池上彰「非常にリアルで興味深い」関根麻里と『パトリオット・デイ』トークイベント開催

映画
2017年05月31日

『パトリオット・デイ』トークイベント 6月9日(金)公開の映画『パトリオット・デイ』の特別試写会が開催され、ジャーナリストの池上彰と関根麻里がトークイベントを行った。

 本作は、2013年4月15日に起こった「ボストンマラソン爆弾テロ事件」の犯人特定から逮捕までの驚くべき事件の裏側を描いた実録サスペンスドラマ。ボストン警察、FBIはもちろん、ボストンの一般市民ら“知られざる英雄たち”が全員一丸となってテロリストに立ち向かい、わずか102時間という短期間での犯人逮捕にいたるまでを描いた感動作だ。

 池上は「この事件そのものが印象深くて、当時はずっと追いかけていたので、実際の事件を思い出しながら見ました。それでも、こうやって犯人を割り出したのか!と驚く部分もあり、非常にリアルで興味深かったですね」と。

 2006年までボストンに在住し、エマーソン大学を主席で卒業した経歴を持つ関根は、事件当時を振り返り「第一報を聞いた時は日本で朝の情報番組の仕事をしていましたが、ただただショックでした。ボストンマラソンの日は一年で一番たくさんボストンに人が集まる日で、ボストンは大学もたくさんある平和な町なので、まさかテロが起きるなんてと驚きました」と。そして映画については「テロのシーンは胸が痛くなりました。でもそれだけじゃなくて、犯人逮捕に向けて、市民が1つになって団結する姿に感動しました」と感想を語った。

 世界中で発生しているテロ事件について解説を求められた池上は、先日イギリス・マンチェスターで発生したテロ事件に触れ「コンサートから出てくる人を対象にした自爆テロは、警察からすれば完全に盲点だったんです。コンサートは大勢の人が集まるので、入場時は警察がたくさん集まり、金属探知機などを使いセキュリティ対策をしっかりする。でも、終わって出てくるところは警備を全然しない。そこを狙ったテロだったので、テロ対策関係者は深刻に受け止めているそうです」と解説。

 さらに映画には、ボストン市警、MITの私設警察、FBIなどさまざまな警察機関が出てくることに触れ、「爆発が起きただけではテロとは分からない。FBIが何に気が付いてテロと決定したのか、それに注目して見てほしい」と見どころを紹介した。

 イベントでは、池上が関根に「パトリオット・デイ」や「ボストンレッドソックス」の正しい英語の発音をたびたびリクエスト。中でも「レッドソックス」の発音は、「この映画を楽しむ伏線になりますよ」と語った。

 フォトセッションでも池上の解説は止まらず、「2013年のこの事件はボストン警察の広報のやり方も大きく変わるきっかけになりました。ツイッターで市民から犯人の情報を集めたり、どこそこを追跡中です、という情報を警察のオフィシャルアカウントか発表するようになったんです。ニュース番組がボストン市警のツイッターを紹介するという、今までにない警察広報の形が、この事件をきっかけにできたんですね」と明かした。

 最後に池上は「大きなイベントはテロの標的にされやすい。東京オリンピックにもマラソンはあるので、決してボストンマラソン爆弾テロ事件は他人事ではないですよね。そういう問題意識を持ちながら見ていただければ」と締めくくった。

<ストーリー>
2013年4月15日。殺人課の刑事トミー(マーク・ウォールバーグ)は朝からボストンマラソンの警備に駆り出されていた。突如、群衆のまっただ中で大爆発が起こり、歓声は悲鳴に変わる。到着したFBIのリック(ケヴィン・ベーコン)は現場を見ると「これはテロだ」と断言。やがて監視カメラに映る不審な“黒い帽子の男”と“白い帽子の男”が容疑者として浮上する。彼らの犯行と思われる市民の拉致事件と市街での銃撃戦まで勃発、市長は異例の措置で街を完全に封鎖する―――。

映画『パトリオット・デイ』
6月9日(金)公開

出演:マーク・ウォールバーグ、ケヴィン・ベーコン、ジョン・グッドマン、J・K・シモンズ、ミシェル・モナハン
監督・脚本:ピーター・バーグ

配給:キノフィルムズ

公式サイト:www.patriotsday.jp

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