだったなって思います。その言葉がすごくいい言葉だったし、すごくあったかくていい雰囲気でしたね。

◆では最後に、視聴者の方にメッセージをお願いします。

夜遅いですけど、寝ないで見てくれるといいなって。気楽な感じで見て欲しいですね。サラッとしてるようで骨太なことやってるなと思ってもらえると思います。深夜ドラマって、バイオレンスとかエロとかそういうのを描きがちじゃないですか。でも僕自身は、深夜にそういうのを見ると疲れちゃうタイプで(笑)。このドラマはそういうのが苦手な方も含めて老若男女問わずに見られると思うので、毎週このドラマの日だけは夜更かししてもらえたらうれしいですね。

 

■PROFILE

中野裕太インタビュー中野裕太
●なかの・ゆうた…1985年10月9日生まれ。AB型。主演を務めた日台合作映画「ママは日本へ嫁に行っちゃダメと言うけれど。」の公開が控える。近年の出演作はドラマ『脚本家と女刑事』『結婚式の前日に』、映画「新宿スワン」など。


■ドラマ情報

『拝啓、民泊様。』
TBS 10月25日(火)スタート 毎週(火)深1・28~
MBS 10月23日(日)スタート 毎週(日)深0・50~
10月26日(水)深0・00より、Netflixにて独占配信開始

監督:谷内田彰久
脚本:野村伸一
音楽監督:常田大希

出演:黒木メイサ、新井浩文、中野裕太、鈴木正幸、与座重理久、今野杏南、韓英恵、村上淳ほか

 
●取材協力/日本工学院専門学校
●photo/井上 恵 text/寺田渓音