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アテム・クライチェ監督「最終的には現実に根差す物語を展開したい」『スターシップ9』

130878_01_R 8月5日(土)より公開される『スターシップ9』のアテム・クライチェ監督が今作について語ったインタビューが届いた。

 本作は、『ザ・マシーン』『インターステラー』『エクス・マキナ』『オディッセイ』といった本格SF作品の系譜を継ぐ興奮の近未来アクションドラマ。アテム・クライチェ監督は、映画専門誌「VARIETY」にて『注目すべきスペインの若手映画製作者の一人』に選ばれた俊英で、本作が長編監督デビュー。スペイン映画界の次世代の鬼才とも呼ばれている。

◆ジャンル映画が好きだったのですか?

ジャンル映画は好きですが、『ヒドゥン・フェイス』(11)の場合は入口は心霊映画のようで幽霊とかも出てきますが、最終的にはスリラーになります。『スターシップ9』に関しても、入口はSF的なアプローチですけど、最終的には現実に根差した話になるので、完全にSF映画というジャンルには位置付けられないと思います。私の中ではジャンルの要素は取り入れながら、ジャンルを横断していくような映画というのを作りたいと考えています。同時に、例えばゾンビ映画であっても心霊映画であっても、最終的には現実に根差した物語を展開したいというのが私の願いとしてあります。

◆ロケーションがとても近未来的というかSF的だなと思いました。CGなどは使っているのでしょうか?

CGは使っておりません。ほとんどの撮影をコロンビアのメデジンでしました。近未来というのは非常に両極化した社会が存在すると私は思っています。極端にお金持ちの人と極端に貧しい人がいて、非常に混沌とした世界が近未来かと思っております。例えば東京と言うのはプラスの面で非常に近未来的な社会だと思います。しかし負の面というのが東京ではあまり見られない、スペインでも対照的な社会層の人々が存在する地域が無いんです。しかしコロンビアのメデジンでは、近代的な側面を持つ地域と非常に貧困が集中しているような地域が同じところに存在していて、私の思う近未来の姿がビジュアル的にうまく撮れるんじゃないかと思いました。光に少し手を加えたりはしましたが、外での撮影に関しては98%そのままの映像を使っています。私が思う近未来のビジュアルととてもマッチしていました。

◆さまざまなガジェットが出てきます。そういった部分のリサーチはされたのですか?

東京には全部あるかと思っていますけど(笑)。この映画はSF映画としては予算がとても少なく、撮影期間も5週間半しかありませんでした。だから撮影に入る前にたくさん話し合って調査をしました。もちろん映画に出てくるガジェットについても。ここに出てくるのは技術的には今実際にあっても不思議ではないものです。未来とはいっても遠い未来や遥か彼方の未来ではなくて、現実にかなり近い近未来を考えていましたので、今あってもおかしくない装置というイメージをしました。

◆主人公のクララ・ラゴさん演じるエレナがとてもかわいくて、良かったです。キャスティングや演出についてお聞かせください。

クララ・ラゴは私が初めて長編映画の脚本を書いた『ヒドゥン・フェイス』にも出演した女優です。彼女の世代の中では彼女が一番の女優だと思っている。なぜかと言うと彼女は非常に自然体で感性がよくて勘のいい、直感のある女優さんだと思うからです。この脚本を最初に彼女に渡した時に、「役作りが難しい、どこにすがって役作りをしたらいいのか」ということを言っていました。
エレナは普通の人間が成長していく過程で体験する愛や失恋などを経験したことがない。いろいろな人との関わりが全くないところで生きてきて、ただひたすらトレーニングを続けているといった感じですよね。人生というものがどういうものなのか、人との関わりというものを全く知らないような女性なのでそれをどうやって役作りしていいのか分からないと言っていました。しかし僕は、だからこそ彼女の持っている自然さや勘や純粋さが生きるんじゃないかと思いました。自然体には純粋さという面も出てくるかと思いますし、それで適役なんじゃないかと思いました。それ以外にもフィジカルな面でも彼女はこの役に合っていると思います。

◆初長編監督作品を自分のオリジナルで作るということは、すごく恵まれていると思います。日本では原作ものやマンガの映画化だとかドラマの集大成的な映画などが多くてオリジナル脚本が少ないのですが、スペインではどういう状況なのでしょうか?

初長編監督作品を自分のオリジナル脚本でできたのはホントに恵まれているし幸運だったと思います。日本がそういった状況だということは知らなかったですが、それはハリウッドでも起こっていると思いますね。収益性ありき、収益性が確保できるということを前提に映画を作るという形になっています。スペインに関してはまだそこまでいっていない。確かに自分の脚本で作品を作ることは簡単ではなくて、才能のある人がいっぱいいながら、なかなか作品を作れずに終わってしまうことも多いわけですけれども、まだオリジナルの脚本に基づいて映画を作りたいという市場がスペインにはまだあります。難しいことだし、ニッチではありますが、まだオリジナル作品を作ることができる市場は存在していますね。

◆日本の皆さんにメッセージをお願いします。

私にとって自分の作品を日本で公開できるというのは非常にうれしいし、日本の観客に気に入ってもらいたいです。この映画のテーマは世界どこの国でも理解していただけるテーマであると思います。東京が大好きになりましたのでまた来たいです。

『スターシップ9』
8月5日(土)よりヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次ロードショー
監督・脚本:アテム・クライチェ
出演:クララ・ラゴ、アレックス・ゴンザレス、ベレン・エルダ、アンドレス・パラ

配給:熱帯美術館

©2016 Mono Films, S.L./ Cactus Flower, S.L. / Movistar +/ Orbita 9 Films, A.I.E.

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