櫻井海音&窪塚愛流が涙を流した和解シーンの裏話を語る『差出人は、誰ですか?』

特集・インタビュー
2022年11月21日
『差出人は、誰ですか?』©TBS/撮影:加藤春日

秋元康が企画・原案を手掛けるよるおびドラマ『差出人は、誰ですか?』(TBSほか 毎週月曜~木曜 深夜0時40分~0時55分 ※一部地域を除く)。「SNS社会に生きる若者たち」をテーマに描く“青春ヒューマンミステリー”で、「手紙ゲーム」をきっかけにクラスメートの意外な素顔が明らかになっていく。今回は、わだかまりを抱えていたものの、手紙ゲームによって関係を修復させた幼なじみを演じる成田育役の櫻井海音さん、馬場浩人役の窪塚愛流さんに話を聞きました。


◆お互いの思っていた印象と共演された後で、どのように印象が変わったか教えてください。

窪塚:俳優とモデル活動をしている僕とはまた違う、アーティストとしての一面も持たれている櫻井さんと仲良くなりたいな、一緒にお芝居をしてみたいと思っていました。ただ、今回僕たちが演じる役柄を考えると、最初から仲を詰めていってしまうのはお芝居をする上でどうなのかなと思いました。クランクインのごあいさつ以降は僕から積極的に話しかけたりはしませんでした。撮影が進んできて、成田と馬場ちゃんの間の問題が明かされていくようになって、その流れとともに、櫻井さんとの距離も近づいているような気がしています。

櫻井:最初の印象はクールで、口数も少なくて、なんならちょっと尖がっているんじゃないかぐらいのイメージでした。それは愛流のことをあまり映像で見たことがなくて、モデルをしているときの写真を見ることが多かったので、勝手にそういった印象があって。でも、実際に会ってみたら、とても謙虚で腰が低くて、すごくかわいらしい子でした。

窪塚:そんなふうに思ってくださったのですね。

櫻井:うん。すごく安心しました(笑)。愛流も言ったように役柄的に最初から距離が詰めづらい設定ではあったので、僕も徐々に芝居を重ねていって、今はどんどん距離が縮まってるなっていう感覚があります。

『差出人は、誰ですか?』©TBS/撮影:加藤春日

◆成田と馬場を演じる上で心掛けたことや、印象的なエピソードはありますか?

櫻井:第6週の最後で、手紙ゲームという場を持って、成田が馬場にしっかりと謝罪をするところは、2人でいいものが撮れたなという実感があります。このシーンは台本から変わったところが多々あって。謝罪をして、握手から抱擁をするんですが、最初成田から馬場に手を差し出して、それを馬場が受け取って、馬場がさらに引き寄せて抱きしめてくれると書かれていたんです。成田が先に手を差し出してしまうと、謝罪して、自分から許しを求めにいってるような見え方もされてしまうと思ったので、監督さんやプロデューサーさんとお話しさせていただいて、そこは馬場から手を差し伸べてくれるのが自然な流れだし、和解になるなって。そこは愛流とも話して、最終的にそういうシーンになりました。

そして、成田が教室で読んだ手紙は白紙なんです。それがどういう見え方になるのか、楽しみにしています。それも加藤(亜季子)監督からの提案で、最初台本には手紙が書かれていて、それを読み上げて、そこから手紙を置いて、自分の気持ちで馬場の前で謝罪をしに行くっていうふうになっていたんです。ですが、成田のキャラクター的にも手紙を書くことをするようなキャラクターではないので、白紙にして手紙という思いを伝える場として使ったんです。あとは抱擁してお互いに涙を流すってところも台本にはなくて…。

窪塚:自分もびっくりしました。台本を読んだときに、熱い言葉をもらって、熱いハグして終わるのかなと思っていたんです。ですが、櫻井さんの芝居を受けたときに考えてもいなかった感情になったので、自分が前日までに思っていた気持ちではなくて、そこで生まれたものを大事にしようと思い芝居をしました。握手を交わすまでのほんの数秒ですが、馬場の気持ちの流れが変わって、込み上げる感情に涙が出ました。

櫻井:僕も別に用意していたものではなかったです。でも、実際にそのシーンの段取りをして、手紙を読み上げて、いろんな背景を抱えながら、いざ馬場の前に立ったときに、しっかりと愛流が僕の芝居を受けてくれたので、自然に感情的になりました。別に泣かなくてもよかったんですが、お互いに本気で芝居の掛け合いができたのかなって思います。

そして最後に「僕、サッカーをまだやり続けたい」って言ったら、馬場が立って「諦めんなよ」ってひと言くれるんですが、愛流が刺さってくるような芝居をしてくれたので、ありがたかったなって思いますし、お互いにちゃんと通じ合えたからこそ、いい和解のシーンが撮れたのかなって思います。なので、僕はそのシーンが1番好きです。

窪塚:櫻井さんの芝居があったからこその感情が生まれましたし、あの瞬間は僕の世界ではカメラもスタッフさんも見えなかったです。ようやく成田の言葉を聞けた、心と心のぶつかり合いでした。僕もあのシーンは好きですね。

櫻井:僕はそのシーンの撮影前に馬場から手紙を受け取って、成田がそれを1人で公園のベンチで読むシーンの撮影があったんです。和解のシーンで予定になかった涙があったことによって、先に放送されるシーンなのでバランス的に、僕が1人で手紙を読んでいるところはやりすぎても良くないと、監督と話をしていたんですが、いざ本番になったら耐えられなくて。手紙から受けるものって、こんなにあるんだと、あらためてこの作品が手紙にフォーカスを当てている意味をすごく感じました。

実は、役を演じている人たちが実際に手紙を書いているんですが、あえて馬場の字が絶妙に汚く書かれていて。でも、それがすごく味がありました。やっぱり愛流が馬場として手書きで、ちゃんとつづってくれたからこそ、いろんなものを受けとれました。

『差出人は、誰ですか?』©TBS/撮影:加藤春日
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